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宙わたる教室 伊与原新

大好きな著者の最新作。様々な事情で定時制高校に通う年齢も来歴もバラバラの生徒4人が、指導の先生に促されて科学部を創設、色々な困難を乗り越えながら学会で火星のクレーターについての発表を行うまでを描く科学小説だ。NASAの火星探査車「オポチュニティ」の話、読み書きが困難な人向けの特殊なフォントの話、まだ詳細が解明されていない独特の形状をした火星の「ランバートクレーター」の話など、幅広いジャンルの科学トリビアを織り込みながらの展開で、著者ならではの面白さを堪能した。あとがきを読むと、かなりの部分が実話に沿った内容とのことでとてもびっくりした。著者の本をネットで調べてみたら単著一冊とアンソロジーに収録されている短編数編以外は全部読んでいた。これからも著者の本は残らず読んでいきたいと思った。(「宙わたる教室」 伊与原新、文藝春秋)
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