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サクラサク、サクラチル 辻堂ゆめ

新進気鋭の若手ミステリー作家の最新作。アンソロジーの中の短編を除く著者の単著は本書が2冊目。2人の高校生が互いに自分の境遇を話し合うことで、自分の両親がとんでもなく異常であること、自分たちが両親から激しい虐待を受けていることに初めて気付き、両親への復讐計画を進めるという内容。子どもへの虐待という問題の難しさが、子ども本人がそれが当たり前と思ってしまい、犯罪の被害者であることに気がつかないことにあるという側面、さらに虐待の被害者同士がある場面では加害者や加担者になってしまう可能性があることの難しさなどを思い起こさせてくれる。主人公たちの復讐計画については虐待の異常性や悪質さに比べて手緩い気がするが、それもこの問題の難しさを表しているようで気が滅入るばかりだった。(「サクラサク、サクラチル」 辻堂ゆめ、双葉社)
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