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リカバリー・カバヒコ 青山美智子

今年の本屋大賞ノミネート作品。ある新築マンションの近くの公園に、「カバヒコ」と呼ばれている自分の治したいところと同じ部位を撫でると治るという都市伝説のような古ぼけたカバのアニマルライドがあるという。本書は、成績低下に悩む高校生、ママ友との付き合いに違和感を持つ女性、職場のストレスで体調不良になってしまった女性、足が遅くてリレー選手になるのが嫌で嘘をついてしまった小学生、長年疎遠にしている年老いた母親が心配な男性という5人の視点で描かれた「カバヒコ」を巡る5つの物語だ。それぞれの悩みは体調とか身体的な問題というよりも精神的なもの、心の持ちようの問題で、何をするでもないカバヒコを通じて知り合った人と関わるうちに少しずつ元気を取り戻していく。要するにカバヒコに助けられるというよりも、そこで知り合った他の人に助けられていくのだ。著者の本は、現代の人々の孤独の辛さをとことん抉り出す小説と、それらとは無縁の楽しいフィクションの中間に位置するような少しホッとする作品で、その居心地の良さが自分も含めて多くの人を惹きつけるのだろうと感じた。(「リカバリー・カバヒコ 青山美智子、光文社)
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