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こんがり、パン 津村記久子他

文筆家40人のパンにまつわる文章を集めたエッセイ集。色々なパンが出てきて基本的にはとても楽しかったが、教科書に出てくるような有名な小説家の文章は、おしなべて食パン、コッペパン、ジャムパン、あんぱんに関する老人の独り善がりの思い出話のようで総じて退屈だった。そうした中で印象的だったのが、津村記久子「パンアンドミー」開高健「パンに涙の塩味」川上弘美「しょうがパンのこと」長田弘「ショウガパンの秘密」米原万里「パンを踏んだ娘」の5編。特に開高健の終戦直後の壮絶な体験を書いた一文は本書中ピカイチの名文だと思った。(「こんがり、パン」 津村記久子他、河出文庫)
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