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幸せな家族 そしてその頃はやった唄 鈴木悦夫

本屋さんの平積みコーナーで帯に「孤高のジュヴナイルミステリー復活」と書いてあるのを見て何となく買った一冊。単行本として刊行されたのが30年以上前、著者も20年前に既に死去している本書が最近になって文庫として復刻されたということらしい。内容は、ある家庭で起きる凄惨な連続殺人で、その経緯を家族の最年少である小学6年生の少年が語るというもの。最初から犯人は分かっていて、謎の中心はその動機だ。犯人のそもそもの動機も異常なら、家族一人一人が無意識のうちに犯人を庇ったり、犯罪の継続を促したり、完徹に協力したりとそれぞれの役割を担っていくなど、とにかく最初から最後まで文章も展開も不穏でかつおぞましい。人に勧めることはとても無理だが、30年の時を経て復刻された理由が納得できる名作であることは実感した。(「幸せな家族 そしてその頃はやった唄」鈴木悦夫、中公文庫)
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