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ファラオの密室 白川尚史

「このミステリーがすごい大賞」受賞作。舞台は3000年以上前のエジプト、ピラミッドの建設現場で死亡した神官書記が冥界から蘇って自分の死の謎と、同時に起きた先王ミイラ消失の謎を追う。彼を助けるのは幼馴染のミイラ職人、トルコから誘拐されてきた少女といった面々。崇める神を巡る権力闘争、今となっては奇妙とも言える当時の死生観、タイムリミット要素などもあってとても面白い特殊設定ミステリーだった。最後に明かされる真実は読み始めてすぐに見当がついたが、新王に関するある事実には最後まで気づかなかった。なお応募時の題名は「ミイラの仮面と欠けのある心臓」だったとのこと。「ファラオの密室」の方が断然面白そうだし、表紙のデザインや表紙裏の金色の装丁なども秀逸で、新人作家の作品という原石をベストセラーに仕立て上げる編集者や装丁者の力量が感じられる一冊だ。(「ファラオの密室」 白川尚史、宝島社)
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