在りし日の津川雅彦の役者としての演技力を評価する。新藤兼人監督にしては軽佻で、戦争への「何か」が抜けていた。新藤は荷風の厭戦を描くのを諦め、色恋作家として荷風を描きたかったのか?それでは荷風が可哀想かな。
この作品は『断腸亭日乗』の日記からはズレてくる。まあ、原作の『墨東奇譚』を読んでいないから、厳しく言えないが、映画の娯楽性として良いのだろう。
墨田ユキの裸身は浮世絵的に綺麗であった。あくまで戦前日本までの裸体であった。戦後ではどう評価されるのだろうか。それ故か、思い切った裸も、その後の彼女の活動に大きな成果を齎さなかったのかもしれない。
1992年制作、主演 津川雅彦、墨田ユキ、乙羽信子、宮崎美子、他。
映画の最後の協力会社に「方丈社」があった。たぶん永井荷風の言葉の引用典拠と見たが。
この映画に関連し、この方丈社編集の『朝目覚めると、戦争が始まっていました』について来週はふれてみたい。
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