国鉄上層部と対立しながらも分割民営化を推進したという若手三人の中で特に葛西敬之の動きは派手であった。彼は中曽根の審議会政治の中心人物である瀬島龍三伊藤忠商事相談役と懇意になった。葛西は野心家と言うべきだろう。
当時、国鉄労組はこの国の労働組合運動の中核であった。国鉄のストの威力は大きかった。それを政治の側では壊したかったのだろう。
中曽根政権は組合の闘争力を分割化して弱体化させることを企図した。それを汲み取って若手三人組は政権側に付いた。森功は明確に言っていないが、そういう結果である。
当時、ワタシも長期の鉄道ストによって通勤できなかったことをよく覚えている。そして、国労と動労という二つの組合が国鉄に在ることも知っていた。動労は革マル派系と言われ、強力な活動団体であったが、国労の弱体化の為に経営側に手を貸した、と森は書いている。
国鉄の分割民営化は<動労の裏切り>によって、国労を弱体化させて突破していったことを、この本で初めて知った。
JR東日本に移行後、駅構内で喫茶店ができ、武骨な手でコーヒーを淹れる元国鉄職員の姿を思い出した。
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