新しい研究のアイディアが浮かび、ここ数週間、子育てや家事の合間に文献を収集しています。
テーマは自閉症関係なのですが、論文を読みながら、自分の子育てを振り返る機会にもなり、なかなか刺激になります。
ということで、今後は思いついたことを忘れないように、書き留めておくことにしました。
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バイリンガル環境の中で生まれ、育った息子。1歳半頃から、言葉の遅れが気になっていたのですが、バイリンガルの環境で育っている場合、それが見えにくいのです。1歳半検診で、母子手帳のチェックリストや息子の様子を観察した保健婦さんに「言語教室に通いませんか」と勧められたのですが、アメリカ移住が決まっていたので、参加を見合わせることに。
アメリカに移住してからは、引越しが重なり、ようやく落ち着いた先で紹介してもらった心理科のお医者さんは3ヶ月の順番待ち。発達の変化の激しいこの時期に3ヶ月も待つのは納得がいかず、友人の勧めから居住地区の学区で発達テストをしてもらい、「発達遅滞」との診断。この時、息子は3歳になったばかりです。
その時に、「もしかして自閉症じゃないですか」と担当してくださった専門家に尋ねてみると、「どうしてそう思うんですか?」「この時期は、まだ様子をみないとはっきりしたことわかりません」との返答。
今、論文を読んでいくと、この親の気づきから正規の診断までの「タイムラグ」があるために、自閉症を抱える親、特に母親たちのストレスの原因となっているようです。
しかしこの「発達遅滞」という診断のおかげで、学区の障害児のためのプレスクールに入園することができ、療育と教育を開始することができました。
最初に息子のプレスクールを見学した時、涙が出そうでした。肢体不自由、あるいは脳に障がいのあるお子さんたちを見て、息子がその中にこれから入っていくのだということが、信じられませんでした。特に、自閉症児の場合、外見から障がいであることが見えにくいので、なおさら自分の中でギャップが大きかったのではないかと思います。
翌日、息子を迎えに来たスクールバス。障がいを持つ子どもだけを乗せるバスらしいのですが、この学区では一般のジャンボサイズのスクールバスだったので息子も圧倒されました。まだバックパックを買ってあげてなかったので、おむつをいれるバックを肩にかけてあげました。スクールバスの大きさと、3歳になったばかりの息子の体の小ささが対照的で、なんだか息子が不憫でたまりませんでした。
ところがこの息子を担当してくださった年配の先生、毎日交換連絡帳に息子の言葉や行動を書いてくださったので、プレスクールでどんな遊びをしているのか、またその小さな発達の変化も教えてもらえたので、ずいぶん励みになりました。こういう先生とまず最初にめぐり合えたからこそ、障がいを持つ母親としてのスタートを順調に踏み出せたのではないかと、今になって思います。
(続く)