ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

ブエノスアイレスの風

2022-05-09 07:00:00 | 宝塚コラム

土曜日に、マチソワ両方見ました。

一日中「ブエノスアイレスの風」に浸ってると正直頭が重くなる・・・

暁千星が主演でなければ絶対に見ない作品です。

ツィッターなどでは、絶賛されてます。
その多くは「暁千星かっこいい!」っていうもので、その通りに他ならないのですが、個人的にはこの作品は彼女の柄ではないし、もし上演するならもう少し先の方がいいんじゃないかと。
だって「ブエノスアイレスの風」はあくまで紫吹淳の為に作られた作品なんだもの。
 
 正塚作品について
私は正塚作品が苦手です。
暗い、ストーリーがわかりにくい。
結末がはっきりしない。
恋愛ものではない。
衣装が地味。
好きな作品もありますよ。
バロンの末裔」(久世星佳)
カナリア」(匠ひびき)
追憶のバルセロナ」(絵麻緒ゆう)
CROSSROAD」(和央ようか)
BOXMAN」(和央ようか)
マリポーサの花」(水夏希)
でも、一日中それに浸りたいとは思わない。
「マリポサ」なんて彩吹真央が出ていない所では寝てたし。
テレビのように場面転換が多いので見てて疲れる。
大劇場では盆が回りっぱなし。
青年館ではガラガラゴロゴロ、セットを動かす音がうるさい。
今回はテーブルや椅子を出演者が出したりひっこめたり。
どこかでまとめなよ!出演者が可哀想じゃん!と思ってしまいました。
 
1990年代の始めまでは熱烈な正塚ファンが存在し、作品の批評に時間を費やしていたのは事実です。
あそこのあのシーンの解釈はさあ・・」
「なるほど、そこが正塚作品なのよ」
と議論し合うのが楽しかった時代もあったと思います。
でもそこには、正塚作品を彩り、それに見合う演技を展開してくれた役者達がいたからです。
久世星佳樹里咲穂、成瀬こうき、そして未沙のえる矢代鴻といった「正塚専科」みたいなメンバーのおかげです。
正塚作品には独特のセリフ回しがあります。
うん」
「そうか」
「けど」「けどな」
「ああ」
何気ないこれらのセリフの言い方一つなんです。
それが出来るか出来ないか・・・・暁千星は出来たとは言えなかったな。
彼女だけじゃなく今の月組メンバーに簡単だけど深い「うん」「けど」を言える人がいるのか?
紫吹淳だって似合ったって程ではないのですが、そこに樹里咲穂と成瀬こうきがいて最善のフォローをしてくれたおかげで成功したのです。
失敗例は麻路さきにあてた「二人だけが悪
星組程正塚作品が似合わない組もなくて、大劇場版のビデオを見たら本気でつまらなかった。
東京では、星組メンバーが完璧にコメディに仕立てたんですね。
特に麻路さきと白城あやかが二人で喋る場面ではわざと麻路さきが笑わせようとぽどけるので、毎回アドリブ合戦のようになって面白かった。
それでも、あの「二人だけが悪」のラストシーンで二人が踊ったアルゼンチンタンゴは、誰も真似できない素晴らしさがありました。
技術的には暁千星の方が上。
だけど、そこに色気とか相手役への思いとか様々な感情が見える。
だから最高なんですよね。
あの作品で唯一、正塚風に染まっていた紫吹淳が月組に組替えになって上演したのが「ブエノスアイレスの風」で、学年的にも年齢的にも「大人」だったからこそやれた作品ではないでしょうか。
 
 「ブエノスアイレスの風」について
だってこの作品、いい所はちっともない。
主人公のニコラスは全てから1歩引いた存在で、「何にも関わらないし関わらせたくない」といいつつも、イサベラの人生に関わった。
そのせいでイサベラは有頂天になりながら絶望の底に落とされる。
ゆえに、私はニコラスに感情移入できない。
なぜならイザベラが可哀想すぎるじゃない?
今の苦しい生活から抜け出るチャンスをニコラスに潰されて、で、友達が死んだって言われたら責めるに責められない。
でもさ、あんた「精一杯やる」って言ったよね。あの時点でリリアナをとるべきじゃなかったんじゃ・・・・・?
そこってやっぱり「過去」を引きずってるって話なの?
しかも、これからはリリアナの兄になるって?はあ?イザベラはどうなるの?
最終的にヒロインはリリアナだったのか?って感じ。
ヴィセンテなんて、公私混同も甚だしくて嫉妬深くてモラハラ亭主。
いつ退職できるの?」ひょえ~~勝手に決める?
紅茶こぼされて、エバが差し出した紅茶を当然のように飲む。ゆるせん。
ラストは「悪かったな」ですむか?
あんたのせいでリカルドとマルセーロはパニクって事件を起こしたんじゃないの。
それを「そうか」で済ませるニコラスもニコラスだよ。
リカルドもね、次代に取り残されすぎてるの。
7年も経って政治体制が変わっているのに何を夢みたいなこと言っちゃってるの?
少しでもリリアナの事、考えたら前向きに行こうと思わない?
登場する男皆が自己中なんだよっ!
 
この作品で一番わからないのはニコラスの気持ちですね。
一番大事な所はセリフで表現してくれないと、「ああ」とか「そう」では後ろの観客には伝わりませんって
脚本の「改変」は必要ですね。絶対に。
 
あ、最初のシーンのコーラスは上手でした。
 
 出演者について
 
暁千星・・・
二回みて、ま、こういうニコラスもありかなあと思いました。
暁ニコラスは元ゲリラに見えないの。どちらかというと敗国の王子様風。
法律の勉強してた、うん、ぴったり。いかにもインテリだもん。
でも、正直、女性関係はあまりなかった感じ。
リカルドと対峙しているとニコラスの賢さがよくわかります。
一番よかったシーンが・・・マルセーロを殴る蹴るして脅すシーン。
ここだけは「怖いっ!やっぱニコラス強いんだ」と思いました。
課題なのはリリアナを後ろから抱きしめるシーン。
それからイサベラに「友達が死んだ」のシーン。さらにラストの「これからは俺が兄貴だ」
これじゃいい所全然ないみたいだけど、本当なの。
余裕を感じないっていうか、もうちょっと体の力を抜いて相手に身を任すというような演技が必要だったと思います。
感情を吹き出す事があってもいい。
もしイサベラが海乃美月でリカルドが蓮つかさだったらもっと全然違うニコラスになっていたのではないかと思います。
ラブシーンをいかに色気を持ってやれるか、それは星組生の命題のようなものですから頑張れ。
二人だけが悪のラストシーンを100回見てお勉強なさい)
ダンスはすごかったですよ。何というか他の追従を許さないって感じで。
歌も本当に上手で。ただいかんせん楽曲が悪かった。
 
 風間柚乃・・・絵に書いたようなリカルドで、さすがに「チェ・ゲバラ」に出てただけあるなと。
だけど、樹里咲穂のような「陽キャラ」ではないので、見ててさらに落ち込んでいく感じがして。
「ガキが俺を撃ちやがった」があまりに悲惨な言い方なので見てるこっちも絶望感半端なかったです。
 
 天紫珠李・・・イサベラ。可もなく不可もなく。ニコラスを慰める時の包容力に欠けていたかな。あまりヒロイン顔ではない。
 
 礼華はる・・・すごく頑張ったけど平凡で亭主関白なビセンテでした。この人のセリフがもう少し正塚風だったら一皮むけていたかもね。
 
 彩海せら・・・組替えしてすぐの作品。NOW ON で「殴られ方が上手」とみんなに褒められていたけど、まさにその通り。しかもわりとコミカルで面白い。今後楽しみな男役さんですね。
 
 羽音みか・・・エバ。こっちがイエサベラでもよかったんじゃないかと思います。それ程美人ってわけでもないけど演技力はあるのかなと。
 
 晴音アキ・・・フローラは荷が重すぎたと思います。母親役が板についてないし、何より衣装が全然似合ってませんでした。歌にしても声は綺麗で伸びるけどそれがブエノスアイレスを思い起こさせるかと言ったら違うし。
残念でした。
 凛城きら・・・原作通りのロレンソで安定の演技でした。
 
 蓮つかさ・・・武器商人。なんでこの人が武器商人なのよ~~~リカルドだろ。リカルド!!こんな実力派をちょいって使う気が知れないわ。
そう言えば初演では大空祐飛がやってたんだったわね。
 
 花妃舞音・・・リリアナ。背丈が暁千星とぴったり合うのね。声も可愛いし。もうちょっと子供っぽい服装でもよかったんじゃ。
 
あ、そうそう、一番端っこにいた一輝翔瑠とかいう男役さん?が妙に可愛くて目に留まりました。この先、追いかけていけるかな。
 
 
帰り、お客様たちの話を聞いてたら「何も起きない芝居なの」と彼氏に云ってる女の子がいて、彼氏の方はよくわからないといった顔してました。
私みたいに1日二回を2日続けたら、何となく芝居の深さがわかるかもしれないけど、一度じゃねー
 
みなさーん。上記に上げた正塚作品。見てみるのも一興ですよ。
 
 
コメント (3)
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