山田五十鈴、若尾文子、草笛光子、京マチ子、越路吹雪、中村玉緒。豪華女優人である。脇の男衆は、中村鴈治郎、船越栄二に林成年。
男衆の中では、船越の御養子さんが、雰囲気そのままだ。船越はこういう役が似合う。女衆の中では越路吹雪が異彩を放つ。
船場のお店(おたな)の坊坊の雷蔵が、男の甲斐性とばかり、愛人を次々に作り、最後は、女どもの打算と毒気に壁壁して道楽も止めるのだが。
この映画で最も印象的なのは、雷蔵の坊を子供の頃から身の回りを世話してきた、倉田マユミのお時だ。いっぱしの大人になった素っ裸の坊の着替えを手伝うシーンがあるが、無表情さの裏側が何とも気になる。そして、最後の場面で、初老の坊が出かける時に、奥から、これも歳を重ねた、お時が出てくる。生涯 坊の世話に掛けてきた、お時が、一段と印象的だ。終生陽の当たらぬ場所だが、常に目立たず控えめに、しかし、一本筋を通して仕える、そういうカタチもあるのだと思う。今時、そんなことは流行らないから、余計グッときてしまうのだ。「ぼんち」に成損ねたからこそ、お時は生涯を坊の側にいることを決めたのかも知れない。
男衆の中では、船越の御養子さんが、雰囲気そのままだ。船越はこういう役が似合う。女衆の中では越路吹雪が異彩を放つ。
船場のお店(おたな)の坊坊の雷蔵が、男の甲斐性とばかり、愛人を次々に作り、最後は、女どもの打算と毒気に壁壁して道楽も止めるのだが。
この映画で最も印象的なのは、雷蔵の坊を子供の頃から身の回りを世話してきた、倉田マユミのお時だ。いっぱしの大人になった素っ裸の坊の着替えを手伝うシーンがあるが、無表情さの裏側が何とも気になる。そして、最後の場面で、初老の坊が出かける時に、奥から、これも歳を重ねた、お時が出てくる。生涯 坊の世話に掛けてきた、お時が、一段と印象的だ。終生陽の当たらぬ場所だが、常に目立たず控えめに、しかし、一本筋を通して仕える、そういうカタチもあるのだと思う。今時、そんなことは流行らないから、余計グッときてしまうのだ。「ぼんち」に成損ねたからこそ、お時は生涯を坊の側にいることを決めたのかも知れない。