よし坊のあっちこっち

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”職人技の国ニッポン”で良いのか

2012年08月17日 | ビジネス横丁こぼれ話
日本は世界の中で、職人技にこだわる稀な国だ。戦後の粗悪品乱造国の汚名を返上すべく、精度の高い優れ物作りに邁進した結果、世界でも群を抜いた“技術の国”の栄誉を勝ち取った。ここで言う“職人技”とか“技術“とは専らメカニカルな領域を指す。かくて、最高品質の代名詞となった「メイド・イン・ジャパン」を掲げた国産ブランドが世界中を席巻して行く。しかし、この数十年のエレクトロニクスの飛躍的発展は世界に大変革をもたらし、その分野ではサムスンが天下を握った。そして嘗ての危惧、”自動車でのエレクトロニクス領域の増大は日本の品質優位性を脅かす存在になる“が今現実になりつつある。

そうした状況の中でも、“日本の物作りの精神と技量は他の追随をゆるさない。高品質を作れば客は必ずついてくる。”と言う考えは根強いが、果たしてその認識は“今”に適合しているだろうか。疑問符がつく。技術格差は格段に縮まっており、“他の追随をゆるさない”と言い切るにはいささか迫力が欠ける。後段は“高品質を作れば”一部の”客はついてくる“と言い直すべきかもしれない。

高品質を作れば皆ついて来ると考えて良いのは日本国内だけだろう。何しろ日本人は世界でも類を見ないくらい“物にこだわる”国民だから。“物“には工業製品だけでなく食べ物も入る。世界一うるさいグルメ民族でもあるのだ。だから海外から日本市場に押し寄せても、なかなか勝てない。日米貿易戦争真っ只中の折、アメリカはさかんに日本の貿易閉鎖制度を攻撃し、障壁制度の緩和・撤廃に持ち込んだ迄は良かったが、いざ進出してみると一向に売れない事に愕然としたはずだ。日本人のこだわり性向までは理解出来なかった。日本国内限定の戦いなら簡単には負けないが、事は世界市場の話である。世界で戦う時、今の日本は途端に弱くなる。何かが問題であり、そして何かが足りない。

まずは、技術偏重神話からの脱出であろう。車の両輪に例えるならば、もう一方の車にあたる経営マーケティング力があまりにも貧弱で、この強化なくして世界に太刀打ちは出来ない。強化のポイントはふたつ。まず外国語を駆使し、発信力のある人材の確保が急務。もうひとつは、意思決定のスピードだろう。躍進する韓国中国を見れば一目瞭然である。これは日本的経営手法と経営者資質の問題にも大きく関わってくる重要な問題だ。ここを何とかしないと、日本の再生は難しいのではないか。