ヘクソカズラ
絵にしたのは臭いのきつい、ヘクソカズラ。見ている分には匂いはしないが、手で触れたりすると強い臭気を放つ。名前から想像してほしい。この臭いは自分の身を守るための臭気だそう。草花に限らず、昆虫や動植物には、臭いで身を守るものが少なくない。
匂いというのは不思議な性質を持っていて、場合によっては、悪臭であったり、逆に香気であったりする。
昔、「くさや」を田舎に送ってあげたら、なんだか異様な臭いがする。途中で腐ったのではないかと廃棄したと、連絡をもらったことがある。初めての人には、さもあらむ。ところが、くさやの匂いが好きで好きで、という女性もいる。彼女はそれほどの酒飲みではないが、酒のつまみにはくさやが一番だという。
納豆が臭くて堪らない、という人が昔は九州や関西の人に多かった。東京に出てきて、朝の定食屋で、納豆が出ると困惑したとのこと。そんな人も、いつの間にか、納豆好きになっている。匂いというのは不思議なものである。
お酒もそう。子供のうちは、なんて臭いものだ。よくこんなものが飲めるのだろう、と思う。しかし、いつの間にか酒の匂いが好きになる。
アルコール類の匂いの元は発酵である。ワインの発見者は誰だったか、という話がある。猿だったという説もある。腐った葡萄を猿が舐めているのを見て、発見したというのだ。
匂いに一番敏感なのは犬だ。だから警察犬が活躍するわけだが、犬が嫌いな匂いというのはあるのだろうか。ネット上では柑橘類が嫌いとある。
人にも臭いがある。香水で誤魔化すこともある。匂い大全などという本が出版されたら、大ベストセラーになるのではないだろうか。すでにあるのかもしれない。【彬】