イヌタデ
ゴミ用のポリ袋を開けようと、親指と人差し指で、袋を擦るのだが、表面をスルスルと滑るだけで、口が開けられない。イライラする。指先をキレイにすればと、ズボンで擦って滑り止めにしようとも、全然効果がない。
指先に湿り気がないのだ。濡れたフキンに触れ、ほんの少し指を湿らせる。するとどうだろう。指に吸い付くようにポリ袋が反応し、何んの力を加えずとも、重なったポリがずれて、口が開けられる。
こんな経験は歳とってからのものである。同年輩の女性が嘆いていた。ポリ袋が開けられない、指紋がすり減ったのかしら、と。
ポリ袋だけではない。新聞や本などの薄い紙でも同じである。うまくめくれない。
昔、年配の人が書類をめくったり、紙幣を数えるとき、指先をペロペロ舐めていたことを思い出す。変な癖だなと思っていたのだが、癖ではなく、滑り止めだったのだと、改めて知る次第。
高血圧とか、高コレストロールとか、各種癌とか、歳を重ねると様々な病害が出てくるが、本当は皮膚の劣化が問題ではないか。イボができたりシミができたり、シワシワになったりと。私は医者から皮膚が弱いと言われていて、最近は乾燥肌の上に、赤い斑点が脚中に拡がって、往生した。
病ではないが、高齢化による身体の劣化とどう付き合うか、難問である。【彬】