北京オリンピックで楽しみにしていたハンマー投げが終了した。
日本の期待を背負った室伏選手は5位入賞を果たした。
33歳という年齢から、優勝は難しいのではと思っていたので十分だった。4年間お疲れ様でした。
金メダルを獲得したアテネオリンピックの次の年は休養に当て、休養明けの一昨年は世界大会は82m以上の記録で負け知らずであった。博士号課程の論文に忙殺された昨年は82m以上が1回で、後は満足のいく投げは出来なかったと思われる。
良い時と悪い時が混在するのは、「伸び盛りの時」と「衰えてきた時」だ。今年に入り、調整しながら頑張っていることは分ったが、腰椎捻挫になったと聞いた時には体の衰えが迫ってきている、今までの負荷に体が耐えられなくなってきたことを感じた。
今日の投げをテレビで見ていたが、技術的にはこれ以上ないという完璧な投げではなかったかと思う。それプラス体力でさらに記録は伸びたはずだ。
今から23年前、室伏選手の父の室伏重信選手が日本新記録を出した。25歳の時の記録を12年ぶりに更新したのだ。ゆきたんくは大学を卒業し、ハンマー投げやる環境にはなかったので、重信選手の情報はかかさずに集めて青春を楽しんでいた。
そしてロス五輪(1984)で自己記録には程遠く、予選落ちした姿を見て年齢にはどんな名選手も勝てないことを感じた。後に水を抜くほど、膝に水が溜まっていたことがわかるが、これぞ体の衰えだ。しかし、当時は「中年の星」とか言われて話題になっていたし重信選手も頑張っていた。
そしてゆきたんくの陸上競技にかける青春の火は重信選手のフェードアウトともに静かに消えていった。
先日、ハンマー投げをやっている長男のおーちゃん(写真)が、大学を卒業したら陸上は終わりにすることを言っていた。来シーズンを10年間の青春の締めくくりにするつもりらしい。日々衰えていく室伏広治選手の姿を見て、引退が近いことを感じ自分に投影したのだろうか。
テレビ観戦で室伏選手が投げる度、納得いかない顔をしているのを、きっとこうだと解説してくれる。もう自分が投げているつもりなのだろう。
ゆきたんくは、息子と話をしながら、青春時代に引き戻されていた。もう体はハンマーを投げるどころではないが、テレビを見ている時にサークルの中に立っている自分を感じることができたからだ。いわゆるバーチャルな青春である。
そんなゆきたんくとは逆に、現役としての現在進行形の青春のまとめに入っているおーちゃんを見て、大人になったなあと思うゆきたんくであった。