遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米韓FTAでの韓国の現状

2011-11-12 00:49:19 | 日本を護ろう
 野田総理は、TPPについての記者会見で、「関係国との協議に入る」と表明しました。民主党・山田氏は、総理は党の提言を入れ、参加を思いとどまったとコメントしている様な、玉虫色の意思表明です。
 意思表明を一日伸ばし配慮を示したのですが、更に反対派に譲歩した、党内融和を重んじる態度表明です。
 日本が交渉に参加したいと言っても、先行する9ヵ国の承認がないと交渉にすら参加できないのですから、これから各国にお願いをすることになると言えなくはないのですが、本当は持っている信念を疑われかねない会見でした。
 この様な、同盟や国際条約交渉開始は、憲法が政府に建言を与えていて、結果を国会が批准するかしないかを議論するものを、今回は交渉参加について国会で議論した珍しいケースなのだそうですが、お隣の韓国では、米韓FTAの国内での批准で反対運動が展開されている様です。
 

韓国FTA戦略一貫 対欧州、アジア、米・… 「車で日本圧倒」 対米発効なら農畜産業は反対 (11/11 読売朝刊)

 
【ソウルー1中川孝之】韓国は、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉開始前から、欧米やアジアなどの巨大経済圏と自由貿易協定(FTA)を順調に結んできた。米韓FTAは、ライバルの日本を出し抜く格好の機会とみなされているが、農畜産業界や野党側の頑強な反対で、批准がストップしている。

 韓国政府によると、米韓FTAが発効すれば、95%の物品で関税が撤廃され、対米輸出は年平均で12億9000万が(約1000億円)増える。恩恵が大きいのは自動車産業で、乗用車やトラック、ベアリングの関税が5~10年以内にゼロになる。
 ある韓国政府関係者は「
日本がTPPに正式参加しても、多国間での交渉は難航するだろう。その間に、米自動車市場で日本を圧倒できる
」と話した。
 一方、米国側に譲歩した分野のうち、畜産業界の反発が激しい。
韓国産牛肉の単価は高く、韓国農林水産食品省の試算では、発効から15年間で総額約7兆3000億婆(約5000億円)の損失が発生。農畜産分野での損失の6割
を占める。
 米国産牛肉をめぐっては、李明博政権発足直後の2008年、牛海綿状脳症(BSE)問題で輸入停止していた米国産牛肉の輸入再開に反対した市民が、ソウル市内で数万人規模のデモを行うなど、安全性をめぐっても国民の不信感が強い。有力紙・朝鮮日報などの世論調査で、20~40歳代の5割が、米韓FTAの発効後は「米国産牛にBSEが発症しても輸入を止められない」とのネット上のうわさを信じている、と答えた。
 政府と与党ハンナラ党は10月末、
畜産農家への資金支援の拡大など、野党側の要望を受け入れ、妥協点を探ってきた

 盧武鉱前政権時代に交渉がスタートした米韓FTAは、同政権で冷え込んだ米韓関係を修復させる狙いもあり、当時与党側だった最大野党・民主党の議員らも賛成してきた。
 しかし、来年の大統領選で
政権奪回を目指す民主党は方針転換
し、米韓FTA反対の最強硬派の左派政党や市民団体と「野党連合」を結成する動きをみせており、与野党は妥協できない状況だ。
 野党側は、韓国が80か国以上との投資協定で採用している、国家と投資者の紛争を国際仲裁に委ねる手続きが韓国側に不利だと主張しており、批准の見通しは立たない。

対チリブドウ痛手被らず 米産牛関税40%…市場で国産上回る

 韓国中部・忠清北道の山間部にある永同郡は人口約5万人。農家の多くはブドウ、モモ、リンゴなどの果樹栽培で生計を立てている。衝撃を受けたのは、韓国が初の2国間FTAをチリと発効させ、大量のチリ産ブドウが流入することになった2004年だ。政府が創設したFTA被害基金により、廃業農家に対する転職補償、生産施設の近代化などに対する支援を農家は勝ち取った。同郡だけで同年~10年に約160億ウオン(11億円)の近代化資金が投入された。
 結果的には、チリ産ブドウは食感の違いから韓国市場に食い込めず、加工用に回った。韓国産は痛手を被らなかった。逆に、品種改良で甘味を増した永同ブドウは07年から米国に少量ながら輸出された。
 「いまでも米国産牛肉の値段は国産牛肉の3分の1。FTAによる経営悪化は避けられない」。韓国北西部・江原道春川市で国産ブランド牛約70頭を飼育する畜産業全基換さん(49)は米韓FTAが及ぼす影響に不安を隠さない。
 韓国は08年、BSEで停止していた米国産牛肉の輸入を再開。現在は40%の関税をかけている。当初は消費者に受け入れられなかったが、関税庁によると、今年の米国産牛肉の輸入量は9月までに8万7506トンに上り、国産牛と輸入牛の市場占有率は逆転した。韓国政府は国産牛を高級ブランドに育てるよう推奨しているが、全さんは「関税がゼロになれば品質の良い牛肉も入ってくるだろう」と話す。(韓国中部・忠清北道永同郡で宇恵一郎、ソウル門間順平)


 FTAに早くから取り組んできて、実績のある韓国ですが、米韓FTAでは牛肉がクローズアップされ、反対運動が盛り上がっているのですね。李明博大統領が就任早々に、蝋燭デモで洗礼をうけたのも米国産牛肉の輸入問題でした。その後、日本の20ヶ月以下との規制に対し、31ヶ月以下に緩和してきているのですが、FTAでの農畜産関連損失の6割が牛肉によってもたらされるとのことで、注目されているのですね。日本では米が注目されています。

 米韓FTAの取り組みを開始した今は野党の民主党は、当初は協力していたものの、政権奪回の政局優先に方針転換し、米韓FTAに反対をし始めたのだそうです。最大野党が、政局の具にしているところも、日本と同じです。

 ただ、日本と違う点は、小国であり、サムスン、LG、現代といった財閥の城下町国家でありその輸出のウエイトが大きく、日本企業との争いでは安値攻勢をせざるを得ないという、国家存亡の事情があること。したがって、産業界出身の李大統領はブレずに推し進めている事。畜産業界に手当を施していることです。

 ですが、自動車の輸出が増えると期待している韓国ですが、米国は雇用を重視していますから、日本車が求められた様に、現地生産が求められ期待するほどには自動車の輸出が伸びない。家電は、既に安い賃金の国民の犠牲と通貨安で、日本企業を凌いでいるので輸出競争で増えることはあまりないので、期待は裏切られ、米韓FTAのメリットは薄い。
 一方の日本は、自動車を現地生産しているし関税も低いのでTPPでの対米輸出効果はないとの説があるが、トラック関税は高いし、今回の大震災で証明されたとおり、東北からの部品の輸出が米国やアジアでの自動車生産に大きく影響を及ぼしたほど多く、この部分でのメリットはあるのです。
 韓国内への日本企業誘致には熱心ですが、そこで使う部品や原材料には関税も数々の規制も施して、日韓FTAには応じない韓国。米韓FTA導入後、目算通りに米国向け輸出で日本との競争での成果があるのかは、楽観を許さないと考えます。

 国会でも議論されていましたが、FTAAPへの参加は慎重派のだれもが(JAは反対のはずですが)賛成しています。
 その到達経路として、TPPなのか、ASEAN + 3 なのか、ASEAN + 6 なのかの選択ですが、野田氏はすべて排除しない中で、今動いているTPPにも参加すると回答していました。
 ASEAN + 3 は、中国が主導提唱している中国方式であり、日本が提唱していた、ASEAN + 6 は、民主党政権の大失政により、諸国の信頼を失い、だれも効く耳を持ってくれないのが実態で、日本がFTAAPでリーダー的地位に立つには、TPP参加のルートでたどり着くしかないのです。

 賛成派が沈黙し、反対派が党の主流となっている政局優先の自民党では野田首相の決断に頼るしかないTPP。野田氏も決断したのですから、ブレずに信念を貫いていただきたいものです。この点は、李大統領を見習うべきでしょう。
 デメリットの出る産業への手当の具体化と説明や、懸念される各種規制変更懸念の説明と国内方針の統一など、早急な着手や説明が必要ですが。





  この花の名前は、ウメバチソウ (撮影=六甲高山植物園)

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