遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中印確執で日本に訪れた「機会」

2020-07-16 01:25:36 | 英国全般
 「戦狼外交」の名の下、覇権拡大を進める中国への対抗には、QUADと称される日米豪印4カ国の提携を、国際政治枠組みや他の国々の対外政策構想に埋め込んでいく努力が今後一層、重要になってくる。
 
【正論】中印確執で日本に訪れた「機会」 東洋学園大学教授・櫻田淳 - 産経ニュース 2020.7.14

 ≪45年ぶりヒマラヤで衝突≫
 去る
6月15日夜、インド北部ラダック地方、中国・インド両国の係争地帯にあるヒマラヤ山脈中のガルワン峡谷にて、中国・インド両軍部隊が衝突した。その衝突では、インド軍に20人、中国軍に数十人の落命者が出た。それは1975年以来、45年ぶりの事態と相成った。1962年の国境紛争以降、燻(くすぶ)り続けてきた中国・インド両国の確執が再燃したのである。

 ロイター通信(6月18日配信)は、衝突を招いた要因として、「衝突に至るまでの数日間に、中国側がこの地帯に機械類を持ち込み、山中に小道を切り開き、川をせき止めた可能性さえあることが、衛星写真から判明した」と報じている。

 これに対して、中国外務省の趙立堅副報道局長は、「インド軍部隊が2度にわたり国境線を越えて違法な活動を行い、中国側に挑発行為や攻撃を仕掛け、重大な衝突に至った」と主張した。そして、「この事件の善悪ははっきりしている。責任は中国にはない」と断じているのである。

 
此度(このたび)の中国・インドの衝突の真相は定かではない。ただし、中国がたとえば南シナ海のような他の係争海域で示してきた対外姿勢を踏まえれば、中印国境のヒマラヤ山脈地帯でも似たような対外姿勢が取られたであろうと類推するのは、決して難しくない。

 ≪第一次大戦前のドイツに酷似≫
 筆者は、
現下の中国の対外姿勢に似た歴史事例を探すならば、それは第一次世界大戦前夜のドイツ帝国に求めることができるのであろうと考えてきた。確かに、ヴィルヘルム1世統治期の「ビスマルク外交」からヴィルヘルム2世統治期の「世界政策」に変質したドイツ帝国の軌跡は、トウ小平以来の「韜光養晦(とうこうようかい)」方針から「戦狼(せんろう)外交」に変質した中国の対外姿勢に重なる

 
「戦狼外交」の名の下、「利益」や「福祉」の確保よりも「面子(めんつ)」や「威信」の追求に重きが置かれるようになった中国の対外姿勢の様相は、南シナ海でもヒマラヤ山脈でも同じことが行われているという類推を一層、強くする。 昔日、田中角栄が政治の要諦(ようてい)として示した「敵を減らす」という準則は、国内政局だけではなく国際政治の場裡(じょうり)でも妥当するものであるが、中国の対外姿勢にあっては、そうした政治の準則は、明らかに顧みられていない。「戦狼外交」の末路が、そこに予見されている。

 ところで、現下の中印確執の再燃を前にして、
日本は、どのように対応すべきか

 
米ウォールストリート・ジャーナル紙電子版(6月23日配信)は、「インドは中国との対立で、他国による直接的な干渉には抵抗するとみられるものの、軍事力強化や地域における影響力拡大を目指し、米国やその同盟国と緊密に連携することで、中国に対する立場を強化しようとするとの見方が出ている」と伝えた上で、「インドは中国の封じ込めを狙う米国などと共闘態勢を探る。…米国や英国、オーストラリア、日本など、同じ考えを持った国々との外交努力を強化するだろう」というインド識者の展望を紹介している。

 こうした見解は、
日本にとって一つの「機会」が訪れていることを意味している。実際、安倍晋三第1次内閣期、当時の麻生太郎外務大臣が披露した「自由と繁栄の弧」構想、安倍第2次内閣発足に際して提起された「アジアの安全保障ダイヤモンド」構想、そして今や日米両国の共通構想となった感のある「自由で開かれたインド太平洋」構想においても、キーとしての位置付けを占めているのは、インドであった。

 ≪日本の対外政策の正しさ証明≫
 
米豪加各国や西欧諸国に並ぶ位置付けをインドに与えてきた日本の対外政策方針の正しさは、現今に至って証明されつつあるのではなかろうか。もっとも、インドは、パキスタン、バングラデシュ、スリランカのような隣接諸国を含めて、それ自体が一つの「文明圏域」や「世界」を成す国家である。

 米ソ冷戦下、インドが「非同盟諸国の盟主」として披露してきた自律性は、日米両国を含む「西方世界」諸国にとっては、インドと向き合う際の難儀さを感じさせるものであるかもしれない。しかし、それでもなお、
「世界最大の民主主義国家」としてのインドとの関係を固める努力の意義は、強調されなければなるまい

 折しも、過刻、
ドナルド・J・トランプ米大統領は、主要7カ国(G7)首脳会議の枠組みを拡大して、豪印露韓4カ国を加えるG11構想に言及した。この構想の行方はともかくとして、豪印両国を迎え入れることには、G7関係諸国にも異論はないであろう。日本としても、その動きを後押しする対応が求められよう。

 
QUADと称される日米豪印4カ国の提携は、G7に類する国際政治枠組みや他の国々の対外政策構想に埋め込んでいく
 
そうした努力が今後一層、重要になってくるであろう。(さくらだ じゅん)

 櫻田東洋学園大学教授は、現下の中国の対外姿勢に似た歴史事例を探すならば、それは第一次世界大戦前夜のドイツ帝国に求めることができる。ヴィルヘルム1世統治期の「ビスマルク外交」からヴィルヘルム2世統治期の「世界政策」に変質したドイツ帝国の軌跡は、トウ小平以来の「韜光養晦(とうこうようかい)」方針から「戦狼(せんろう)外交」に変質した中国の対外姿勢に重なると。
 
 「戦狼外交」の名の下、「利益」や「福祉」の確保よりも「面子」や「威信」の追求に重きが置かれるようになった中国の対外姿勢の様相は、南シナ海でもヒマラヤ山脈でも同じことが行われていると、ヒマラヤ山脈中のガルワン峡谷での、中国・インド両軍部隊の衝突を評論しておられます。

 インド、中国の双方が、相手が先に仕掛けたと主張していて、衝突の真相は定かではない。ただし、中国がたとえば南シナ海のような他の係争海域で示してきた対外姿勢を踏まえれば、中印国境のヒマラヤ山脈地帯でも似たような対外姿勢が取られたであろうと類推するのは、決して難しくないと櫻田教授。

 米ウォールストリート・ジャーナル紙電子版は、「インドは中国との対立で、米国やその同盟国と緊密に連携することで、中国に対する立場を強化しようとするとの見方が出ている」と伝え、「インドは中国の封じ込めを狙う米国などと共闘態勢を探る。…米国や英国、オーストラリア、日本など、同じ考えを持った国々との外交努力を強化するだろう」というインド識者の展望を紹介しているのだそうです。

 この流れは、日本にとって一つの「機会」が訪れていることを意味していると櫻田教授。
 安倍内閣は、「自由と繁栄の弧」構想、「アジアの安全保障ダイヤモンド」構想、そして今や日米両国の共通構想となった感のある「自由で開かれたインド太平洋」構想を唱え、インドをキー国として取り組んできました。
 米豪加各国や西欧諸国に並ぶ位置付けをインドに与えてきた日本の対外政策方針の正しさは、証明されつつあるのではなかろうかと。

 トランプ米大統領が突然、G7首脳会議の枠組みを拡大して、豪印露韓4カ国を加えるG11構想に言及したことは諸兄がご承知の通りです。
 豪印両国を迎え入れることには、G7関係諸国にも異論はないであろう。日本としても、その動きを後押しする対応が求められようと櫻田教授。
 
 インドは、パキスタン、バングラデシュ、スリランカのような隣接諸国を含めて、それ自体が一つの「文明圏域」や「世界」を成す国家。米ソ冷戦下、インドが「非同盟諸国の盟主」として披露してきた自律性を持ち、太平洋戦争の東京裁判では、日本にすべての責任を負わせようとした流れの中で、インドのパール判事が公平を保つ(日本をひいきしたのではない)様異論を主張されたことは、衆知のことですね。

 軍備については、中国を挟み撃ちに出来る地政の、ロシアからの導入も図る、巧妙さも備えていますね。
 人口で、近いうちに中国を上回り、大国に成長することで、世界から注目されている国でもあります。

 QUADと称される日米豪印4カ国の提携は、国際政治枠組みや他の国々の対外政策構想に埋め込んでいく努力が今後一層、重要になってくると櫻田教授。
 国連の肥大化と具体的組織疲労(老朽化の弊害)が際立ち始めている昨今。課題の具体的解決には、関係国単位での取り組みでの解決が有効となってきています。
 
 中国の覇権拡大と、その野望をけん制する米国との「新冷戦時代」。
 自由主義の価値を共有できるインドとの連携が、その地政も含め、重要さを増してきますね。



 # 冒頭の画像は、BRICS首脳会議に出席したインドのモディ首相と中国の習近平国家主席




  アシタバの蕾


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 令和2年版の防衛白書 中国... | トップ | 香港市民の希望と勇気が生み... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

英国全般」カテゴリの最新記事