秋の共産党大会後、習近平の中国は、台湾の併合に乗り出すと警戒されていますが、ワシントンのシンクタンクが、シミュレーションというよりも未来の可能性を予見する戦争ゲームを実施したのだそうです。
米台、戦争ゲームでは中国の侵攻に対抗可能 - WSJ By Warren P. Strobel (以下 WSJと略称) 2022年 8月 10日
【ワシントン】台湾侵攻後の最初の3週間で、中国は何十億ドル相当の米空母2隻を撃沈したほか、日本全土とグアムの米軍基地を攻撃し、何百機もの最新鋭の米戦闘機を撃破した。中国の状況は、どちらかといえばもっと悪かった。中国軍は台湾に上陸し、台湾南部の3分の1を占領した。しかし、米国と日本のミサイルと潜水艦による容赦ない攻撃により、揚陸艦隊は大打撃を被り、中国は自国軍への補給ができなかった。台北は台湾人によって安全に統治され、中国は、米国が持つ依然として強力な航空・海上戦力に対抗できるだけの長距離弾道ミサイルが不足していた。
上述した内容は、先週末ワシントンのシンクタンクが実施した戦争ゲームの結果だ。中国による台湾侵攻の試みがインド太平洋全域にわたりいかに破壊的な結果をもたらす可能性があるか、そして中国軍にとって台湾侵攻がいかに困難な挑戦であるかが示された。
この図上演習では、参加者が「赤組」と「青組」に分かれ、地図、20面のサイコロ、複雑なコンピューター計算などが用いられた。シミュレーションというよりも未来の可能性を予見するように思えた。このゲームが展開される中、現実の世界では、中国が台湾と日本の周辺にミサイルを撃ち込んだ。これはナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に抗議するために中国が軍事力を誇示したものだ。
演習に参加したポーラ・ソーンヒル元米空軍准将は「ここ数年まで、誰もこれが現実的だと考えてはいなかった」と話す。過去には戦争ゲーム信奉者が「主戦論者」と非難されることもあったが、それ以来、中国は軍事的な能力と野心をともに高めてきたという。
中国政府は台湾を反乱地域と見なし、本土との再統一を約束しており、そのためには軍事力行使も排除していない。一部のアナリストによると、ロシアがウクライナ侵攻後の早い段階で予想外の苦戦を強いられたことで、中国の習近平国家主席が躊躇している可能性があるという。一方、習氏が正反対の教訓を得たのではないかと懸念する向きもある。それは、初めから最大限の戦力を投入して台湾指導部を攻撃するというものだ。
7時間にわたる戦争ゲームは、3週間の戦闘をシミュレーションしたもので、近年の軍事的な進歩があったとしても、約160キロの台湾海峡を渡って陸海空から侵攻を始めることが中国にとっていかに困難な任務になるかを示した。
このゲームを主催したシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のシニアアドバイザー、マーク・カンシアン氏は、「恐らく最大の収穫は、大半の想定の下で、米国と台湾が台湾をうまく防衛できるということだ。これは多くの人々の印象と異なる」と述べた。
しかし、その代償は大きいとみられる。台湾経済が壊滅状態になるほか、米軍は回復するのに何年もかかるほどの打撃を受け、それが米国の世界的な力に影響するという事態だ。
CSISで行われたこのシミュレーションは、中国側とアメリカ側が互いの動きにどう反応するかを検証するものだ。
一部の米軍司令官は、中国人民解放軍創設から100年となる2027年が、台湾侵攻の時期になる可能性があると指摘している。
図上演習に参加したベッカ・ワッサー氏は2036年が、より可能性の高い時期だと述べる。ワッサー氏はシンクタンク「新アメリカ安全保障センター」の研究員。同氏は「2027年に中国が台湾に対して水陸両用作戦で侵攻に着手できる能力を持っている可能性は低い」と指摘。その場合、「それは中国が別のアプローチを取ることを示唆する」と付言した。
多くの専門家は、ペロシ氏の訪台を受けて中国が行っている大規模な実弾演習について、中国が力で打ちのめして服従を迫るのではなく、台湾を封鎖して締め付ける戦略を取ることを予見させると述べている。
専門家によれば、戦争ゲームは国防総省が行う機密扱いのシミュレーションと似ている。さまざまなシナリオがどのように展開されるか、また中国および米国主導の軍が相手側の行動にどのように反応するかなどのほか、それぞれが持つ兵器在庫の影響などを見極めるために設計されている。
想定される紛争は2026年に設定されており、双方の軍事能力は現実世界で示されている内容に限定されている。対戦チームは、さまざまな軍備、兵力を示す駒で埋まった太平洋地域の地図で各組が代わる代わるに手を打つ。次いで台湾の詳細な地図に移動する。航空機用の滑走路の規模から潜水艦の再装備にかかる時間まで、全ての項目はコンピューターによって計算される。さいころはランダム(不確実性)の要素の役割を果たす。
マサチューセッツ工科大学(MIT)と海軍大学の専門家らとともに今回の戦争ゲームの設計に2年間を費やしてきた前出CSISのカンシアン氏は「公開ドメインにあるこの種のものとしては、これが唯一のものだ」と語った。同氏によれば、この戦争ゲームのクリエーターたちは機密情報にアクセス可能な人物だけでなく、より広範囲な人々と結果を共有できることを望んでいたという。
戦争ゲームのシナリオは、中国が台湾への攻撃を決定し、台湾を軍事的に防衛するかどうかについて「あいまい戦略」の方針を公式にはとってきた米国が台湾支援に向かうという内容だ。このシナリオは核兵器の持つ潜在的役割は盛り込んでいない。
22回のシリーズの17回目に当たるこの日のゲームは、米軍にとって悲観的な想定で始まった。米軍は欧州での別の危機に気を取られ、太平洋地域での兵力増派が遅れた。一方、台湾の反撃能力は中国の情報操作や妨害活動によって打撃を受けた。
中国役を担当する赤組は、予想される米国の反撃を食い止めながら、できる限り迅速に台湾を制圧したいとの考えから、激しい攻撃を加える。
中国軍は、日本国内の複数の米軍基地と、太平洋上に展開する1つの空母打撃群に対し、弾道ミサイルを撃ち込み、幾つかの飛行中隊分の戦闘機を破壊し、空母と他の米艦船を沈没させる。中国軍は、台湾東岸の海上艦船による哨戒線を張り、台湾の陸上戦力の動きを阻害するため島内のインフラ設備を爆撃する。そして中国軍は最終的に、2万2000人の兵士を台湾の南東岸に上陸させ、徐々に北方へと進軍させる。進軍する先に存在する都市、市街地での戦闘を避けながら、港湾や空港の占領を目指す。
しかし戦争が長引くにつれて、米国と日本の側に有利な方向へと戦況は変化していく。艦船、航空機、兵員面の甚大な損失にもかかわらず、米軍は中国各地の港湾を爆撃し、中国艦船の哨戒線を壊滅させ、中国側の弱点を効果的に攻撃する。その弱点とは、中国軍の兵士、物資を台湾に運び込むための揚陸艦だ。
赤組のプレーヤーは、難所の多い台湾の地形図を詳細に調べ、別の戦略について熟慮する。「実戦の場では、(台湾の指導者らに対する)斬首作戦を試みる必要があるかもしれない」というのがその結論だった。
赤組のプレーヤーとなった前出のワッサー氏は「引き分けと言うより、何と言ったらいいか、勝者はいないが、敗者もいないといった感じに極めて近い」と語った。
と、いうのが戦争ゲームの結果。
中国による台湾侵攻の試みがインド太平洋全域にわたりいかに破壊的な結果をもたらす可能性があるか、そして中国軍にとって台湾侵攻がいかに困難な挑戦であるかが示された、とWSJ。
国共内戦で、日本と戦っていた国民党軍を、ソ連の支援を得ながら、後ろから攻撃。国民党軍を台湾に追いやった共産党軍。
その台湾を併合して、ようやく国境内戦の勝利が確定する。この毛沢東以来の悲願をたっせいすることで、毛沢東や鄧小平に追いつく看板実績を達成したいのが習近平。
このゲームを主催したシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のシニアアドバイザー、マーク・カンシアン氏は、「恐らく最大の収穫は、大半の想定の下で、米国と台湾が台湾をうまく防衛できるということだ。これは多くの人々の印象と異なる」と述べたのだそうです。
シンクタンク「新アメリカ安全保障センター」の研究員・ベッカ・ワッサー氏は、親交時期は2036年が、より可能性の高い時期だと。
戦争ゲームの結果について、ワッサー氏は「引き分けと言うより、勝者はいないが、敗者もいないといった感じに極めて近い」と。
米中の正規軍が正面から激戦をかわすのではなく、中国は今回の様な台湾包囲網を構築し兵糧攻めに出る可能性が高い?
その時、日米は、どうやって台湾を救うのか。
毎度しつこく引き合いに出して恐縮ですが、北京冬季五輪で、バイデン大統領が「外交的ボイコット」を提案した時、英国など自由主義陣営は素早く同調姿勢示す中、日本国内でも安倍首相や自民党有志議員も同調姿勢を迅速に示す様要求しましたが、米中二股外交で逡巡した岸田・林コンビは、回答が遅れました。その姿勢を観たバイデン氏は、岸田首相が首相就任に伴う会談申し入れしましたが、回答を暫く保留、結果オンライン面談に格下げされました。
迫る台湾海峡危機。当然、現在継続されている、尖閣諸島の実効支配争いも同時勃発。
日本は戦争当事者となります。岸田内閣、防衛大臣は浜田氏に交代しましたが、どのような戦術を用意しているのでしょう??
# 冒頭の画像は、浜田防衛大臣
浜田新防衛相「すごく重い任を得た」 - 産経ニュース
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