新型コロナ感染拡大が欧米では再来。日本でも、北海道、東京、大阪などで感染者の急増で早くも第3波到来の危機に直面した情勢ですね。
感染拡大防止と経済対策の二律背反にどう立ち向かうかは、世界中の人類共通の課題となり、各国が懸命に取り組んでいます。
直近の日本の関連する動きとして、RCEP加盟の中長期経済発展と遅れ気味の国内経済回復について、田中秀臣上武大学ビジネス情報学部教授が触れておられます。
いつ成立するのか果てしない議論が続くのではと、素人推測していて、TPPがアジアの自由貿易のスタンダードになればと期待していましたが、RCEPへの15か国の署名が実現しました。
どちらかというと、ASEAN諸国というより中国が主導権を握る感のあるRCEPですが、日本も参画して、中国の「オレ様ルール」がアジア経済圏で幅を利かせることを防がねばならないと田中教授。
日本にとっては、貿易額が最大の中国、3位の韓国と初めて結ぶ自由貿易協定となり、国内総生産(GDP)の合計、参加国人口合計のそれぞれが世界の約3割を占める巨大経済圏が動き始めることとなりました。
TPPに比べると、関税の撤廃については参加各国の既得権の保護が断然に優遇されていて、10~20年以上の長期にわたっての段階的な引き下げとなっていて、実現は長期間にわたり、その進捗状況の今後は不透明だと田中教授。
データ情報の自由化に向けてのルール作りや、国営企業の優遇についても障壁は高いままである。相変わらず自国の裁量の余地を最大限残し、国際的なルールの構築にはまったく不向きな「大国」であることを中国は示していると。
今回、菅首相がRCEPの署名に際して、インド太平洋構想に言及するときに使う「自由で開かれた」という文言をつけなかったことも話題になっていることは諸兄がご承知の通りで、遊爺も中国への忖度と不審に思いました。
もともと「自由で開かれたインド太平洋構想」は、対中国の安全保障・経済戦略の言いかえである。今回のように、中国というどんなに譲っても「開放的」とはいえない国を含む経済連携協定に、「開放性」の修辞を入れるのは無理ではないかと田中教授にしては珍しい許容性。
「公正」という言葉を加えたことは、発展途上国を含む東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国への配慮と思われるとも。菅首相の媚中・二階氏への配慮ではないことを願います。
今後の焦点は、TPPに米国とインド、そしてイギリスなどが加入するかどうかであると。
オバマ政権時には、日米が主導して一旦は合意したTPPですが、TPP不参加を公約に掲げたトランプ氏に政権交代し、TPP11になったのでした。イギリスについては、ブレグジット対策として、イギリス側でも参画を検討していることは、随所で報道されていますね。インドは中国主導に反発しているもの。
ポイントは上念氏も指摘するように、中韓を嫌うあまりに安易な日本ファーストに陥らないことだ。中韓をけん制するためにも、同盟国を基軸とした、国際的な場での交渉参加が大切だと田中教授。賛成です。
直近の国内の大きな課題は、新型コロナ感染拡大と、経済回復。
国際比較をしたときに、新型コロナ危機による経済の落ち込みを他の先進国に比べて防いだが、他方で景気回復という観点からは力が弱いことも鮮明と田中教授。
比重はむしろ景気刺激にあると。
しかし、西村担当大臣や専門家の分科会は、具体策には乏しく、国民の自粛におんぶにだっこのまま。
第一波、二波の検証に基づく冬季に生じる三波への施策を検討・構築したとの話は見聞していませんし、相変わらず国民や経営者への自粛要請。第一波、二波に耐えた自粛が、冬の感染拡大期に再び耐えられるものなのか。
特措法の改善も、実態に即した、地方の権限と国の財源支援の役割等改革が求められていますが、政府も専門家会議(分科会?)も国会も動く気配はなし!
北海道、東京、大阪で感染の急拡大傾向がみられ、対尾に追われていますが、政府は相変わらずの自粛要請の様子見。
東京都、新型コロナの警戒度を最高レベルへ 感染状況悪化で19日に引き上げ検討:東京新聞 TOKYO Web
コロナ感染者急増の大阪 病床計画で「誤算」 医師ら「非常事態近い」危機感訴え - 毎日新聞
菅首相は、解散の政局より、コロナ対策(感染拡大防止と経済維持)が優先としておられます。
安倍首相が退任時に託された施策。新型インフルエンザ等対策特別措置法の改善。政府、与野党、国会で早急な議論と法整備が求められますね。
# 冒頭の画像は、「GoToトラベル」の対象に東京が追加されて初の週末を迎え、大勢の観光客でにぎわう東京・浅草の仲見世通り
この花の名前は、鶏頭
↓よろしかったら、お願いします。
感染拡大防止と経済対策の二律背反にどう立ち向かうかは、世界中の人類共通の課題となり、各国が懸命に取り組んでいます。
直近の日本の関連する動きとして、RCEP加盟の中長期経済発展と遅れ気味の国内経済回復について、田中秀臣上武大学ビジネス情報学部教授が触れておられます。
中韓同舟RCEP批判は的外れ、日本の使命は習近平の「オレ様」阻止 2020/11/17 田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に、日本をはじめとする15カ国が署名した。世界経済の3割を占める巨大経済圏の誕生というのが教科書的な見出しかもしれないが、内実はかなり物足りない。
すでに日本が主導的な役割を担っている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に比べると、関税の撤廃については参加各国の既得権の保護が断然に優遇されていて、10~20年以上の長期にわたっての段階的な引き下げである。だが、中国は、アジア圏での多国間にまたがる「自由貿易」交渉をまとめ上げたと成果を強調するに違いない。それには冷めた対応が必要だと私は思う。
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日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)などによる巨大な経済圏の実現を目指す地域的な包括的経済連携(RCEP)交渉の首脳会合が15日、テレビ会議方式で開催され、交渉から離脱したインドを除く15カ国で協定に署名した。参加国全体での関税撤廃率は品目ベースで91%となる。日本にとっては、貿易額が最大の中国、3位の韓国と初めて結ぶ自由貿易協定となり、国内総生産(GDP)の合計、世界人口のそれぞれ約3割を占める巨大経済圏がスタートを切る。
RCEP協定署名 インド抜き15カ国で発効へ 日本、中韓と初の貿易協定 - 産経ニュース
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自由貿易交渉の成功の目安とされる90%をクリアしているものの、先進国と新興国と発展途上国が混在する今回の交渉では、実現は長期間にわたり、その進捗(しんちょく)状況の今後は不透明だ。今が売れ時ともいえる電気自動車の部品や蓄電池などでは中国の抵抗が強く、事実上、関税撤廃の効果はない。
また、中国の政治的統治の核心に触れるようなデータ情報の自由化に向けてのルール作りや、国営企業の優遇についても障壁は高いままである。相変わらず自国の裁量の余地を最大限残し、国際的なルールの構築にはまったく不向きな「大国」であることを中国は示しているともいえる。
日本の保守層の中にはRCEPの署名に批判的な人たちがいるが、単に中韓が入る枠組みを感情的に嫌っているようにしか思えない。どこまで実効性があるのか疑問が多いのは確かだが、それでも日本がRCEPに入ることはアジア圏での経済上のルール作りを主導する上で重要だ。
もし日本が加わらなければ、今まで以上に中国の「オレ様ルール」がアジア経済圏で幅を利かせる可能性が高い。日本のRCEPの発効を妨害することは、中国とおまけの韓国を利することにしかならないだろう。
今回、菅義偉(すが・よしひで)首相がRCEPの署名に際して、インド太平洋構想に言及するときに使う「自由で開かれた」という文言をつけなかったことも話題になっている。菅首相はRCEPを「自由で公正な経済圏」と表現したのである。
国際政治学の専門家たちの懸念はできるだけ尊重したい。ただ、もともと「自由で開かれたインド太平洋構想」は、対中国の安全保障・経済戦略の言いかえである。今回のように、中国というどんなに譲っても「開放的」とはいえない国、それも日本にとって安全保障上大きなリスクがある国を含む経済連携協定に、「開放性」の修辞を入れるのは無理ではないか。
また「自由」はいいとして、「公正」という言葉を加えたことは、発展途上国を含む東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国への配慮と思われる。
今後の焦点は、TPPに米国とインド、そしてイギリスなどが加入するかどうかである。経済評論家の上念司氏が文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」などで指摘しているように、経済でも安全保障でも、日本だけでやることは愚策だ。多国間にまたがる協調、そして同盟の構築が重要である。
特に民主主義の成熟度が近い国々と経済的な相互依存度をますます高めるためにも、米国とイギリスがTPPに参加するように積極的に交渉していくことが重要ではないだろうか。
RCEPの署名を通じて、改めて日本がアジア・環太平洋で直面する安全保障、政治、経済問題に再考の機会が生じるのはいいことだ。
繰り返すが、ポイントは上念氏も指摘するように、中韓を嫌うあまりに安易な日本ファーストに陥らないことだ。中韓をけん制するためにも、同盟国を基軸とした、国際的な場での交渉参加が大切だ。
RCEP署名の翌日、11月16日には第3四半期(2020年7~9月期)のGDP統計の速報が明らかになった。実質GDPは、年率に換算してプラス21・4%となったこと、そして、その勢いにもかかわらず新型コロナ危機前の水準には戻っていないことが指摘されている。
年率換算にすることは、経済の見方を過大にも過小にも誘導してしまう。その問題を抜きにしても、西村康稔経済再生担当相が記者会見で指摘しているように、経済に勢いをつけるだけのマインドの改善になっていないことは明白である。
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西村康稔経済再生担当相は16日の記者会見で「景気は4、5月を底として持ち直しの動きが続いている」と指摘。ただ、経済はコロナ前の水準を依然下回っているうえ、海外に比べ回復が遅いとされていることなどを挙げ、追加経済対策と今年度第3次補正予算案の編成で、景気の下支えに万全を期す考えを強調した。
7~9月期GDP、実質年率21・4%増 個人消費など大幅に反発 - 産経ニュース
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また、国際比較をしたときに、新型コロナ危機による経済の落ち込みを他の先進国に比べて防いだが、他方で景気回復という観点からは力が弱いことも鮮明である。
この連載でも何度も強調しているように、新型コロナ危機では感染拡大期の経済対策と景気刺激期の経済対策を分けることが重要である。現在は感染拡大に配慮しながら、景気刺激を行う段階のちょうどハイブリッド的な期間、過渡期である。そして、比重はむしろ景気刺激にある。
今回のGDP統計のベースになる家計調査によると、GoToトラベルの政策効果がかなり大きいことが明白だ。パック旅行費は8月が前年同月比87・3%減だったのに対し、9月は同61・4%減。宿泊料は8月の同47・1%減から、9月は同25・7%減だった。新型コロナ危機の前の水準には遠いが、回復効果が明瞭なのも事実だろう。
感染拡大に配慮しながら、GoToトラベルを含むキャンペーン自体の期間延長や対象事業の拡大が必要だ。また、海外の景気回復の戻りが早い国の特徴は、やはり持続的な家計支援にある。日本ではなぜか一律の定額給付金や消費減税の効果を否定する向きがあるが、まったく不可解な考えだ。公共事業の拡大は確実に地方経済と雇用の下支えをするだろう。
ただ、朝日新聞など旧来型のメディアでは、いまだに公共事業たたきの色彩が強いが、これは愚かしい見解でしかない。現状の日本経済には積極的な財政・金融政策でやらなくていいものはほとんどない。「すべてやる」という姿勢で臨むべきだ。
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に、日本をはじめとする15カ国が署名した。世界経済の3割を占める巨大経済圏の誕生というのが教科書的な見出しかもしれないが、内実はかなり物足りない。
すでに日本が主導的な役割を担っている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に比べると、関税の撤廃については参加各国の既得権の保護が断然に優遇されていて、10~20年以上の長期にわたっての段階的な引き下げである。だが、中国は、アジア圏での多国間にまたがる「自由貿易」交渉をまとめ上げたと成果を強調するに違いない。それには冷めた対応が必要だと私は思う。
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日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)などによる巨大な経済圏の実現を目指す地域的な包括的経済連携(RCEP)交渉の首脳会合が15日、テレビ会議方式で開催され、交渉から離脱したインドを除く15カ国で協定に署名した。参加国全体での関税撤廃率は品目ベースで91%となる。日本にとっては、貿易額が最大の中国、3位の韓国と初めて結ぶ自由貿易協定となり、国内総生産(GDP)の合計、世界人口のそれぞれ約3割を占める巨大経済圏がスタートを切る。
RCEP協定署名 インド抜き15カ国で発効へ 日本、中韓と初の貿易協定 - 産経ニュース
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自由貿易交渉の成功の目安とされる90%をクリアしているものの、先進国と新興国と発展途上国が混在する今回の交渉では、実現は長期間にわたり、その進捗(しんちょく)状況の今後は不透明だ。今が売れ時ともいえる電気自動車の部品や蓄電池などでは中国の抵抗が強く、事実上、関税撤廃の効果はない。
また、中国の政治的統治の核心に触れるようなデータ情報の自由化に向けてのルール作りや、国営企業の優遇についても障壁は高いままである。相変わらず自国の裁量の余地を最大限残し、国際的なルールの構築にはまったく不向きな「大国」であることを中国は示しているともいえる。
日本の保守層の中にはRCEPの署名に批判的な人たちがいるが、単に中韓が入る枠組みを感情的に嫌っているようにしか思えない。どこまで実効性があるのか疑問が多いのは確かだが、それでも日本がRCEPに入ることはアジア圏での経済上のルール作りを主導する上で重要だ。
もし日本が加わらなければ、今まで以上に中国の「オレ様ルール」がアジア経済圏で幅を利かせる可能性が高い。日本のRCEPの発効を妨害することは、中国とおまけの韓国を利することにしかならないだろう。
今回、菅義偉(すが・よしひで)首相がRCEPの署名に際して、インド太平洋構想に言及するときに使う「自由で開かれた」という文言をつけなかったことも話題になっている。菅首相はRCEPを「自由で公正な経済圏」と表現したのである。
国際政治学の専門家たちの懸念はできるだけ尊重したい。ただ、もともと「自由で開かれたインド太平洋構想」は、対中国の安全保障・経済戦略の言いかえである。今回のように、中国というどんなに譲っても「開放的」とはいえない国、それも日本にとって安全保障上大きなリスクがある国を含む経済連携協定に、「開放性」の修辞を入れるのは無理ではないか。
また「自由」はいいとして、「公正」という言葉を加えたことは、発展途上国を含む東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国への配慮と思われる。
今後の焦点は、TPPに米国とインド、そしてイギリスなどが加入するかどうかである。経済評論家の上念司氏が文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」などで指摘しているように、経済でも安全保障でも、日本だけでやることは愚策だ。多国間にまたがる協調、そして同盟の構築が重要である。
特に民主主義の成熟度が近い国々と経済的な相互依存度をますます高めるためにも、米国とイギリスがTPPに参加するように積極的に交渉していくことが重要ではないだろうか。
RCEPの署名を通じて、改めて日本がアジア・環太平洋で直面する安全保障、政治、経済問題に再考の機会が生じるのはいいことだ。
繰り返すが、ポイントは上念氏も指摘するように、中韓を嫌うあまりに安易な日本ファーストに陥らないことだ。中韓をけん制するためにも、同盟国を基軸とした、国際的な場での交渉参加が大切だ。
RCEP署名の翌日、11月16日には第3四半期(2020年7~9月期)のGDP統計の速報が明らかになった。実質GDPは、年率に換算してプラス21・4%となったこと、そして、その勢いにもかかわらず新型コロナ危機前の水準には戻っていないことが指摘されている。
年率換算にすることは、経済の見方を過大にも過小にも誘導してしまう。その問題を抜きにしても、西村康稔経済再生担当相が記者会見で指摘しているように、経済に勢いをつけるだけのマインドの改善になっていないことは明白である。
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西村康稔経済再生担当相は16日の記者会見で「景気は4、5月を底として持ち直しの動きが続いている」と指摘。ただ、経済はコロナ前の水準を依然下回っているうえ、海外に比べ回復が遅いとされていることなどを挙げ、追加経済対策と今年度第3次補正予算案の編成で、景気の下支えに万全を期す考えを強調した。
7~9月期GDP、実質年率21・4%増 個人消費など大幅に反発 - 産経ニュース
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また、国際比較をしたときに、新型コロナ危機による経済の落ち込みを他の先進国に比べて防いだが、他方で景気回復という観点からは力が弱いことも鮮明である。
この連載でも何度も強調しているように、新型コロナ危機では感染拡大期の経済対策と景気刺激期の経済対策を分けることが重要である。現在は感染拡大に配慮しながら、景気刺激を行う段階のちょうどハイブリッド的な期間、過渡期である。そして、比重はむしろ景気刺激にある。
今回のGDP統計のベースになる家計調査によると、GoToトラベルの政策効果がかなり大きいことが明白だ。パック旅行費は8月が前年同月比87・3%減だったのに対し、9月は同61・4%減。宿泊料は8月の同47・1%減から、9月は同25・7%減だった。新型コロナ危機の前の水準には遠いが、回復効果が明瞭なのも事実だろう。
感染拡大に配慮しながら、GoToトラベルを含むキャンペーン自体の期間延長や対象事業の拡大が必要だ。また、海外の景気回復の戻りが早い国の特徴は、やはり持続的な家計支援にある。日本ではなぜか一律の定額給付金や消費減税の効果を否定する向きがあるが、まったく不可解な考えだ。公共事業の拡大は確実に地方経済と雇用の下支えをするだろう。
ただ、朝日新聞など旧来型のメディアでは、いまだに公共事業たたきの色彩が強いが、これは愚かしい見解でしかない。現状の日本経済には積極的な財政・金融政策でやらなくていいものはほとんどない。「すべてやる」という姿勢で臨むべきだ。
いつ成立するのか果てしない議論が続くのではと、素人推測していて、TPPがアジアの自由貿易のスタンダードになればと期待していましたが、RCEPへの15か国の署名が実現しました。
どちらかというと、ASEAN諸国というより中国が主導権を握る感のあるRCEPですが、日本も参画して、中国の「オレ様ルール」がアジア経済圏で幅を利かせることを防がねばならないと田中教授。
日本にとっては、貿易額が最大の中国、3位の韓国と初めて結ぶ自由貿易協定となり、国内総生産(GDP)の合計、参加国人口合計のそれぞれが世界の約3割を占める巨大経済圏が動き始めることとなりました。
TPPに比べると、関税の撤廃については参加各国の既得権の保護が断然に優遇されていて、10~20年以上の長期にわたっての段階的な引き下げとなっていて、実現は長期間にわたり、その進捗状況の今後は不透明だと田中教授。
データ情報の自由化に向けてのルール作りや、国営企業の優遇についても障壁は高いままである。相変わらず自国の裁量の余地を最大限残し、国際的なルールの構築にはまったく不向きな「大国」であることを中国は示していると。
今回、菅首相がRCEPの署名に際して、インド太平洋構想に言及するときに使う「自由で開かれた」という文言をつけなかったことも話題になっていることは諸兄がご承知の通りで、遊爺も中国への忖度と不審に思いました。
もともと「自由で開かれたインド太平洋構想」は、対中国の安全保障・経済戦略の言いかえである。今回のように、中国というどんなに譲っても「開放的」とはいえない国を含む経済連携協定に、「開放性」の修辞を入れるのは無理ではないかと田中教授にしては珍しい許容性。
「公正」という言葉を加えたことは、発展途上国を含む東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国への配慮と思われるとも。菅首相の媚中・二階氏への配慮ではないことを願います。
今後の焦点は、TPPに米国とインド、そしてイギリスなどが加入するかどうかであると。
オバマ政権時には、日米が主導して一旦は合意したTPPですが、TPP不参加を公約に掲げたトランプ氏に政権交代し、TPP11になったのでした。イギリスについては、ブレグジット対策として、イギリス側でも参画を検討していることは、随所で報道されていますね。インドは中国主導に反発しているもの。
ポイントは上念氏も指摘するように、中韓を嫌うあまりに安易な日本ファーストに陥らないことだ。中韓をけん制するためにも、同盟国を基軸とした、国際的な場での交渉参加が大切だと田中教授。賛成です。
直近の国内の大きな課題は、新型コロナ感染拡大と、経済回復。
国際比較をしたときに、新型コロナ危機による経済の落ち込みを他の先進国に比べて防いだが、他方で景気回復という観点からは力が弱いことも鮮明と田中教授。
比重はむしろ景気刺激にあると。
しかし、西村担当大臣や専門家の分科会は、具体策には乏しく、国民の自粛におんぶにだっこのまま。
第一波、二波の検証に基づく冬季に生じる三波への施策を検討・構築したとの話は見聞していませんし、相変わらず国民や経営者への自粛要請。第一波、二波に耐えた自粛が、冬の感染拡大期に再び耐えられるものなのか。
特措法の改善も、実態に即した、地方の権限と国の財源支援の役割等改革が求められていますが、政府も専門家会議(分科会?)も国会も動く気配はなし!
北海道、東京、大阪で感染の急拡大傾向がみられ、対尾に追われていますが、政府は相変わらずの自粛要請の様子見。
東京都、新型コロナの警戒度を最高レベルへ 感染状況悪化で19日に引き上げ検討:東京新聞 TOKYO Web
コロナ感染者急増の大阪 病床計画で「誤算」 医師ら「非常事態近い」危機感訴え - 毎日新聞
菅首相は、解散の政局より、コロナ対策(感染拡大防止と経済維持)が優先としておられます。
安倍首相が退任時に託された施策。新型インフルエンザ等対策特別措置法の改善。政府、与野党、国会で早急な議論と法整備が求められますね。
# 冒頭の画像は、「GoToトラベル」の対象に東京が追加されて初の週末を迎え、大勢の観光客でにぎわう東京・浅草の仲見世通り
この花の名前は、鶏頭
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