遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

ASEANの中国包囲網のリーダー・ベトナムも姿勢に波がある

2011-07-17 00:24:01 | 東シナ海ガス田
 昨年、ASEANの議長国であったベトナムは、南シナ海への中国の覇権拡大による脅威に対抗する為、各国が個別に対処するのではなく、ASEANのグループとして交渉する包囲網造りを進め、ASEAN + 米国での連携強化も進めてきました。以来、中国の札束外交での分断作戦があったりで低調化したりもしていましたが、最近は米国の積極姿勢もあり、合同軍事訓練を実施・牽制のアピールを強めていました。
 ところが、またまたベトナムは波の下降期に入った様です。中国の外交を統括する戴乗国・国務委員とベトナムのホー・スアン・ソン外務次官が会談したのが転機だとのことですが、何が話し合われたのでしょう。
 朝日が、下記抜粋・転載記事に続けて、元中国軍少将のインタビュー記事も載せていました。インタビューで述べられたような中国軍の脅しが効いたのでしょうか?
 

南シナ海ベトナム苦心 ARF控え中国配慮 ■世論は反中 (7/16 朝日朝刊)

 米国とベトナムの海軍による合同訓練が15日、ベトナム中部のダナンで始まった。南シナ海の領有権問題で対立関係にある中国が警戒する中、当初は公開を予定していた訓練は、非公開に。23日に開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)を前に、ベトナムの対中軟化の姿勢が目立つ


米との訓練非公開に
 訓練には、米海軍から最新鋭イージス駆逐艦2隻と救難艦1隻が参加する。だが、米軍人の市内での医療支援活動や学校訪問のみ、報道陣に公開されることが直前になって決まった。

<中略>

 昨年、ハノイで開かれたARFでは、参加各国が次々と中国の南シナ海進出への懸念を表明。「中国包囲網」を形成した。その一翼を議長国として担ったベトナムだが、ここへ来て対中配慮の姿勢に転じている

 5月下旬以降、南シナ海でベトナム船への妨害を繰り返した中国に対し、ハノイでは反中デモが毎週日曜日に開かれていた。だが6週目となる今月10日、治安当局はそれまでの容認姿勢を一転させ、参加者を連行。強制的に解散させた。

<中略>

 北京で6月25日、中国の外交を統括する戴乗国・国務委員とベトナムのホー・スアン・ソン外務次官が会談。南シナ海問題を「外交交渉と友好的な協議を通じて平和的に解決する」と確認した。これが節目
になったようだ。
 ハノイの外交筋は「抗議デモは体制批判につながりかねないが、最初から中止させては不満がたまる。と同時に、中国を刺激しすぎると強硬姿勢がさらに強まるリスクもある」と話す。 (ダナン=四倉幹木、バンコク=古田大輔)

 元中国軍少将のインタビューは以下。東シナ海のEEZ境界線でのガス田共同開発にも触れられています。
 

「武力挑発したら反撃」 元中国軍少将 (7/16 朝日朝刊)

 
中国とベトナム、フィリピンなどが領有権を巡って緊張を高める南シナ海問題は、23日にインドネシアで開かれるASEAN地域フォーラム(ARF)論の焦点だ。中国の強硬姿勢を支える主張はどんなものなのか。元人民解放軍総参謀部少将で中国軍備管理軍縮協会理事の徐光裕氏に聞いた。

━━なぜ、こんな緊張した状況になったのですか。
 中国がもう我慢できなくなったからだ。以前、中国が国内問題で注意がそれていた時に、ベトナムは(南シナ海で)29の島を占領した。もし今、行動に出なければ、(領土を失う)危険はさらに増していく。
中国は「南シナ海はすべて自分の領海だ」と言ったことはない。南シナ海の島々は、西沙も東沙も中沙も南沙も、すべて中国の固有の領土だ、と言っているだけだ。これは変わらない。
━━どうしてベトナムの探査船のケーブルを切断したのですか。
 ベトナムは現在の油田の範囲を超えて、開発を広げようとした。我々は現状で凍結し、拡張をやめろと何度も警告した。それでも続けたのだから仕方ない。こちらが動かなければ、占領を広げるのが彼らのやり方だ。我々が挑発したのではなく、彼らが挑発したのだ。
━━今後、武力衝突の危険性はないのですか。
 もし、ベトナムが武力挑発するなら、中国は厳しい反撃をする。そのときは、一つの島の奪還ではすまない。29島を全部取り戻す。中国に強硬姿勢をとって、いいことはない。我々は南シナ海で海軍演習も空軍演習も上陸演習もしている。
━━米国が訴えている南シナ海の「航行の自由」についてどう考えますか。
 「航行の自由」の問題は存在しない。我々が反対しているのは、米国の軍事活動だ。南シナ海で米国は軍艦や軍用機での偵察を頻繁に行い、軍事演習もしている。海南島には我々の海軍基地があり、潜水艦の補修基地もあるからだ。将来はおそらく、空母の重要な基地になるだろう。米軍は時に(中国領海に)極めて接近してくるが、我々はずっと我慢してきた。
━━東シナ海で、日中のガス田共同開発の話が進んでいないのはなぜですか。
 日本の言う「日中中間線」を認めたとしても、ガス田「春暁」(日本名・白樺)はその西側(中国側)にある。争いなく中国のものだ。(日本の主張は)ひどすぎる。
中間線の東側(日本側)の係争地域なら、共同開発を協議できる


強硬派の意見政策に影響か

 中国政府は、南シナ海問題の「友好的な協議を通じた平和的な解決」(戴乗国国務委員)を求める姿勢を強調している。徐氏の発言は、中国政府や中国軍の公式の見解ではない。
 しかし、南シナ海で最近、中国の強硬姿勢が目立ち、領有権を巡る争いが相次いでいるのは事実。徐氏のような強硬的な意見は、軍部を中心とした少なからぬ
当局者の「本音」であり、政策決定にも一定の影響
を与えているとみられる。
 東シナ海のガス田の日中共同開発を巡って、両国政府の合意に基づく協議が進んでいないのも、こうした強硬派の意見が関係しているとの指摘がある。
 
内戦を経て権力を握った共産党において、軍の存在感は極めて大きい。その中の強硬な主張をどうコントロールしていくのか。指導部にとっても難しい問題になりつつある。 (北京口古谷浩一)

 軍の強硬姿勢は、時折幹部の暴言で推察出来ていることですね。そして、胡錦濤、温家宝両首脳も暴走には悩まされ続けてきていますね。
 これまでも戦火を交えてきた中越です。今度動くときは、29島すべて奪うという脅しは、最近の中国人民解放軍の動きをみると、単なる脅しとは言い切れないですね。
 いざと言うときに頼りにするのは米国。残念ながら、憲法解釈で行動規制がある日本には頼れない。
 共産党一党支配の体制は中国と同じなので、悩みも中国と同じ悩みがあるベトナム。揺れ動く姿勢は、世界最強の米軍を敗走・撤退させたベトナムですから、単なる軍事的圧力によるものだけではないでしょう。

 久々に東シナ海ガス田の話題が出ました。
 EEZの日本側の資源を共同開発するかは、日本が決めることです。もちろん、中国側の資源は中国のものですから、日本も共同開発を無理に持ちかけたりはしません。
 問題になっているのは、EEZの境界にまたがる資源です。中国側から、日本のEEZ側の資源も吸い上げることになるから、共同開発ということで解決の道筋をつけようと双方が歩み寄ったものです。
 それを、人民解放軍の中華・覇権拡大思想の強硬姿勢が、自分のものは自分ひとりのもの、他人の者も強弁して自分のものにするという発想で崩しにかかっているのですね。

 ベトナムの強硬姿勢と、米国を巻き込む包囲網戦略に、さすがの中国も戴乗国・国務委員が動いたのです。
 日本の民主党政権では、とてもなしえない技ですね。
 日本は、日米同盟の強化、日米豪の同盟強化、インドを含めたアジア各国との連携での中国包囲網への積極参加が一段と求められます。




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