金正日総書記の独裁体制批判や健康問題を知らせる内容なので、北朝鮮側は南北関係の全面遮断にまで言及して、中止を求めていて、韓国政府もビラ散布の自制を求めているのだそうですが、団体側は「住民への情報提供が北朝鮮を変える近道」として継続を主張しているのだそうです。
<前略>
北朝鮮では現在、収穫のために全国から大学生が動員されたとされ、李代表(北韓キリスト者連合代表)は穀倉地帯の平野に狙いを定めている。「閉鎖的な北朝鮮社会では、口コミ情報が重要。大学生がビラを拾えば全国に広がる」と考えているからだ。
韓国政府はかつて、北朝鮮の体制批判のため、ビラをまいたが、南北融和路線を取った左派の盧武鉉政権が2004年 6月、中傷の相互中止で北朝鮮と合意。韓国政府はその後もビラを散布していないが、李代表は政府方針に疑問を抱き、金総書記批判のビラを飛ばしてきた。
これに対し、北朝鮮側は「合意違反」と強く非難。10月 2日の南北軍事実務会談では、韓国側に中止や関係者処罰を要求、散布を続けるならば、経済協力事業、開城工業団地に悪影響が出るなどと警告した。10月27日の軍事実務者接触でも同様に非難したが、韓国政府は「民間団体に自制を働きかけている」と反論。実際、「微妙な時期だから、やめてほしい」と民間団体に要請し続けている。
それでも李代表が続けるのは、ビラから脱北を決意した自身の経験があるからだ。李代表は北朝鮮で「朝鮮戦争を起こしたのは北朝鮮だ」と書かれた韓国政府のビラを読み、政治体制に疑問を持つようになったという。
地道な情報戦が、外界から遮断された独裁体制を内部から突き崩せるのか--。李代表は「住民がビラを見て体制の矛盾を考えるようになることが、金総書記にとっての最大のダメージになる」と話している。
朝鮮日報を見ると、ビラの効果は大きい様子で、韓国政府に対しても北の脅しに屈しないよう求めている意見が多いように見受けられます。
ビラの散布は、風船や気球を利用して飛ばし、ビラの数は、多いときは一度に数十万枚に達するのだそうです。風船一つに1万枚を吊り下げ、タイマーを使って地域ごとにビラの包みをばらまくことが出来るのだそうです。1カ月で310万枚のビラを北朝鮮全域にまいたこともあるということてす。
工業団地の閉鎖や経済協力事業の断絶は、北側にとって困ることだと思われますが、韓国の進出企業の痛手が大きく、そのことを北側がみすかして脅しているのだそうです。相変わらずの捨て身のギリギリの線での交渉です。
この交渉術で、米(中も合意支持)はテロ支援国家指定の除外をさせられてしまいました。ブッシュ大統領は、歴史に名声を残そうとしたのかもしれませんが、悪名の上塗りをしただけです。日本より、中国を重視していることの現れで、民主党政権になれば、一段とその傾向は強まり、はしごを外された日本は、オーストラリア(親中のケビン・ラッド首相)などの北支援国が増えることもあり、孤立の度合いを深めつつある、起死回生の外交手腕の発揮が求められる苦境にあります。
盧武鉉政権であれば即刻ビラ散布中止を強要したのでしょうが、李明博大統領は、民間団体に要請しているとして、自国の主権を保っています。盧武鉉前大統領と比較をすること自体失礼なのですが、あっぱれと言えます。
北朝鮮は、李明博大統領のこの姿勢を非難し、「我が軍隊の断固たる実践行動が伴うことになる」と警告しています。
それだけ、ビラの効果が大きいことを物語っていますね。
朝鮮中央通信や朝鮮中央テレビ、労働新聞は2日、金正日総書記が第11回人民体育大会の関連行事として行われた朝鮮人民軍のサッカー競技を観戦したと報じ、写真を公開したのだそうですが...?
「金総書記サッカー観戦で写真公開 左手だらり…麻痺あり?」世界から‐韓国・北朝鮮ニュース:イザ!
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さらに北朝鮮は開城工業団地に持ち込まれる韓国側の定期出版物もこれまで以上に厳しく禁止し、違反した韓国人には理由に関係なく追放の処分を与えるそうです。
これでは北朝鮮の民衆はますます国外の情勢には疎くなります。脱北者の団体、拉致被害者の団体などの韓国の団体は、巨大風船の代わりに、短波FMラジオ放送による情報伝達を試みたらどうでしょうか。その前に、北朝鮮民衆にこれを聞く手段を与えねばなりません。そのために小型短波ラジオ受信機を北朝鮮の民衆に与える必要があります。それらを運ぶのに、それこそ上記の巨大風船を使ったらどうなのでしょうか。これは一つの提案です。
(参考)開城工業団地要員を大幅削減 北朝鮮2008.12.119:11(http://sankei.jp.msn.com/world/korea/081201/kor0812011914007-n1.htm)
【ソウル=水沼啓子】朝鮮半島の南北陸路通行をめぐり、北朝鮮は1日、事前の通告通り韓国からの通行制限を始めた。韓国統一省によると、北朝鮮は前日夜、南北経済協力事業の「開城工業団地」に常駐する韓国側社員や職員の人数を大幅に削減し、880人のみの通行を許可すると韓国側に通告。また、韓国の新聞や雑誌、CDなどの持ち込みも厳格に禁止するとした。
工業団地ではこれまで約4000人の韓国人社員らの駐在が許可され、1500~1700人が常駐していた。通告により、対象から外れた社員らは72時間以内に撤収する予定だ。
軍事境界線に近い韓国側の南北出入事務所では、常駐人員名簿から外れたことを知らずに通行しようとした関係者らが入境できず引き返したという。韓国側要員がほぼ半減することから、工業団地の生産活動への影響も懸念されている。
また、北朝鮮は開城工業団地に持ち込む韓国側の定期出版物も厳しく禁止し、開城工業団地管理委員会の関係者に対しても例外なく適用するとした。これまで、例外的に管理委には9種類の新聞20部の搬入を認めていたが、今後、搬入した場合、理由に関係なく追放処分となる。
統一省の報道官は1日、北朝鮮側の措置について「大変遺憾に思う」との声明を発表し、「紛争問題を対話と協議を通じて解決するとした、(昨年10月の)南北合意に反する」と強調した。
一方、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は同日、「北南関係を破局へと追い込んだ自分らの犯罪的責任を逃れ、内外世論をミスリードするための詭弁(きべん)であり、わが方に対する許し難い挑発である」と韓国側を非難した。
> 小型短波ラジオ受信機を北朝鮮の民衆に与える必要があります。それらを運ぶのに、それこそ上記の巨大風船を使ったらどうなのでしょうか。これは一つの提案です。
充電してリサイクル可能な電池もつけて...。
効果はおおきいでしょうね。
ビラも効いているようで、農場など至る所にビラが散在し、散布地域では大騒ぎになっていて、軍の部隊や国家安全保衛部などの保安関連機関が総動員され、ビラを所持していないか通行人らの荷物も調べているのだそうですね。(12/4 産経)
ただし残念なことに、12/6の産経新聞の報道によると、「自由北韓運動連合」と「拉北者家族会」は、与党ハンナラ党の要請を受け入れ、ビラ散布を当面中断することにしたそうですね。
李明博大統領は、北の追求をかわしていたのですが、最近の北の強硬な態度にハンナラ党が妥協したのでしょうか?
要は、ノ・ムヒョンの時は、北も黙認してた。
2MBになって、北に対する態度が著しく対決姿勢になったから北も神経をとがらせているというわけです。
誤解なきように。
その政府方針に疑問をいだいた李代表の団体などがビラの散布を再開したのでは...?