【続】深まるチャイナリスク懸念 (1)の続きです。
武者陵司氏の記事の続きで、中国国内の権力闘争と習近平への海外の評価についての記事
全世界に広まった株安の震源が中国であるとの世論に対して、中国は、米国の金利操作が元凶と反論しています。
力による現状変更を実行しているロシアと中国。ロシアについては、G7が経済制裁をしていますが、中国については、遠く離れた欧州諸国は鈍感で、目前の利益をもとめ、AIIBに雪崩をうって加盟しました。中国の謀略にまんまと嵌められています。嵌められるとは判っていても、直接の脅威がないので、目前の利益を追いかけているのでしょう。
南シナ海での暴挙。これを軍事力で排除できないご時世ですが、このままやり放題でいいはずがありません。
対露制裁の様に、G7が団結することも、英独仏伊のAIIB加盟で出来ません。
そこで、中国経済の衰弱を放置すると言う手を、日米が採る。米国がそう考えているとすれば、中国が、元凶は米国と反論するのも一理あると言えますが、どうでしょう。
4~5日にトルコの首都アンカラで開催されるG20の会合で議題にされるとの話があります。利害が異なる大勢が集まる会合で、どれだけのことが決められるのか。期待はしませんが注目はします。右肩上がりで隆盛を誇っていた中国に、突っ込みどころ満載となる会議。みものではあります。
中国経済の構造問題を議論へ G20財務相会議、麻生氏表明 :日本経済新聞
# 冒頭の画像は、中国人民銀行本店
この花の名前は、フタリシズカ
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武者陵司氏の記事の続きで、中国国内の権力闘争と習近平への海外の評価についての記事
外貨逼迫する中国、脆弱な対外金融力、再元安不可避に | JBpress(日本ビジネスプレス)
■(6) 追加的不安、権力闘争と地政学
不安を高めているのが、国内の権力闘争と海外の厳しい習近平政権批判
国内ではハエも虎も叩く整風運動が経済活力を奪いリスク回避心理を強めざるを得ない。また習近平政権の相次ぐライバルの訴追により、本来集団指導であるはずの共産党統治が個人独裁化している。それは中国政府の統治能力、経済危機管理能力を大きく削いでいく可能性がある。
地政学的リスクも無視できない
米国と世界のリベラル・デモクラシー世論の対中硬化が顕著である。エコノミスト誌は、”Xi’shistory lessons”という過激なカバーストーリ―を掲載した。
表紙には、習近平国家主席が鉄砲を持っていて、鉄砲の先にペンが描かれている。エコノミスト誌の主張は ”How China rewrites thepast to control the future”、中国は、過去の歴史を書き換えることによって、軍事的台頭という将来の野望を正当化しようとしている、というものである。エコノミストは中国習政権による過去の歴史の書き換えとして、①日本の侵略に対して戦ったのは蒋介石率いる国民党政府であるのに、その成果をあたかも毛沢東率いる共産党の手柄にしていること、②過去70年間一発の発砲もしなかった平和主義の日本を侵略性を持つ国と悪魔化している、の2点を挙げ、それが中国習政権の軍事的野望を正当化するものとなっている、としている。
このエコノミスト誌の主張は、「侵略の過去を軽んじ、中国の脅威を誇張する」として、日本の保守主義者や安倍首相に批判を浴びせてきた、その見解そのものであり、エコノミスト誌が急速に軸を変えていることを示している。それは国際的リベラル・デモクラシーの陣営が大きく対中警戒にシフトしていることを示唆する。
米国は中国の南沙岩礁埋め立てによる滑走路、軍事基地建設を絶対に容認しないだろう。すでにレッドラインを超えた中国は、どう対応するのだろうか。9月の習近平訪米は、この問題を巡って正面衝突を引き起す公算が強い。この中国の意図をくじくにはどうするか、直接軍事的に退治できないとすれば、中国経済の衰弱しかないではないか、米国政権の優先順位は経済から地政学へとシフトし、それが世界株式の当面の制約要因になる、という要素を考えておくべきかもしれない。
■(7) 当面の市場をどう見るか
以上は中国問題の潜在的リスクがいかに大きいかを物語るが、それが直ちに顕在化するとは限らない。また中国リスクは対中債権の大半を保有する、華僑資本が影響力を持つ国に集中しており、米日欧先進国への波及は限定的と見られる。
言うまでもなく米・日・欧先進国は経済拡大の途上にあり、世界リセッションの可能性は低い。加えて中国リスクの高まり、世界的株価下落に対しては各国では追加的政策、量的金融の増額、財政拡大が打ち出され、それも株価をさえるだろう。他方中国でも超弩級の景気対策、資本取引規制や為替統制、市場価格操作などが打ち出され、一定の成長復元、市場の鎮静化がなされる公算もある。
当面リーマンショックのようなスパイラル的悪循環の可能性は考えにくく、一方方向の株価下落にもならないだろう。当面振幅の大きなアップダウンが繰り返されるのではないだろうか。
■(6) 追加的不安、権力闘争と地政学
不安を高めているのが、国内の権力闘争と海外の厳しい習近平政権批判
国内ではハエも虎も叩く整風運動が経済活力を奪いリスク回避心理を強めざるを得ない。また習近平政権の相次ぐライバルの訴追により、本来集団指導であるはずの共産党統治が個人独裁化している。それは中国政府の統治能力、経済危機管理能力を大きく削いでいく可能性がある。
地政学的リスクも無視できない
米国と世界のリベラル・デモクラシー世論の対中硬化が顕著である。エコノミスト誌は、”Xi’shistory lessons”という過激なカバーストーリ―を掲載した。
表紙には、習近平国家主席が鉄砲を持っていて、鉄砲の先にペンが描かれている。エコノミスト誌の主張は ”How China rewrites thepast to control the future”、中国は、過去の歴史を書き換えることによって、軍事的台頭という将来の野望を正当化しようとしている、というものである。エコノミストは中国習政権による過去の歴史の書き換えとして、①日本の侵略に対して戦ったのは蒋介石率いる国民党政府であるのに、その成果をあたかも毛沢東率いる共産党の手柄にしていること、②過去70年間一発の発砲もしなかった平和主義の日本を侵略性を持つ国と悪魔化している、の2点を挙げ、それが中国習政権の軍事的野望を正当化するものとなっている、としている。
このエコノミスト誌の主張は、「侵略の過去を軽んじ、中国の脅威を誇張する」として、日本の保守主義者や安倍首相に批判を浴びせてきた、その見解そのものであり、エコノミスト誌が急速に軸を変えていることを示している。それは国際的リベラル・デモクラシーの陣営が大きく対中警戒にシフトしていることを示唆する。
米国は中国の南沙岩礁埋め立てによる滑走路、軍事基地建設を絶対に容認しないだろう。すでにレッドラインを超えた中国は、どう対応するのだろうか。9月の習近平訪米は、この問題を巡って正面衝突を引き起す公算が強い。この中国の意図をくじくにはどうするか、直接軍事的に退治できないとすれば、中国経済の衰弱しかないではないか、米国政権の優先順位は経済から地政学へとシフトし、それが世界株式の当面の制約要因になる、という要素を考えておくべきかもしれない。
■(7) 当面の市場をどう見るか
以上は中国問題の潜在的リスクがいかに大きいかを物語るが、それが直ちに顕在化するとは限らない。また中国リスクは対中債権の大半を保有する、華僑資本が影響力を持つ国に集中しており、米日欧先進国への波及は限定的と見られる。
言うまでもなく米・日・欧先進国は経済拡大の途上にあり、世界リセッションの可能性は低い。加えて中国リスクの高まり、世界的株価下落に対しては各国では追加的政策、量的金融の増額、財政拡大が打ち出され、それも株価をさえるだろう。他方中国でも超弩級の景気対策、資本取引規制や為替統制、市場価格操作などが打ち出され、一定の成長復元、市場の鎮静化がなされる公算もある。
当面リーマンショックのようなスパイラル的悪循環の可能性は考えにくく、一方方向の株価下落にもならないだろう。当面振幅の大きなアップダウンが繰り返されるのではないだろうか。
全世界に広まった株安の震源が中国であるとの世論に対して、中国は、米国の金利操作が元凶と反論しています。
力による現状変更を実行しているロシアと中国。ロシアについては、G7が経済制裁をしていますが、中国については、遠く離れた欧州諸国は鈍感で、目前の利益をもとめ、AIIBに雪崩をうって加盟しました。中国の謀略にまんまと嵌められています。嵌められるとは判っていても、直接の脅威がないので、目前の利益を追いかけているのでしょう。
南シナ海での暴挙。これを軍事力で排除できないご時世ですが、このままやり放題でいいはずがありません。
対露制裁の様に、G7が団結することも、英独仏伊のAIIB加盟で出来ません。
そこで、中国経済の衰弱を放置すると言う手を、日米が採る。米国がそう考えているとすれば、中国が、元凶は米国と反論するのも一理あると言えますが、どうでしょう。
4~5日にトルコの首都アンカラで開催されるG20の会合で議題にされるとの話があります。利害が異なる大勢が集まる会合で、どれだけのことが決められるのか。期待はしませんが注目はします。右肩上がりで隆盛を誇っていた中国に、突っ込みどころ満載となる会議。みものではあります。
中国経済の構造問題を議論へ G20財務相会議、麻生氏表明 :日本経済新聞
# 冒頭の画像は、中国人民銀行本店
この花の名前は、フタリシズカ
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