遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

チェイニー・久間会談はなし

2007-02-24 21:58:53 | my notice

 チェイニー米副大統領が、20日から、日豪を歴訪しました。
 焦点は安全保障問題で、イラク治安計画への各国の対応、イランやアフガニスタンへの対応、6カ国協議後の北朝鮮への対応で、3国の連携強化を図るのが目的です。
 安倍首相、麻生太郎外相、塩崎恭久官房長官らと会談し、離日する22日には横田夫妻とも面談し、夫妻が手渡したテロ指定国家の取り消し反対署名を、大統領に手渡すと約束していました。
 しかし、安全保障をテーマに来日しながら、久間防衛相とは面談をしませんでした。
 

チェイニー歴訪ですきま風は止むか (2/24 日経社説)

 チェイニー米副大統領が押っ取り刀で日本とオーストラリアを回った。イラクでてこずる米国は同盟国との関係引き締めを要した。特に日米間では北朝鮮をはじめ、首脳間で協議すべき戦略課題が多いのに、ことしに入ってから安倍晋三首相とブッシュ大統領は電話で2回話しただけだった。チェイニー訪日はそれを補う意味があったのだろう。

 チェイニー氏の日豪歴訪の焦点は安全保障問題だった。北朝鮮をめぐる6カ国協議の先の合意には様々な抜け穴が指摘され、日本国内には釈然としないとする反応が強い。米国の安全保障専門家の間にも同様の意見が少なからずある。出口の見えないイラク情勢に手を焼く米国は日本の支援継続を求める。イランの核開発にどう対応すべきかも解決の難しい問題である。

 チェイニー氏は、安倍首相、麻生太郎外相、塩崎恭久官房長官らと会談し、横須賀を訪れ、米空母キティホーク艦上で訓示した。横須賀は日米同盟の戦略的拠点のひとつだが、久間章生防衛相と会談する場面はなかった。
 副大統領と防衛相とは対等の立場ではないから日米双方とも「日程上の問題」と説明したが、安全保障をテーマに訪日した米要人と防衛相の会談がなかったのは不自然だった。それ自体が米側のメッセージと見るのが自然であり、日米間に吹くすきま風の象徴のように見えた。


<中略>
 日米が直面する戦略問題でも、北朝鮮の核放棄と拉致問題解決に向け、6カ国協議での日米連携の重要性を確認し、イラク、アフガニスタンでの「テロとの戦い」での協力継続でも合意した。チェイニー氏は日本が特に重視する北朝鮮による拉致問題に触れて「拉致問題という悲劇の解決を図ることは共通の課題だ」と語り、6カ国協議に割り切れなさを感じる日本の世論に対する配慮を見せた。

 小泉・ブッシュ時代の日米関係は歴史的にもまれな良好関係であり、チェイニー訪日は、安倍政権に対し、それを当然視してはならないと発信したようにみえる。重要なのは言葉だけでなく、具体的な課題をともに解決する作業である。

 米国の副大統領に、日本の閣僚の対応を、好みで決められる筋合いは無いのですが、このblogでも書いたように、世界に対して恥ずかしい言動をした久間氏ではやむを得ないところです。
 しかし、北との二国間交渉をかたくなに拒否し続けていたブッシュ政権でしたが、上下院選挙に敗れるや、二国間交渉を頻繁に行い、6カ国協議の結論としては、核保有国北朝鮮の立場を尊重する結果を生み出しました。
 国連決議の制裁との関係は、知らぬ振りです。おかげで、今日(2/24)の読売の記事では、豪も北の支援を検討するのだとか?
 
 拉致問題での配慮を見せたと言うのですが、方向転換し、核を持つテロ国家北朝鮮を容認する米国の、他国(イラク、イラン)に対する態度の違いに、脅威と拉致の実害を被っている我々日本の安全保障への信頼感に、すきま風が吹くのを感じざるをえません。
 まさに、中国の思うつぼ、狙い通りの展開です。残念です。
 残念なのは、私だけではない様で、以下の記事がありました。一部見解がちがうところがありますが、全文転載させていただきます。
 
評論家・西尾幹二 日本は米中に厄介で面倒な国になれ 【2/22 産経・正論】

 ≪国際社会は新しい情勢に≫
 米国はイラクに対し人的、物的、軍事的に強大なエネルギーを注いだのに、北朝鮮に対しては最初から及び腰で、一貫性がなかった。その結果がついに出た。このたびの6カ国協議で米国は朝鮮半島の全域の「民主化」を放棄する意向を事実上鮮明にした。

 中国は台湾に加え朝鮮半島の全域が「民主化」されるなら、自国の体制がもたないことへの恐怖を抱いている。米国は中国の体制護持の動機に同調し、米中握手の時代を本格化させ、日本の安全を日本自身に委ねた。この趨勢(すうせい)にいち早く気づいた台湾には緊張が走り、李登輝氏と馬英九氏が新しい動きをみせたのに、いぜんとして事態の新しさに気がつかないのは日本の政界である。拉致問題でこれ以上つっぱねると日本は孤立するとか、否、拉致についての国際理解はある、などと言い合っているレベルである。

 国際社会はイラクの大量破壊兵器開発の証拠がみつからないのに米国がイラクを攻撃したと非難した。一方、北朝鮮は大量破壊兵器を開発し、やったぞと手を叩いて誇大に宣伝さえした。それなのに米国は攻撃しない。それどころか、エネルギー支援をするという。国際社会はこのダブルスタンダードを非難しない。

 イラクのフセイン元大統領は処刑され、彼と同程度の国際テロ行為を繰り返した北朝鮮の金正日総書記は、処刑されるどころか、テロ国家の汚名をそそいでもらい、金品を贈与されるという。米大統領はその政策を「良い最初の一歩」と自画自賛した。目茶苦茶なもの言いである。ここまでくるともう大義も道義もなにもない。

 ≪危うい依頼心を捨てよう≫
 私は米国を政治的に非難しているのではなく、もともと目茶苦茶が横行するのが国際政治である。米国に道理を期待し、米国の力に一定の理性があると今まで信じていた日本人の依頼心を早く捨てなさい、さもないと日本は本当に危ういことになりますよ、と訴えているのである。

 北朝鮮の核実験の直後に中川昭一自民党政調会長が日本の核武装について論議する必要はある、と説いた。しかし、例によって消極的な反論をマスコミが並べて、国民はあえて座して死を待つ「ことなかれ主義」に流れた。核武装の議論ひとつできない日本人のよどんだ怠惰の空気は米国にも、中国にもしっかり伝わっている。

 もしあのとき日本の国内に政府が抑えるのに苦労するほどの嵐のような核武装論が世論の火を燃え立たせていたなら、今回の6カ国協議は様相を変えていたであろう。

 もともと6カ国協議の対象国は北朝鮮ではない。米国を含む5カ国が狙っているのは日本の永久非核化であり、国家としての日本の無力化の維持である。日本は6カ国協議という罠にはまっているのである。加えて、イラクで行き詰まった米国は中国に依存し、台湾だけでなく日本を取引の材料にしている可能性がある。日本の軍事力を永久に米国の管理下に置き、経済力は米中両国の利用対象にしよう。その代わり中国は「石油」と「イスラエル」と「ユーロに対するドル防衛」という中東情勢に協力せよ、と。

 ≪もし核武装論議容認なら≫
 世界政治の大きなうねりの中で日本は完全にコケにされている。日本の安全保障は今や米国の眼中にない。自分を主張する日本人の激しい意志だけが米中両国に厄介であり、うっとうしい困難である。日本に面倒なことを言ってもらいたくないから抑えにかかる。好き勝手に操れる人形に日本をしたい。

 中川氏の核武装論議発言に対し、ライス国務長官が「日本は米国の核で守られている。心配しないように」と応答し、ブッシュ大統領は「中国が心配している」とどっちの味方か分からない言い方をした。安倍首相はそれに迎合してアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会見場で中川発言を抑止した。しかしもしあのとき、首相が「日本政府は核武装する意志を当面もたないが、与党内の自由な論議を抑えるつもりはない」くらいのことを言っていたならば、局面はかなり変わったろう。

 6カ国協議で拉致だけ叫んでいても、バカにされるだけで拉致だって解決しない。米中両国がいやがる日本の自己主張だけが日本を救う。防衛のための武力の主張は今の憲法にも違反はしない。核武装論が日本の国内の王道になれば、米中は態度を変え、北朝鮮を本気で抑えるだろう。さもなければ核国家の北に日本は巨額な資金援助をする耐え難い条件をのまされることになろう。(にしお かんじ)

 中国はもとより、米国といえども自国の国益のために交渉に臨んでいるのであって、同盟国のことよりは、自国が優先です。まして、レームダック政権の米国では、今後の課題に対する展開の決断や実行が出来ないのは、やむをえないことと言えます。
 なかには、政権交代後の自分を考慮する人もいるかもしれません。

 核を持っていなかったフセインが処刑され、国連決議で制裁を科せられた金正日独裁国家が、核を持ったら国際社会から援助を受けるのです。核を持つ持たないではなく、テロ国家かかどうかを問うとしても、拉致はするしミサイルや核を輸出する北は、イラクと同等のテロ国家です。違うのは、米国本土に直接の危害を加えるに至っていない事でしょう。フセインも直接ではなく、アルカイダの支援の疑いをもたれただけです。

 日本が核を持つことを強く主張する必用はなく、核の平和利用を訴えるべきですが、イランへの米国の攻勢に、独自の国交を持つ日本としては、6カ国協議の米国の手のひら返しをふまえれば、米国に無条件に追随する義理は薄らいでおり、遠慮無く日本の国益を優先し主張すべきです。(イランの軍拡を推奨するのではありません。)
 自国沿岸に防衛線を設定するのではなく、対岸に防衛線を敷き安全を期す米国ですが、中国との頭越しの接近で(クリントン政権が実施しましたね)、対岸防衛線の日本と台湾の信頼を失うことは、米国の危機の増大にもなります。

 中露の経済成長による冨の蓄積を背景とした、覇権拡大に、米国一辺倒の安全保障頼りではなく、豪州やアジアの自由主義国、NATOとの連携、そして何よりも自国の自衛力の拡充が急務です。
 そして、安倍内閣の閣僚には期待は出来ないことですので、早期内閣改造を望みます。個人の好み(?)で、郵政造反議員の復党をゴリ押ししている場合ではない!






  竹島は日韓どちらのものか
 
2007

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