遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日印首脳会談 意義は大きいが立場の違いの認識も必要

2013-05-30 23:55:05 | 日本を復活させる
 日印首脳会談が実施され、経済や安全保障に関連した進展が観られたのはとても喜ばしいことです。しかし、印露中の3ヵ国での深い交流があるなど、全方位外交を是々非々で進めるインドに、日本の事情から過度の思い込みはかえって失望を持ちかねません。相手の立ち位置の考えを理解し、出来ることから進めていくことが肝心です。
 遊爺のインドに対するイメージは、歴史では、終戦直後に、日本の子供達の為にと、象のインデラを贈ってくれた国。極東軍事裁判で欧米列強の独善と闘った(日本を故意に味方したわけではない)パール判事が思い浮かびます。現代ではいまだにカースト制が残る国。数学教育が進んでいて、ITでは世界トップレベルの国。近い将来には人口が中国を上回り、やがては経済でも中国を追い抜く可能性を秘める国。といった、仏教発祥の国だけのことはある、他に類をみない個性のある独立独歩の国のイメージもあります。

 BRICKsの一翼を担い、タタグループや鉄鋼のミッタルなど世界規模の企業もありますね。急速な経済成長を見せていましたが、近年失速気味。日本のスズキが早くから進出してトップシェアを占め、国としても軽自動車の世界の拠点を目指す話もありましたが、労働争議も起こしています。
 
 いずれにしても、注目の巨人であり、首脳会談が曲折を経てやっと実現し、諸々の課題の緒に就いたことは喜ばしいことですね。
 

鉄道・電力トップセールス 日印首脳会談 首相「強い日本、インドに利益」 (5/30 読売朝刊)

 29日に行われた日印首脳会談では、地下鉄整備や原子力協定交渉再開などで合意し、インドの大規模な社会基盤(インフラ)整備に向け、両国が経済連携を強化していくことを確認した。また、中国の台頭を念頭に、安全保障面の協力強化でも一致したが、日印両国の立場の違いもうかがえた
。(経済部 五十棲忠史、ニューデリー支局 田原徳容)

■思惑一致
 「私は日本の立て直しに打ち込んでいる。強い日本はインドにとって利益となり、その逆もまた真なりだ」
 安倍首相は29日夜、首相官邸で開いたシン首相との夕食会でこう強調し、日印両国の関係強化を進める意向を示した。
 
安倍政権は6月にとりまとめる成長戦略に「インフラ輸出30兆円」を盛り込む。日印首脳会談は、鉄道や火力を含む発電施設などインフラ輸出のセールスの場となった。最大の成果は中断していた原子力協定交渉の再開だ。電力不足に悩むインドでは、2020年までに18基の原発を整備する計画が進む。協定を結ぶことが原発輸出の前提となるため、日本の原発を売り込むチャンス
が生まれる。
 さらに、
最大都市ムンバイと工業都市アーメダバードとを結ぶ高速鉄道
(事業規模は最大1兆円)の整備で共同調査を行うことで一致。日本の新幹線システムの輸出に道筋をつけた。
 両国は、企業が活動しやすいように物流網などを集中的に整備する「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」と、南部の「チェンナイ・バンガロール地域開発」を協力して進める。
政府開発援助(ODA)では、安倍首相がムンバイの地下鉄整備のために7l0億円、インド工科大ハイデラバード校に177億円、それぞれ貸し付け(円借款)を行う
ことも表明した。
 インドが日本の投資に期待するのには、わけがある。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、
インドの経済成長率は10年度の8.4%から11年度は6.5%に落ち込み、9年ぶりの低成長となった。欧州危機をきっかけに、外資が投下した資金を引き揚げる動き
が出て、ここ数年で通貨(ルビー)は大きく下落している。
 「こうした中、インド政府は昨年、大規模小売業の分野で外国企業の出資を最大51%まで認める規制緩和を決めるなど、外資頼みの経済浮揚策を打ち出している。

■企業の意欲と不満
 日本の大手企業からは、約12億人の人口を抱えるインドとの関係強化に期待を寄せる声がある一方で、インド政府の姿勢を見極めたいとの思惑も交錯する。
 インフラ部門に強みを持つ日立製作所は「日本の知見を生かして高速鉄道など社会基盤の高度化に貢献したい」と意欲を見せる。一方、
原発輸出について、重電メーカー関係者は「インドでは原発事故が起きた時にはメーカー側も責任を負わされる恐れがある。大きな市場だが、受注活動に動くかどうかは慎重に見極めたい
」との声がある。
 インドに進出する日系企業は05年の248社から12年は926社に急増した。だが、進出企業から不満の声は多い。
 第一生命経済研究所の西浜徹氏は「
法律や手続きの不備が多く、手続きが煩雑だったりする。昨年、スズキの工場で暴動が起きたように、労働情勢も良くない
」と問題点を指摘する。
 ただ、人口規模は大きく、改革が進めば、魅力的な市場であることには間違いない。日本企業は今後、投資環境の行方や、
インド市場で先行するライバル韓国などの動向
も見定めながらインド戦略を練るとみられる。

インド「全方位外交」志向 対中包囲網に温度差

 日印両首脳は、
軍拡を進める共通の隣国・中国を念頭に、安全保障面での協力強化で一致した。しかし、米国、インドなどと中国包囲網を築きたい日本と、日米だけでなく、中国、ロシア、中東などとの関係も重視する「全方位外交」を目指すインドとの間には、温度差
もうかがえる。
 安倍氏は首脳会談前日の28日夜、シン首相夫妻を公邸に招き、昭恵夫人とともに少人数で非公式の夕食会を開いた。29日夜の公式夕食会と合わせて2晩連続で同じ外国要人を会食でもてなすのは異例で、安倍氏のインドへの期待の表れとみられている。
 
共同声明には、安全保障分野での協力事項が数多く盛り込まれた
。海上自衛隊とインド海軍の共同訓練の定期化のほか、海自の救難飛行艇「US2」のインド輸出に向けた協議開始、サイバー攻撃への対処能力強化に向けた協力、海上交通路(シーレーン)の安全確保や防衛・海上保安当局の協力関係強化もうたった。
 両首脳の念頭には、海洋進出を強める中国の存在がある。東シナ海では、沖縄県・尖閣諸島を巡る日中の対立と摩擦が続き、中国海軍所属とみられる潜水艦が日本領海の接続水域に頻繁に出没し、日本側に圧力をかけている。
 インド洋でも、中国の進出は顕著だ。中国の国有企業が2月、パキスタンの港湾の運営権を獲得したほか、中国がバングラデシュやスリランカで港湾整備を支援するなど、インドを取り巻く「真珠の首飾り」戦略が進行中だ。カシミール地方では、4月中旬から5月初旬にかけて、中印両軍がにらみ合い、緊張が走った。
 
中国の国防予算(2013年)は約12.3兆円で、日印両国の合計約8.3兆円を大きく上回る。1国で中国と対峙するのは難しく、日本はインドとの安保協力で中国をけん制する戦略を描く

 
インドも、アジア太平洋の安全保障への関心は高く、日本との合同軍事演習の実施などによる協力関係の構築に前向きだ。ただ、特定の国に対象を絞った安保政策には消極的
で、むしろ、技術導入などで自国の軍事力向上につながる連携に期待を寄せる。
 
インド外務省幹部は「インドにとって最も重要なのはインド洋の安定。日米との協力は不可欠だが、『対中包囲網』を目指す日米の外交方針にくみするつもりはない」と語る。 (政治部 大木聖馬)

 先行する韓国がライバルと記事では指摘していますが、高速鉄道建設でも一時は中国が先行していましたが、安全・安心技術を買われて逆転できれば、世界各地での競争にも優位に立てます。
 原子力についてもライバルは多く、福島の事故での空白の影響を取り戻すには、楽観は出ません。

 南シナ海の安全保障ではベトナムの石油開発や、軍事援助を行っていることは、諸兄がご承知の通りです。
 だからと言って、日米の中国包囲網に参画するつもりはない。いかにもインドらしい姿勢です。先日の国境争いでも独力で戦っていました。数少ない日本の報道だけの浅い知識ですが、決着の経緯や内容は判りづらいものでした。

 日本との軍事交流も深めるとのことで、正面切って中国包囲網に参画しなくても、インド洋や東・南シナ海の平和につながるものと期待します。
 反日のハンディはありませんし、チャイナプラスワン & 脱中国の移行さきとしては大きな魅力がある国です。
 乗り越えるべき障壁はありますが、一層の絆と相互理解が強まることが期待されます。





  この花の名前は、ペンタス


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