遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

香港騒動で無関心だったトランプ大統領が踵を返し、英雄になる

2019-08-22 01:23:58 | 中国 全般
 香港での「逃亡犯条例」の改正案をきっかけに燃え上がった香港市民の抗議デモは留まることなく続いていますね。
 この継続を支えている力は何か、誰か。それは米国だという声が聞こえてきます。
 沈黙していたトランプ大統領が動き始めています。
 片や中国政府は、軍を集結させ圧力を強めていて、天安門事件の再来が懸念されています。

 
香港騒動でトランプは英雄になる 無関心だった大統領が踵を返した3つの理由 | JBpress(Japan Business Press) 2019.8.20(火)
高濱 賛

「第2の天安門事件」にはならない
 香港での「逃亡犯条例」の改正案をきっかけに燃え上がった香港市民の抗議デモは留まるところを知らない。
 これに対して、中国軍の指揮下にある武装警察が香港と隣接する中国広東省深圳の競技場に集結し、デモがさらに激化すれば出動する構えを見せている。

<中略>
 
 もし中国軍が武力抑圧に出れば、1989年6月4日の天安門事件の再来もありうる

 米国は世界でも名だたる「人権重視国家」。たとえ内政干渉と言われようとも他国の人権抑圧政策には口を出してきた。
 それが米国建国のバックボーンになっているからだ(たとえ建て前であろうともその辺が日本などとは異なる)。

 
中国で大勢の市民が虐殺されれば真っ先に立ち上がるのは米国だ。また世界はそれを期待している
 
今回の香港デモでも何人かが星条旗を掲げているのもそうした期待度があるからだ

「第2の天安門」事件となれば、米国は動かざるを得ない。それでなくとも貿易を巡って緊張感が高まっている米中関係に新たな火種となることは必至だ。

狭い香港で大規模な武力行動は無理
 
ところが、まずそうした状況にはならないだろうと楽観視しているのは香港の事情に精通する米国人ジャーナリスト、ワシントン・ポストのマーク・セッセン記者だ。

「中国の軍隊が香港に侵入し、香港市民の抗議デモを鎮圧するのはかなり難しいのではないのか。
軍隊を出動させても抗議デモを天安門の時のように鎮圧できないからだ」
<中略>

俄然関心を示し始めたトランプ大統領
 トランプ大統領は、香港デモ発生以降、断片的にツィッターや記者団との即席会見で中国政府が「人道的な解決」を図るよう、促してきた。

「当事者に死傷者が出ないことを望む」
 当事者とは抗議を続ける市民と香港警察の警官双方を指していることはいうまでもない。
(2017年8月、バージニア州シャーロッツビルで過激派極右グループが抗議デモの市民たちに襲いかかった時に発した同じコメントだ。「喧嘩両成敗」的発言だった)

 米情報機関からの情報や国務省、国家安全保障会議などの専門家の分析が閣僚や補佐官を通じてトランプ大統領の耳に入るのに若干時間がかかったからだろう。

 それが
15日には豹変した。香港騒動を米中貿易戦争に結びつけたのだ。

「私は習近平主席をよく知っている。彼は中国国民から非常に尊敬されている偉大な指導者だ。彼はいい人物だが、商売(外交交渉)にはタフで、歯ごたえのある人物だ」

「彼が香港問題を早急に人道的に解決したいのであれば、そうできると思っているし、疑いの余地はない」

「(もしこの危機を解決するのに役立つなら自分との)個人的な会談をやれだって? 中国(が国内でやっていること)には何の問題もないが、香港で起こっていることが(今米中間で行っている貿易交渉に)役立ちはしない」

「無論中国は(貿易交渉が)うまくいくことを望んでいるはずだ。(ということは)中国は香港問題を人道的に片づけることが先決だ」

(https://www.nytimes.com/2019/08/15/world/asia/donald-trump-hong-kong.html)

*筆者はトランプ氏の言ったことをそのまま訳しても、知的に解釈できないと思い、置かれた状況を踏まえてネイティブの助けを借りて意訳した。トランプ氏の実際の発言は以下の通りだ。

"China is not our problem. though Honk Kong is not helping. Of course China wants to make a deal. Let them work humanely with Hong Kong first!"

 トランプ大統領は
18日にはさらに嵩に懸かるようにこう警告した。

「中国が香港デモで天安門事件のような対応をすれば、(米中)貿易合意は困難になる」

 
なぜ、トランプ氏が強硬になったのか
 その
理由の一つは、前述の通り、トランプ大統領は中国は香港騒動を武力鎮圧はできない、という米情報機関からの分析が入ってきたからだろう。

 
第2は、米国には「米国・香港政策法」という法律があることを知らされたからだろう。
 おそらく対中強硬派の経済学者、ピーター・ナバロ通商製造業政策局ディレクター(旧国家通商会議=前カリフォルニア大学アーバイン校教授)あたりから聞いたのかもしれない。
 ナバロ氏には米中戦争突入の戦慄シナリオを書き上げた著書があるくらいだ。

 香港は1842年、南京条約で清朝から英国に割譲され、英国の永久領土となった。その後1984年の中英連合声明を踏まえて、2007年に主権が中国に返還された。
 中国の特別行政区となり、「一国二制度」の下、2047年まで社会主義政策を実施しないことを決めている。

 
米国は、香港が中国に返還され、行政特別区となることで対中外交が複雑化することを懸念した。
 そこで
1992年、米議会は香港の扱い方を規制する法案(米国・香港政策法)を可決成立させ、97年、香港が中国に返還されると同時に同法を発効させたのだ。

(https://www.law.cornell.edu/uscode/text/22/5701)

 同法により、米国は香港を中国の他の地域とは異なる地域と扱い、関税や査証(ビザ)発給などで優遇措置を採ってきた。

 トランプ大統領は、万一中国が抗議デモも武力鎮圧に出れば、直ちにこの法律を使って対香港関税優遇措置の撤廃に踏み切る。

 中国は米国が香港に対し関税面で優遇措置を採っていることで通商面で多大な恩恵を受けてきた。中国にとっては香港は「金の卵」を産む雌鶏だ。これはどうしても手放したくない。

 実は、
米議会は6月13日、香港の「逃亡犯条例」改正案に反発して「米国・香港政策法」の前提になっている香港の自治が保障されているかどうかを米政府が毎年検証することを求めた法案(「香港人権・民主主義法案」)を超党派で提出している。

(https://time.com/5607043/hong-kong-human-rights-democracy-act/)

 
中国が香港デモを武力で鎮圧するような事態になれば、米議会はさらに強硬な法案を出すことを必至だ。
 ことあるごとに角突き合わせているトランプ大統領と民主党のナンシー・ペロシ下院議長もこと、香港問題では完全に一致する可能性大だ。

対中強硬派ブレーンの「文殊の知恵」?
 中国共産党機関紙「人民日報」の傘下にある
「環球時報」は、習近平政権の心情を慮ってこう報じている

香港での抗議活動が当初の逃亡犯条例改正反対という原点を離れて、(旧ソ連諸国などで政権を倒した民主化運動だった)『カラー革命』(顔色革命)に変質した
抗議活動の標的が香港政府から中央政府に移り、香港を再び中国から切り離して西側世界に戻ろうとしている
「従って(逃亡犯条例改正に拒否する)反対派の要求には絶対に応じられない」

 
ところがこれはあくまでも建て前の話。習近平政権にとってはもっと直近な懸念が急浮上してきた。

「香港騒動」に乗じて「米国・香港政策法」をちらつかせてきたトランプ大統領の戦術にどう対応するかだ。

 かってのような人権を守るための「正義」などではなく、進行中の
米中貿易交渉の交渉材料の一つに加えるトランプ政権のしたたかであくどい手口だ。
 
関税優遇措置を継続させるために「逃亡犯条例改正」案を引っ込めさせるのか。これも政治的リスクは大きい。

 
元国務省高官の一人は筆者にこうつぶやいている。

「商売人トランプの真骨頂と言うべきか。ジョン・ボルトン大統領国家安全保障担当補佐官、ステファン・ミラー大統領顧問、ナバロ通商製造業政策局ディレクターら対中強硬派ブレーンの『文殊の知恵』(Four eyes see more than two)か」

「人民の統治を重視する米共和主義のシンボルであるジェファーソニアン・デモクラシーとはあまり縁のないトランプたちが香港の自治とか、市民の人権などを重視して考えついた発想でないことだけは確かだ」

「しかし、
結果的にはトランプが香港の自治権を守る英雄のように世界には映るだろうね」

 なぜ、トランプ氏が強硬になったのか。米国在住のジャーナリスト高濱賛氏が3つの理由を挙げておられます。
 理由の一つは、トランプ大統領に中国は香港騒動を武力鎮圧はできない、という米情報機関からの分析が入ってきたからだと。
 第二は、米国には「米国・香港政策法」という法律があることを知らされたから。
 三つ目は、進行中の米中貿易交渉の交渉材料の一つに加えるトランプ政権のしたたかであくどい手口だと。

 もし中国軍が武力抑圧に出れば、1989年6月4日の天安門事件の再来もありうる緊縛した状勢ですが、まずそうした状況にはならないだろうと楽観視しているのは香港の事情に精通する米国人ジャーナリスト、ワシントン・ポストのマーク・セッセン記者。
 軍隊を出動させても抗議デモを天安門の時のように鎮圧できないと。
 その理由は 3つ。
 重装備の戦車や装甲車が活動するには極めて不適切な香港の地形。
 今回の抗議デモには指導者がいないため、1か所を叩いてもすぐほかの場所で抗議デモが始まる。モグラ叩きのような状況。
 天安門事件の当時にはなかったSNSをはじめとするインターネットの普及。市民間のコミュニケーションの手段になっているだけでなく、中国軍の一挙手一投足が動画で世界中に流れる。それが習近平国家主席と中国共産党にとってどんな意味を持つか。知らぬはずがない。
 
 ことあるごとに角突き合わせているトランプ大統領と民主党のナンシー・ペロシ下院議長もこと香港問題では完全に一致する可能性大で、超党派で提出済の香港の自治が保障されているかどうかを米政府が毎年検証することを求めた法案(「香港人権・民主主義法案」)に追加し、米議会はさらに強硬な法案を出すことも必至だと。

 日本の野党は政策より政局優先で蛸壺の中の政争で政府批判に明け暮れしていますが、米国では国益に関する事では与野党が一致して対応します。なので二大政党が成り立つ。

 「香港騒動」に乗じて「米国・香港政策法」をちらつかせてきたトランプ大統領の戦術。
 米中貿易交渉の交渉材料の一つに加えるトランプ政権のしたたかであくどい手口にどう対応するか。習近平政権にとってはもっと直近な懸念が急浮上してきたと高濱氏。
 
 元国務省高官の一人は、高濱氏に以下のようにつぶやいたのだそうです。
「人民の統治を重視する米共和主義のシンボルであるジェファーソニアン・デモクラシーとはあまり縁のないトランプたちが香港の自治とか、市民の人権などを重視して考えついた発想でないことだけは確かだ」
「しかし、結果的にはトランプが香港の自治権を守る英雄のように世界には映るだろうね」

 米中の「新冷戦時代」突入のなか、習近平はますます呪縛に追い込まれている様な。。



 # 冒頭の画像は、香港国際空港での抗議デモで掲げられた星条旗




  この花の名前は、ガクアジサイ


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写真素材のピクスタ


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