遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

台湾有事は日本有事 米国の核抑止力は有効なのか 

2022-10-06 01:33:55 | 台湾海峡危機
 ウクライナへのプーチン大統領による侵攻は、ウクライナ軍の反転攻勢で、ロシア軍が退却する局面となり、プーチン大統領は、予備役の追加徴兵等の戦力補充や、独立国と承認していた州を含む、4州のロシア領への併呑の怪しい選挙を実施し、切羽詰まった防戦に追われています。
 極東では、中国による台湾併合が、国共内戦以来の中国共産党の悲願として、習近平主席により進めようとされていて、危機が高まっています。
 台湾有事は日本有事とされる中、米国での中国軍事戦略の権威、トシ・ヨシハラ氏に産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏がインタビューしている記事がありました。
 ウクライナ情勢への米国の関与に対し、台湾への米国の関与はどうなのか、日本はどのように対応すればよいのか。解説されています。
 
「斬首作戦」もあり得る台湾侵攻手段、米国の中国軍事専門家が読む中国の動き 日本には核兵器使用の威迫、米国の核抑止能力は本当に頼りになるのか? | JBpress (ジェイビープレス) 2022.10.5(水) 古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授

 米国での中国軍事戦略の権威、トシ・ヨシハラ氏に習近平政権の台湾軍事制圧の最新戦略について尋ねた

 同氏は、中国軍と米軍との総合戦力の対比などを慎重に考察しながら台湾情勢を追っているが、
いざ中国が軍事力行使に踏み切る場合には、第1に米国や日本に対する核攻撃の威迫、第2に台湾の海上封鎖第3に台湾首脳部排除の斬首作戦などを考えているとの見解を明らかにした。また習近平政権がロシアのウクライナ侵略から得た教訓を台湾攻略作戦に活かす部分もあるという。

 日系米国人のヨシハラ氏は、米海軍大学校の教授および同大学付属の中国海洋研究所の研究員を長年務め、現在はワシントンの大手研究機関「戦略予算評価センター(CSBA)」の上級研究員として米国政府の委託研究なども請け負っている。台湾育ちで中国語に練達したヨシハラ氏は、中国側資料の分析に加えて人民解放軍幹部らとの交流も多く、最近の中国の軍事戦略研究では米国有数の権威とされている。

 この
ヨシハラ氏を9月下旬に勤務先のワシントンのCSBAに訪ね、インタビューした。以下はその一問一答の要旨である。

軍事力による台湾攻略の3つの手段
──ヨシハラさんは今年(2022年)春に「ウクライナ後の台湾危機」という共同論文を発表し、中国の習近平主席がロシアのウクライナ侵略作戦から学んだ点などについての考察を述べていました。その後、米国のナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問や、それに抗議する中国軍の大規模軍事演習などが起きました。中国側の台湾攻略作戦の最新状況をどうみますか

ヨシハラ
中国が国家的悲願とも呼べる台湾併合を切望している状況は変わりませんその手段として、軍事攻略も当然、選択肢に入っています

 実際に軍事攻撃へ踏み切る決定については、米国政府の態度、米中間の軍事バランスの実態、台湾側の動向などを注意深くみているわけです。しかし軍事作戦は常に存在します。

 その
軍事力による台湾攻略の具体的手段としては3種類が考えられます第1には米国と日本への核兵器使用の威嚇です。この点に関しては、習近平主席はロシアのプーチン大統領の西側に対する核兵器使用の示唆の効用を学んだといえます。この手段は中国が台湾への軍事攻略を決める、あるいは始める時点で、米国あるいは日本が軍事介入してくれば、中国側は戦術または戦域の核兵器を使うかもしれないと宣言することです。その結果、米国はもしかすると介入をためらうかもしれません

 
第2には台湾に対する海上封鎖です。台湾への経済的資源の搬入をまず妨げる同時に兵器類の外部からの増援も防ぐこの方法だと、従来予測されていた中国本土からの大部隊による台湾海峡を渡っての上陸作戦は後退するわけです。一方、中国側は台湾の内部に年来潜伏させていた工作員を動員して、台湾政府への内戦のような戦闘を起こさせるという可能性もあります。そんな戦闘が起きると、この海上封鎖は台湾側をますます弱体化することになります。以上の2種の動きは同時に行われることもあり得ます」

──長年、一般に予測されてきた中国軍による福建省あたりからの大規模な台湾上陸作戦というのはもう優先されなくなったのですか

ヨシハラ 「いや、
海上封鎖や核兵器使用の威迫をしながら、なお大規模な部隊を上陸作戦に動員するという複合の戦略もあると思います。同時に中国軍が猛威を発揮できる領域として各種のミサイル戦力が存在します。複合戦略には当然ミサイル発射も含まれます

 そして台湾攻略の
第3の手段は斬首作戦です。これは台湾の政治首脳部を早い段階で抹殺するという方法です。人民解放軍の台湾攻撃シナリオには一貫してこの危険な作戦も入っているのです。実際の首脳部攻撃に際しては、かねて台湾内部にひそんでいたスパイ要員が武器を持って、台湾政府の首脳や中枢を襲うという方法と、中国軍の特殊ミサイルでピンポイント攻撃するという方法とがあります

米国の核抑止能力は本当に頼りになるのか?
──中国が台湾攻略に際して米国や日本に核兵器使用の威迫をかけることに対して、非核の日本の対応は米国の拡大核抑止の能力に頼るほかありません。その米国はこのような中国からの核の脅しにどう対応するのでしょうか

ヨシハラ「これは日本だけでなく米国にとっても重大かつ深刻な課題です。
中国のこの場合の核恫喝は、具体的には戦域核兵器の使用の可能性です。戦域核というのはミサイルの射程だと1000キロから5500キロまで、台湾はもちろんのこと日本全土、米国領のグアム島までが入ります。しかし米国本土には届きません。

 
核抑止の世界では、一方がもし戦域核の攻撃をかける動きに出れば、相手国の抑止は同じ戦域核のレベルで報復攻撃をかけるという姿勢によって効果を発揮します。しかしいまの米軍は、中国の戦域核が被害をもたらし得る地域内に同種、同水準の戦域核兵器はほとんど配備も保有もしていません。だから米中間の核態勢は戦域核のレベルでは極端な不均衡なのです。

 
米国は自国の本土から中国本土を攻撃できる戦略核兵器は多数持っています。ですが台湾有事で予測される中国の核威嚇は戦域レベルであり、米国本土には届きません。

 では、
米国は中国の核の脅威を抑止するために戦略核での中国攻撃を検討できるのか。あるいは日本を守るために中国に核攻撃をかけるという構えを示せるのか

 
このへんは不透明なのです。日本にとっても深刻な課題であることは言うまでもありません。だからこそ故安倍晋三氏は、日本も北大西洋条約機構(NATO)方式の核シェアリングの必要性を論議すべきだと主張したのでしょう。中国の核の使用や威嚇を抑えるための数少ない手段ということです」

 ヨシハラ氏のこうした発言は、
台湾有事が日本にとっても重大な課題を突きつけるという現実をいやになるほど明示しているといえよう。


 いざ中国が軍事力行使に踏み切る場合には、具体的手段としては3種類が考えられると、ヨシハラ氏。
 第1には米国と日本への核兵器使用の威嚇。
 習近平主席がロシアのプーチン大統領の西側に対する核兵器使用の示唆の効用を学んだことは、米国と日本への核兵器使用の威嚇だと。
 中国が台湾への軍事攻略を決める、あるいは始める時点で、米国あるいは日本が軍事介入してくれば、中国側は戦術または戦域の核兵器を使うかもしれないと宣言することです。その結果、米国はもしかすると介入をためらうかもしれませんと、ヨシハラ氏。

 第2には台湾に対する海上封鎖。
 台湾への経済的資源の搬入をまず妨げる。同時に兵器類の外部からの増援も防ぐ。
 台湾の内部に年来潜伏させていた工作員を動員して、台湾政府への内戦のような戦闘を起こさせるという可能性もあると。
 この2種の動きは同時に行われることもあり得ますと、ヨシハラ氏。

 第3の手段は斬首作戦。
 人民解放軍の台湾攻撃シナリオには一貫してこの危険な作戦も入っているのだそうで、実際の首脳部攻撃に際しては、かねて台湾内部にひそんでいたスパイ要員が武器を持って、台湾政府の首脳や中枢を襲うという方法と、中国軍の特殊ミサイルでピンポイント攻撃するという方法とがあるのだそうです。
 
 ウクライナへの米国の関与は、バイデン氏が早々に軍の直接関与はないと公言したことで、プーチンが侵攻したと言われていますが、米国は中国からの核の脅しにどう対応するのか。
 バイデン氏は、訪日時の記者会見で、記者から問われて、有事には米軍が関与すると発言。話題をかもしましたが、政府としては曖昧姿勢の現状維持と修正。その後も同様の発言と修正がありましたが、今日では修正は亡くなってきている。プーチンの決断に影響したことと、台湾擁護には、台湾関係法(TRA)がある点、ウクライナの場合とは異なりますし、9月14日には、米上院外交委員会は、台湾政策法案を賛成多数で可決しました。
 米上院委、台湾政策法案を可決 軍事支援強化や対中制裁盛り込む | ロイター

 核抑止の世界では、一方がもし戦域核の攻撃をかける動きに出れば、相手国の抑止は同じ戦域核のレベルで報復攻撃をかけるという姿勢によって効果を発揮します。しかしいまの米軍は、中国の"戦域核"が被害をもたらし得る地域内に同種、同水準の戦域核兵器はほとんど配備も保有もしていません。だから米中間の核態勢は戦域核のレベルでは極端な不均衡なのだとヨシハラ氏。
 米国は自国の本土から中国本土を攻撃できる戦略核兵器は多数持っている。

 米国は中国の核の脅威を抑止するために戦略核での中国攻撃を検討できるのか。あるいは日本を守るために中国に核攻撃をかけるという構えを示せるのか。
 このへんは不透明なのですと、ヨシハラ氏。
 だからこそ故安倍晋三氏は、日本も北大西洋条約機構(NATO)方式の核シェアリングの必要性を論議すべきだと主張したのでしょうと。

 ヨシハラ氏のこうした発言は、台湾有事が日本にとっても重大な課題を突きつけるという現実をいやになるほど明示していると、古森氏。
 安倍氏を失った日本。南方の台湾有事や尖閣への侵略。北の北方四島のロシアの不法占拠。竹島の韓国による不法占拠。北朝鮮の拉致家族の取り戻し。
 ウクライナの状況は、他人事ではなく、日本も現実に抱えている難題です。

 
 
 # 冒頭の画像は、中国福建省の平潭島から見下ろす台湾海峡




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