ウクライナ侵攻を巡り、ロシア国内で批判的な論調が広がってきたと、WSJのThomas Grove and Matthew Luxmooreによる投降記事(以下、WSJと表記)
戦況や、世界の対露評価の情報が、ロシア国内にどのように伝えられているのか、そしてロシア国内ではどのように評価されているのかはなかなか知ることが出来ませんでした。
概ね、国営放送での政府のプロパガンダ報道で、偏向情報が流され、プーチン氏への支持誘導がなされているとの憶測が見聞されていました。
ところが、戦場での失態が増えるのに伴い、そのトーンにも変化が生じていると、WSJ。
ミハイル・ホダレノク退役大佐は、西側がウクライナへの兵器供与や金融支援を強化する中、ウクライナにおける「わが国の状況は明らかに悪化するだろう」と、出演したテレビ番組で警告。
ホダレノク氏はロシアの国益にならないとして、当初からウクライナ侵攻には反対の立場だった。
政府の見解を代弁することで知られる国営テレビ「1チャンネル」において司会者と白熱した議論を交わすことは異例で、同氏の批判的な論調は注目を集めた。
ところが、その数日後に再び同じ番組に出演したホダレノク氏は発言のトーンを一転。政府と同じ見解を公然と展開し、近くロシア軍が勝利するとの見方を示していたのだそうです。
ロシア国営メディアは侵攻を全面的に支持しており、政府が「特別軍事作戦」と呼ぶこの戦争を肯定的に伝えていることは、衆知のこと。
独立系の世論調査でも、今回の戦争とウラジーミル・プーチン大統領に対する国民の支持はなお極めて高いとWSJ。
しかしながら、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)や北東部の都市ハリコフから後退したことで、一段と慎重な論調も広がってきた。
そして、5月初めには、ウクライナ東部の川を渡ろうとしていたロシア軍大隊をウクライナ軍が総じて撃退。ロシア軍は戦車や装甲車を破壊され、多くの兵士を失った。これを受け、軍事評論家は恥ずべき失敗だと断じた。
1チャンネルの別の番組では、元ウクライナ議員で、ロシア政府を支持したことで知られる評論家イゴール・マルコフ氏が、今回の戦争でロシアが敗北する可能性があると認めた。
国営テレビで聞かれるようになったこうした批判は、戦争の行方と国家の運命について陰で不安をもらしているロシア国民の心境を映し出していると、WSJ。
仲間の兵士と連絡を取っているという徴集兵は、現場の兵士らも幻滅していると話す。「彼らは皆、常に無敵だと思っていた軍に失望させられたと感じている」とも。
かねてロシア軍を支持していた人々も似たような懸念を口にしているのだそうです。
ロシアの軍事ジャーナリストで、従軍経験もあるアレクサンドル・スラドコフ氏はテレグラムで「遺憾なことが多いが、悪いことは言いたくない。だが、1つだけ疑問がある。わが軍はどこにいる?」と問いかけた。
その上で「違いに気付いてほしい。われわれはかつてハリコフ、そしてキエフでの戦いについて話していた」とし、「だが、今ではわれわれの成功は違う形に変わり、小さな町での勝利について語っている」と指摘。
ウクライナ東部の親ロ派武装勢力を率いた元情報当局者、イゴール・ガーキン氏は、ソーシャルメディアに投稿した動画で、政治指導者は軍事力と情報力の欠如により、ウクライナを武力制圧する機会を台無しにしたと述べたのだそうです。
政治指導者の軍事力と情報力の欠如が勝機を逸した。
この事への説明はありませんが、軍事力の欠如とは、世界有数の軍事力を誇るとされていたロシア軍の核などを覗いた通常戦力が、装備が古くウクライナ人に米国やその他の国々から提供される近代兵器に駆逐されている事を指すのでしょうか。
情報力とは、米軍の衛星から行動が監視されている情報をうけたウクライナ軍が、提供された軍備で的確に命中攻撃させている現状や、露軍が使用している旧式の携帯通信を傍受し、司令官クラスの位置情報を傍受、攻撃していることなどをさすのでしょうか。
真偽を織り交ぜたかく乱情報発信戦も。。
ロシア軍の苦戦が、国営放送でも伝えられているとは驚きですが、大きな戦果がないまま、一旦停戦し、体制整備し、再侵攻したいプーチン側の世論誘導での国営放送論調なのか。要注視ですね。
# 冒頭の画像は、破壊されたロシア軍戦車からアルミニウムの破片を集めるハリコフ周辺の住民
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
戦況や、世界の対露評価の情報が、ロシア国内にどのように伝えられているのか、そしてロシア国内ではどのように評価されているのかはなかなか知ることが出来ませんでした。
概ね、国営放送での政府のプロパガンダ報道で、偏向情報が流され、プーチン氏への支持誘導がなされているとの憶測が見聞されていました。
ところが、戦場での失態が増えるのに伴い、そのトーンにも変化が生じていると、WSJ。
露で広がる侵攻への疑問、戦況膠着で風向き変化 - WSJ By Thomas Grove and Matthew Luxmoore 2022 年 5 月 20 日
ウクライナ侵攻を巡り、ロシア国内で批判的な論調が広がってきた。政府寄りのコメンテーターは当初、戦いぶりと軍指導部を称えていたが、戦場での失態が増えるのに伴い、そのトーンにも変化が生じている。
ミハイル・ホダレノク退役大佐は今週テレビ番組に出演し、西側がウクライナへの兵器供与や金融支援を強化する中、ウクライナにおける「わが国の状況は明らかに悪化するだろう」と警告した。
「われわれにとって最も重要なのは、軍事的および政治的な現実をしっかり認識することだ」と同氏。「これを見失えば、歴史からひどい仕打ちを受け、何が起こるか分からなくなる」
ホダレノク氏はロシアの国益にならないとして、当初からウクライナ侵攻には反対の立場だった。だが、政府の見解を代弁することで知られる国営テレビ「1チャンネル」において司会者と白熱した議論を交わすことは異例で、同氏の批判的な論調は注目を集めた。
ところが、その数日後に再び同じ番組に出演したホダレノク氏は発言のトーンを一転。政府と同じ見解を公然と展開し、近くロシア軍が勝利するとの見方を示した。
世論に大きな影響を与えるロシア国営メディアは侵攻を全面的に支持しており、政府が「特別軍事作戦」と呼ぶこの戦争を肯定的に伝えている。独立系の世論調査によると、今回の戦争とウラジーミル・プーチン大統領に対する国民の支持はなお極めて高い。
しかしながら、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)や北東部の都市ハリコフから後退したことで、一段と慎重な論調も広がってきた。
5月初めには、ウクライナ東部の川を渡ろうとしていたロシア軍大隊をウクライナ軍が総じて撃退。ロシア軍は戦車や装甲車を破壊され、多くの兵士を失った。これを受け、軍事評論家は恥ずべき失敗だと断じた。
ロシア政府寄りの著名司会者が務める第1チャンネルの別の番組では、元ウクライナ議員で、ロシア政府を支持したことで知られる評論家イゴール・マルコフ氏が、今回の戦争でロシアが敗北する可能性があると認めた。
マルコフ氏は「われわれの命がかかっており、勝つという選択肢しかない」としつつ、「現在の状況を見る限り、それをどう達成できるか分からない」と述べた。「戦況に関して、司令官に真実を報告していることを心から望む」
国営テレビで聞かれるようになったこうした批判は、戦争の行方と国家の運命について陰で不安をもらしているロシア国民の心境を映し出している。
2017年にクリミア半島で従軍し、仲間の兵士と連絡を取っているという徴集兵は、現場の兵士らも幻滅していると話す。「彼らは皆、常に無敵だと思っていた軍に失望させられたと感じている」
かねてロシア軍を支持していた人々も似たような懸念を口にしている。
ロシアの軍事ジャーナリストで、従軍経験もあるアレクサンドル・スラドコフ氏はテレグラムで「遺憾なことが多いが、悪いことは言いたくない。だが、1つだけ疑問がある。わが軍はどこにいる?」と問いかけた。
その上で「違いに気付いてほしい。われわれはかつてハリコフ、そしてキエフでの戦いについて話していた」とし、「だが、今ではわれわれの成功は違う形に変わり、小さな町での勝利について語っている」と指摘した。
一方、2014年に「イゴール・ストレルコフ」という名でウクライナ東部の親ロ派武装勢力を率いた元情報当局者、イゴール・ガーキン氏は、ソーシャルメディアに投稿した動画で、政治指導者は軍事力と情報力の欠如により、ウクライナを武力制圧する機会を台無しにしたと述べた。
長年プーチン氏の批判派であるガーキン氏は、ロシア軍はウクライナ政権を崩壊させる機会があったにもかかわらず、達成できなかったと指摘する。
「ウクライナについて完全に誤った情報を与えて大失態を招くことになった人物を暴くべきだ」とし、ロシア政府は電撃戦を仕掛けるまたとない機会があったにもかかわらず、それを見逃したと述べた。
ウクライナ侵攻を巡り、ロシア国内で批判的な論調が広がってきた。政府寄りのコメンテーターは当初、戦いぶりと軍指導部を称えていたが、戦場での失態が増えるのに伴い、そのトーンにも変化が生じている。
ミハイル・ホダレノク退役大佐は今週テレビ番組に出演し、西側がウクライナへの兵器供与や金融支援を強化する中、ウクライナにおける「わが国の状況は明らかに悪化するだろう」と警告した。
「われわれにとって最も重要なのは、軍事的および政治的な現実をしっかり認識することだ」と同氏。「これを見失えば、歴史からひどい仕打ちを受け、何が起こるか分からなくなる」
ホダレノク氏はロシアの国益にならないとして、当初からウクライナ侵攻には反対の立場だった。だが、政府の見解を代弁することで知られる国営テレビ「1チャンネル」において司会者と白熱した議論を交わすことは異例で、同氏の批判的な論調は注目を集めた。
ところが、その数日後に再び同じ番組に出演したホダレノク氏は発言のトーンを一転。政府と同じ見解を公然と展開し、近くロシア軍が勝利するとの見方を示した。
世論に大きな影響を与えるロシア国営メディアは侵攻を全面的に支持しており、政府が「特別軍事作戦」と呼ぶこの戦争を肯定的に伝えている。独立系の世論調査によると、今回の戦争とウラジーミル・プーチン大統領に対する国民の支持はなお極めて高い。
しかしながら、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)や北東部の都市ハリコフから後退したことで、一段と慎重な論調も広がってきた。
5月初めには、ウクライナ東部の川を渡ろうとしていたロシア軍大隊をウクライナ軍が総じて撃退。ロシア軍は戦車や装甲車を破壊され、多くの兵士を失った。これを受け、軍事評論家は恥ずべき失敗だと断じた。
ロシア政府寄りの著名司会者が務める第1チャンネルの別の番組では、元ウクライナ議員で、ロシア政府を支持したことで知られる評論家イゴール・マルコフ氏が、今回の戦争でロシアが敗北する可能性があると認めた。
マルコフ氏は「われわれの命がかかっており、勝つという選択肢しかない」としつつ、「現在の状況を見る限り、それをどう達成できるか分からない」と述べた。「戦況に関して、司令官に真実を報告していることを心から望む」
国営テレビで聞かれるようになったこうした批判は、戦争の行方と国家の運命について陰で不安をもらしているロシア国民の心境を映し出している。
2017年にクリミア半島で従軍し、仲間の兵士と連絡を取っているという徴集兵は、現場の兵士らも幻滅していると話す。「彼らは皆、常に無敵だと思っていた軍に失望させられたと感じている」
かねてロシア軍を支持していた人々も似たような懸念を口にしている。
ロシアの軍事ジャーナリストで、従軍経験もあるアレクサンドル・スラドコフ氏はテレグラムで「遺憾なことが多いが、悪いことは言いたくない。だが、1つだけ疑問がある。わが軍はどこにいる?」と問いかけた。
その上で「違いに気付いてほしい。われわれはかつてハリコフ、そしてキエフでの戦いについて話していた」とし、「だが、今ではわれわれの成功は違う形に変わり、小さな町での勝利について語っている」と指摘した。
一方、2014年に「イゴール・ストレルコフ」という名でウクライナ東部の親ロ派武装勢力を率いた元情報当局者、イゴール・ガーキン氏は、ソーシャルメディアに投稿した動画で、政治指導者は軍事力と情報力の欠如により、ウクライナを武力制圧する機会を台無しにしたと述べた。
長年プーチン氏の批判派であるガーキン氏は、ロシア軍はウクライナ政権を崩壊させる機会があったにもかかわらず、達成できなかったと指摘する。
「ウクライナについて完全に誤った情報を与えて大失態を招くことになった人物を暴くべきだ」とし、ロシア政府は電撃戦を仕掛けるまたとない機会があったにもかかわらず、それを見逃したと述べた。
ミハイル・ホダレノク退役大佐は、西側がウクライナへの兵器供与や金融支援を強化する中、ウクライナにおける「わが国の状況は明らかに悪化するだろう」と、出演したテレビ番組で警告。
ホダレノク氏はロシアの国益にならないとして、当初からウクライナ侵攻には反対の立場だった。
政府の見解を代弁することで知られる国営テレビ「1チャンネル」において司会者と白熱した議論を交わすことは異例で、同氏の批判的な論調は注目を集めた。
ところが、その数日後に再び同じ番組に出演したホダレノク氏は発言のトーンを一転。政府と同じ見解を公然と展開し、近くロシア軍が勝利するとの見方を示していたのだそうです。
ロシア国営メディアは侵攻を全面的に支持しており、政府が「特別軍事作戦」と呼ぶこの戦争を肯定的に伝えていることは、衆知のこと。
独立系の世論調査でも、今回の戦争とウラジーミル・プーチン大統領に対する国民の支持はなお極めて高いとWSJ。
しかしながら、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)や北東部の都市ハリコフから後退したことで、一段と慎重な論調も広がってきた。
そして、5月初めには、ウクライナ東部の川を渡ろうとしていたロシア軍大隊をウクライナ軍が総じて撃退。ロシア軍は戦車や装甲車を破壊され、多くの兵士を失った。これを受け、軍事評論家は恥ずべき失敗だと断じた。
1チャンネルの別の番組では、元ウクライナ議員で、ロシア政府を支持したことで知られる評論家イゴール・マルコフ氏が、今回の戦争でロシアが敗北する可能性があると認めた。
国営テレビで聞かれるようになったこうした批判は、戦争の行方と国家の運命について陰で不安をもらしているロシア国民の心境を映し出していると、WSJ。
仲間の兵士と連絡を取っているという徴集兵は、現場の兵士らも幻滅していると話す。「彼らは皆、常に無敵だと思っていた軍に失望させられたと感じている」とも。
かねてロシア軍を支持していた人々も似たような懸念を口にしているのだそうです。
ロシアの軍事ジャーナリストで、従軍経験もあるアレクサンドル・スラドコフ氏はテレグラムで「遺憾なことが多いが、悪いことは言いたくない。だが、1つだけ疑問がある。わが軍はどこにいる?」と問いかけた。
その上で「違いに気付いてほしい。われわれはかつてハリコフ、そしてキエフでの戦いについて話していた」とし、「だが、今ではわれわれの成功は違う形に変わり、小さな町での勝利について語っている」と指摘。
ウクライナ東部の親ロ派武装勢力を率いた元情報当局者、イゴール・ガーキン氏は、ソーシャルメディアに投稿した動画で、政治指導者は軍事力と情報力の欠如により、ウクライナを武力制圧する機会を台無しにしたと述べたのだそうです。
政治指導者の軍事力と情報力の欠如が勝機を逸した。
この事への説明はありませんが、軍事力の欠如とは、世界有数の軍事力を誇るとされていたロシア軍の核などを覗いた通常戦力が、装備が古くウクライナ人に米国やその他の国々から提供される近代兵器に駆逐されている事を指すのでしょうか。
情報力とは、米軍の衛星から行動が監視されている情報をうけたウクライナ軍が、提供された軍備で的確に命中攻撃させている現状や、露軍が使用している旧式の携帯通信を傍受し、司令官クラスの位置情報を傍受、攻撃していることなどをさすのでしょうか。
真偽を織り交ぜたかく乱情報発信戦も。。
ロシア軍の苦戦が、国営放送でも伝えられているとは驚きですが、大きな戦果がないまま、一旦停戦し、体制整備し、再侵攻したいプーチン側の世論誘導での国営放送論調なのか。要注視ですね。
# 冒頭の画像は、破壊されたロシア軍戦車からアルミニウムの破片を集めるハリコフ周辺の住民
この花の名前は、ケキツネノボタン
↓よろしかったら、お願いします。
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