中国による台湾侵攻が姦しく取沙汰されていますね。
圧倒的な軍事力の差で、中国が圧勝すると考えられていますが、現状では中国が大打撃を受けると評価して、具体的に指摘しておられるのは、軍事アナリストの西村金一氏。
壺は、中国軍の軍事力は、台湾に向けてだけに投入出来ない所。
西村氏が、中国軍上陸部隊と台湾軍守備部隊の戦闘の様相はどのようになるのか、上陸と防御の戦闘場面に限定して具体的に考察されています。
中国軍は、台湾を占領するには、150~230キロの海峡を越え、上陸作戦を強行して、台湾守備部隊と戦い勝利しなければならない。圧倒的に有利な戦力を有していなければ、極めて困難な作戦になると。
台湾軍は全力で中国軍と戦うが、中国軍は台湾とだけ戦う構図にはならない。
中国は、北はロシア、南はインド、南東には東南アジア、東には日本・韓国・米国と対峙しているし、新疆ウイグルの国内問題も抱えている。
中国が台湾に侵攻するから、他の正面はお休みですというわけにはいかないと西村氏。
中国は、台湾に侵攻する場合、米国との局地紛争も予想して、渤海~東シナ海~南シナ海に戦力を配備しなければならなくなる。
2正面作戦あるいは多正面作戦を予期しなければならない。
火ぶたを切るのは、強襲上陸第1波の中国軍3個旅団(約1万8000人と戦闘車)と防御する台湾軍61個旅団(約38万人と戦車)相当との戦闘。
台湾軍の戦力は、常に一定の数量だが、中国軍は、陸軍兵を投入して第2波に3個旅団プラス計6個、3波に3個旅団をプラスして計9個と増加していく。
中国軍兵の第3波までの上陸では、台湾軍が圧倒的に有利。
第7波の上陸までは、台湾軍が有利。
しかし、第8波が上陸すれば、戦力比が逆転し、中国軍が有利になると西村氏。
勝敗の分かれ目は、中国軍の上陸第3波までだ。台湾軍がそれまでに、迅速に叩き潰すことである。
やむを得ない場合でも、第7波までならば撃破することが可能である。このような戦力推移で見積もると、中国軍の台湾侵攻作戦は失敗すると。
つまり、現在の中国軍の揚陸艦の能力では、台湾本島上陸作戦は失敗する可能性が高いと西村氏。
台湾の国防白書2019には、中国軍の軍事力については、「台湾の離島に対して上陸戦の能力を保有している」と記述されているのだそうです。
日本の防衛白書平成3年版では、「台湾本島への着上陸侵攻能力は、現時点では、限定的である」と記述されていると。
防衛相は、「現時点では、中国軍の台湾本島への侵攻は戦理的に見て失敗する可能性がある」と予想しているのだろうと西村氏。
現状の能力で上陸侵攻すれば、中国軍上陸部隊に大きな損害も出るし、撃退されることも十分あり得る。
中国共産党が、大量の兵士を無駄に殺してしまうような戦法を取れば、死活問題に発展する。
中国は、党の面子を保つため、あの手この手の表現を使って、「台湾に侵攻する」と脅威を煽っているというのが現状だと。
まだ台湾に侵攻して確実に成功させることができない。そのため、虚勢を張って情報戦を仕掛けていると。
問題なのは、中国の国営メディアが使用する表現や映像を、日本のメディアがそっくりそのままコピペして使用していることだ。中国の情報戦に利用されていることに気づかなければならないと西村氏。
中国の台湾侵攻。着実に準備を進めている現状に備えは必要ですが、現状では中国側にも大きなリスクがあり、情報戦の段階。ただ、着実に軍備強化は進めているので、備えが必要ということですね。
一時沸騰した、尖閣諸島の日本の実効支配実績造りの音沙汰がやんでいますが、残された時間や可能な方策が狭まってきている危機感と対策の実施は急がれますね。
# 冒頭の画像は、南シナ海に入った英空母・クイーンエリザベス
チョウマメの花
↓よろしかったら、お願いします。
圧倒的な軍事力の差で、中国が圧勝すると考えられていますが、現状では中国が大打撃を受けると評価して、具体的に指摘しておられるのは、軍事アナリストの西村金一氏。
壺は、中国軍の軍事力は、台湾に向けてだけに投入出来ない所。
台湾侵攻で大打撃を受ける中国、頼みの綱は宣伝戦 中国のプロパガンダ放送を真に受ける日本メディアは大問題 | JBpress (ジェイビープレス) 2021.8.27(金) 西村 金一
今回は、「中国軍上陸部隊と台湾軍守備部隊とが戦えばどうなるのか」について分析する。
中国軍が台湾に侵攻する場合は、サイバー攻撃や弾道ミサイル攻撃、さらに、中国の三戦(心理戦・宣伝戦・法律戦)やテロなどあらゆる手段を含む超限戦により、中国が勝利を収めると思われている。
だが、台湾を占領するには、150~230キロの海峡を越え、上陸作戦を強行して、台湾守備部隊と戦い勝利しなければならない。
中国軍が幅約200キロある台湾海峡を越えて移動している間は、待ち構える台湾軍に対して、最大の弱点を晒すことになる。
渡洋作戦は、陸続きの戦闘とは様相が全く異なるものだ。
そして、圧倒的に有利な戦力を有していなければ、極めて困難な作戦になると予想される。中国が実行すれば、歴史に残る戦いになるだろう。
そこで、中国軍上陸部隊と台湾軍守備部隊の戦闘の様相はどのようになるのか、上陸と防御の戦闘場面に限定して考察する。
1.中国軍が台湾を48時間で制圧できる?
台湾侵攻は、「軍事的には48時間で制圧できる」、だが「経済的な面で高い代価を伴うから実行しない」という見方がある。
48時間で制圧できるという根拠はどこにあるのだろうか。
防衛白書を見ると、中国と台湾の軍事力のバランスは、陸軍力では中国が圧倒的な兵力を有し、海空軍力は中国が量的に圧倒する。
軍事費も中国が台湾の16倍だと記述されている。また、中台軍事力がミリタリー・バランスをもとに比較されている。
例えば、主なもので、陸上兵力は中国が97万人、台湾が9万人で約11倍、艦艇数は中国が730隻、台湾250隻で約3倍、作戦機数は中国が2900機、台湾520機で約6倍であるとしている。
これらを単純に見ると、中国軍全力が台湾軍全力と戦うというイメージを持ち、台湾軍が簡単に負けてしまうという印象を与えてしまう。
2.周辺国の脅威を受けつつ台湾侵攻
台湾軍は全力で中国軍と戦うが、中国軍は台湾とだけ戦う構図にはならない。
なぜなら、中国は、北はロシア、南はインド、南東には東南アジア、西には日本・韓国・米国と対峙しているし、新疆ウイグルの国内問題も抱えている。
だから、中国が台湾に侵攻するから、他の正面はお休みですというわけにはいかないのだ。
中国軍は、かつては7つの軍区に分けられていたが、2016年に5個の戦区に変更された。
・中部戦区:首都北京の防衛とテロ防止
・西部戦区:国内の民族問題対処とインド対処
・北部戦区:ロシアと日本対処
・南部戦区:東南アジア対処
・東部戦区:台湾侵攻の主役
さらに、日米とも対応しなければならないことになる。
台湾に侵攻する場合であっても、前述の対応に手を抜くわけにはいかない。中国が台湾に侵攻すれば、中国には深刻な問題が噴出してくる。
①国内のチベット人・ウイグル人の民族問題が噴出する。
②インドとの国境ではインド軍が攻撃を仕掛ける。
③南シナ海では中国が違法に建設した人工島がベトナム、マレーシア、フィリピン軍から破壊されるか奪還される。
④尖閣諸島が日本に占拠される。
⑥極めて長い中ロ国境で、ロシア軍が侵攻してくる。
こうした脅威を感じることになるだろう。
中国は、台湾に侵攻する場合、米国との局地紛争も予想して、渤海~東シナ海~南シナ海に戦力を配備しなければならなくなる。
このため、各戦区から兵力を抽出して、国土防衛のために、中国の沿岸部に戦力を展開し、また、台湾侵攻のために戦力を集中させることになる。
中国は、2正面作戦あるいは多正面作戦を予期しなければならないのだ。
3.中国の上陸戦力と迎え撃つ台湾軍戦力
では、中国が台湾侵攻のために、中国全土からどれほどの戦力を抽出できるだろうか。
陸軍兵力の2分の1は各戦区に残し、残りの2分の1を台湾正面に投入すると兵員数は約50万人だ。
海軍艦艇は、米軍の介入を恐れれば、北海艦隊は渤海や黄海に、南海は南シナ海に張り付ける。
台湾正面には、東海艦隊の全力(海軍全力の3分の1)を投入する。揚陸艦は、北海艦隊と東海艦隊の全力を使用できる。南海艦隊の揚陸艦は、南シナ海の戦闘に残しておかなければならない。
強襲上陸を担う7個の陸戦隊はどうか。
北海艦隊所属の2個中1個は、尖閣諸島への対応と予備兵力として北海艦隊に残す。南海艦隊所属の2個中の1個は、南シナ海の人工島防衛のために残す。
南シナ海周辺諸国の攻勢的内動向によっては、さらに1個旅団を残す。
金門島・馬祖列島および澎湖諸島への攻撃には1個旅団を投入せざるを得ない。台湾に指向できるのは、東海艦隊所属の2個と特殊旅団1個の合計3個旅団だけである。
迎え撃つ台湾軍は、北部の軍団に7個旅団と2個砲兵旅団、中部の軍団に3個軍団と2個砲兵旅団、南部の軍団に5個旅団と2個の砲兵旅団の合計15個旅団と砲兵3~6個旅団だ。
軍団内の旅団は、3つの職種、歩兵旅団・機械化(装甲歩兵)旅団・機甲(戦車)旅団から編成されている。
第1波の中国海軍揚陸艦で輸送できるのは2万2000人なので、砲兵や防空部隊などを増強した3個旅団の中国と、台湾軍の15個旅団プラス6個砲兵旅団の戦いになる。
防御側は、地形の防護力を利用できるため待ち受けの利点がある。したがって、保有する兵力の3倍に値するとして算定する。
つまり、防御側の台湾の戦力は、21個×3で63個旅団に相当する。1個旅団が約6000人として、台湾軍の兵員は約38万人相当となる。
4.逐次投入される中国軍に勝ち目はない
火ぶたを切るのは、強襲上陸第1波の中国軍3個旅団(約1万8000人と戦闘車)と防御する台湾軍61個旅団(約38万人と戦車)相当との戦闘だ。
台湾軍の戦力は、常に一定の数量だが、中国軍は、陸軍兵を投入して第2波に3個旅団プラス計6個、3波に3個旅団をプラスして計9個と増加していく。
3波の上陸で、中国軍が台湾の海岸に橋頭保(上陸地点を確保して、その後の攻撃作戦の足場となる地域)し、貨物船が入港できる港を確保できる可能性があることから、4波以降は一度に5万人が上陸できると見積もった。
中国軍兵の第3波までの上陸では、台湾軍が圧倒的に有利である。
続いて、第7波の上陸までは、台湾軍が有利である。しかし、第8波が上陸すれば、戦力比が逆転し、中国軍が有利になる。
勝敗の分かれ目は、中国軍の上陸第3波までだ。台湾軍がそれまでに、迅速に叩き潰すことである。
やむを得ない場合でも、第7波までならば撃破することが可能である。このような戦力推移で見積もると、中国軍の台湾侵攻作戦は失敗する。
つまり、現在の中国軍の揚陸艦の能力では、台湾本島上陸作戦は失敗する可能性が高いと考えられる。
一方、1個旅団規模(防御係数をかけると3個)で守られている台湾の離島である金門島・馬祖列島に対して、中国陸軍の6個旅団を投入して、強襲上陸侵攻すれば中国軍による上陸作戦が成功する可能性がある。
台湾の国防白書2019には、中国軍の軍事力については、「台湾の離島に対して上陸戦の能力を保有している」と記述されている。
日本の防衛白書平成3年版では、「中隊の軍事力の一般的な特徴として、中国が圧倒的な兵力を有しているものの、台湾本島への着上陸侵攻能力は、現時点では、限定的である」と記述されている。
「限定的である」という表現は、極めて難解である。
実際は、防衛省が「現時点では、中国軍の台湾本島への侵攻は戦理的に見て失敗する可能性がある」と予想しているのだろう。
防衛白書は閣議決定されるものであり、政治的な意味合いを込めて記述されているからだ。
5.勝ち目のない中国は情報戦に活路
中国軍が揚陸艦に陸戦隊を乗船させて、約200キロ離れた台湾まで移動し、台湾に強襲上陸戦闘を遂行するのは容易ではない。
現状の能力で上陸侵攻すれば、中国軍上陸部隊に大きな損害も出るし、撃退されることも十分あり得る。
特に大型の揚陸艦が、海峡移動中あるいは小型揚陸艇などを放出するため停泊している間に、台湾軍のミサイル攻撃を受けて撃沈する可能性ある。
上陸当初から揚陸艦に加えて大量の貨物船を使用して、兵士と兵器を運べば、上陸作戦が成功する可能性が高まるが、台湾軍の攻撃から受ける被害はとてつもなく大きくなる。
もしも、中国共産党が、大量の兵士を無駄に殺してしまうような戦法を取れば、死活問題に発展する。
どちらにしても、中国も台湾も、大きな痛手を受けることになる。
そこで、中国は、党の面子を保つため、あの手この手の表現を使って、「台湾に侵攻する」と脅威を煽っているというのが現状だ。
中国国営テレビ、解放軍報、中国共産党傘下の環球時報が、党の手先となって、情報戦・宣伝戦・心理戦を仕掛けている。具体的には以下のとおりだ。
①情報源不明で、「48時間で台湾を制圧する」情報を流す。
②台湾に面する東部戦区で、大規模上陸演習であるかのような映像を流す。7月の上陸演習の映像を詳細に見ると、別々の演習の映像をつなぎ合わせて、大掛かりな演習であるように見せかけている。
③「台湾を念頭に置いた演習だ」と台湾への上陸侵攻が間近に迫っているかのように匂わせる。
④中国の専門家を使って、「演習は、台湾侵攻能力を誇示した」「米国に対抗できる能力がある」と、根拠を説明することなく、発言させる。
⑤「連日にわたって」・「実弾射撃演習」という、インパクトのある表現や映像を使っている。
中国軍の揚陸能力が高まっていることは事実であるが、まだ台湾に侵攻して確実に成功させることができない。
そのため、虚勢を張って情報戦を仕掛けているのだ。
さらに問題なのは、中国の国営メディアが使用する表現や映像を、日本のメディアがそっくりそのままコピペして使用していることだ。
中国の情報戦に利用されていることに気づかなければならない。
何はともあれ、中国が発信する軍事情報、特に台湾侵攻に関する情報については、何かの意図が含まれているので、専門的で客観的な分析を実施することが必要である。
今回は、「中国軍上陸部隊と台湾軍守備部隊とが戦えばどうなるのか」について分析する。
中国軍が台湾に侵攻する場合は、サイバー攻撃や弾道ミサイル攻撃、さらに、中国の三戦(心理戦・宣伝戦・法律戦)やテロなどあらゆる手段を含む超限戦により、中国が勝利を収めると思われている。
だが、台湾を占領するには、150~230キロの海峡を越え、上陸作戦を強行して、台湾守備部隊と戦い勝利しなければならない。
中国軍が幅約200キロある台湾海峡を越えて移動している間は、待ち構える台湾軍に対して、最大の弱点を晒すことになる。
渡洋作戦は、陸続きの戦闘とは様相が全く異なるものだ。
そして、圧倒的に有利な戦力を有していなければ、極めて困難な作戦になると予想される。中国が実行すれば、歴史に残る戦いになるだろう。
そこで、中国軍上陸部隊と台湾軍守備部隊の戦闘の様相はどのようになるのか、上陸と防御の戦闘場面に限定して考察する。
1.中国軍が台湾を48時間で制圧できる?
台湾侵攻は、「軍事的には48時間で制圧できる」、だが「経済的な面で高い代価を伴うから実行しない」という見方がある。
48時間で制圧できるという根拠はどこにあるのだろうか。
防衛白書を見ると、中国と台湾の軍事力のバランスは、陸軍力では中国が圧倒的な兵力を有し、海空軍力は中国が量的に圧倒する。
軍事費も中国が台湾の16倍だと記述されている。また、中台軍事力がミリタリー・バランスをもとに比較されている。
例えば、主なもので、陸上兵力は中国が97万人、台湾が9万人で約11倍、艦艇数は中国が730隻、台湾250隻で約3倍、作戦機数は中国が2900機、台湾520機で約6倍であるとしている。
これらを単純に見ると、中国軍全力が台湾軍全力と戦うというイメージを持ち、台湾軍が簡単に負けてしまうという印象を与えてしまう。
2.周辺国の脅威を受けつつ台湾侵攻
台湾軍は全力で中国軍と戦うが、中国軍は台湾とだけ戦う構図にはならない。
なぜなら、中国は、北はロシア、南はインド、南東には東南アジア、西には日本・韓国・米国と対峙しているし、新疆ウイグルの国内問題も抱えている。
だから、中国が台湾に侵攻するから、他の正面はお休みですというわけにはいかないのだ。
中国軍は、かつては7つの軍区に分けられていたが、2016年に5個の戦区に変更された。
・中部戦区:首都北京の防衛とテロ防止
・西部戦区:国内の民族問題対処とインド対処
・北部戦区:ロシアと日本対処
・南部戦区:東南アジア対処
・東部戦区:台湾侵攻の主役
さらに、日米とも対応しなければならないことになる。
台湾に侵攻する場合であっても、前述の対応に手を抜くわけにはいかない。中国が台湾に侵攻すれば、中国には深刻な問題が噴出してくる。
①国内のチベット人・ウイグル人の民族問題が噴出する。
②インドとの国境ではインド軍が攻撃を仕掛ける。
③南シナ海では中国が違法に建設した人工島がベトナム、マレーシア、フィリピン軍から破壊されるか奪還される。
④尖閣諸島が日本に占拠される。
⑥極めて長い中ロ国境で、ロシア軍が侵攻してくる。
こうした脅威を感じることになるだろう。
中国は、台湾に侵攻する場合、米国との局地紛争も予想して、渤海~東シナ海~南シナ海に戦力を配備しなければならなくなる。
このため、各戦区から兵力を抽出して、国土防衛のために、中国の沿岸部に戦力を展開し、また、台湾侵攻のために戦力を集中させることになる。
中国は、2正面作戦あるいは多正面作戦を予期しなければならないのだ。
3.中国の上陸戦力と迎え撃つ台湾軍戦力
では、中国が台湾侵攻のために、中国全土からどれほどの戦力を抽出できるだろうか。
陸軍兵力の2分の1は各戦区に残し、残りの2分の1を台湾正面に投入すると兵員数は約50万人だ。
海軍艦艇は、米軍の介入を恐れれば、北海艦隊は渤海や黄海に、南海は南シナ海に張り付ける。
台湾正面には、東海艦隊の全力(海軍全力の3分の1)を投入する。揚陸艦は、北海艦隊と東海艦隊の全力を使用できる。南海艦隊の揚陸艦は、南シナ海の戦闘に残しておかなければならない。
強襲上陸を担う7個の陸戦隊はどうか。
北海艦隊所属の2個中1個は、尖閣諸島への対応と予備兵力として北海艦隊に残す。南海艦隊所属の2個中の1個は、南シナ海の人工島防衛のために残す。
南シナ海周辺諸国の攻勢的内動向によっては、さらに1個旅団を残す。
金門島・馬祖列島および澎湖諸島への攻撃には1個旅団を投入せざるを得ない。台湾に指向できるのは、東海艦隊所属の2個と特殊旅団1個の合計3個旅団だけである。
迎え撃つ台湾軍は、北部の軍団に7個旅団と2個砲兵旅団、中部の軍団に3個軍団と2個砲兵旅団、南部の軍団に5個旅団と2個の砲兵旅団の合計15個旅団と砲兵3~6個旅団だ。
軍団内の旅団は、3つの職種、歩兵旅団・機械化(装甲歩兵)旅団・機甲(戦車)旅団から編成されている。
第1波の中国海軍揚陸艦で輸送できるのは2万2000人なので、砲兵や防空部隊などを増強した3個旅団の中国と、台湾軍の15個旅団プラス6個砲兵旅団の戦いになる。
防御側は、地形の防護力を利用できるため待ち受けの利点がある。したがって、保有する兵力の3倍に値するとして算定する。
つまり、防御側の台湾の戦力は、21個×3で63個旅団に相当する。1個旅団が約6000人として、台湾軍の兵員は約38万人相当となる。
4.逐次投入される中国軍に勝ち目はない
火ぶたを切るのは、強襲上陸第1波の中国軍3個旅団(約1万8000人と戦闘車)と防御する台湾軍61個旅団(約38万人と戦車)相当との戦闘だ。
台湾軍の戦力は、常に一定の数量だが、中国軍は、陸軍兵を投入して第2波に3個旅団プラス計6個、3波に3個旅団をプラスして計9個と増加していく。
3波の上陸で、中国軍が台湾の海岸に橋頭保(上陸地点を確保して、その後の攻撃作戦の足場となる地域)し、貨物船が入港できる港を確保できる可能性があることから、4波以降は一度に5万人が上陸できると見積もった。
中国軍兵の第3波までの上陸では、台湾軍が圧倒的に有利である。
続いて、第7波の上陸までは、台湾軍が有利である。しかし、第8波が上陸すれば、戦力比が逆転し、中国軍が有利になる。
勝敗の分かれ目は、中国軍の上陸第3波までだ。台湾軍がそれまでに、迅速に叩き潰すことである。
やむを得ない場合でも、第7波までならば撃破することが可能である。このような戦力推移で見積もると、中国軍の台湾侵攻作戦は失敗する。
つまり、現在の中国軍の揚陸艦の能力では、台湾本島上陸作戦は失敗する可能性が高いと考えられる。
一方、1個旅団規模(防御係数をかけると3個)で守られている台湾の離島である金門島・馬祖列島に対して、中国陸軍の6個旅団を投入して、強襲上陸侵攻すれば中国軍による上陸作戦が成功する可能性がある。
台湾の国防白書2019には、中国軍の軍事力については、「台湾の離島に対して上陸戦の能力を保有している」と記述されている。
日本の防衛白書平成3年版では、「中隊の軍事力の一般的な特徴として、中国が圧倒的な兵力を有しているものの、台湾本島への着上陸侵攻能力は、現時点では、限定的である」と記述されている。
「限定的である」という表現は、極めて難解である。
実際は、防衛省が「現時点では、中国軍の台湾本島への侵攻は戦理的に見て失敗する可能性がある」と予想しているのだろう。
防衛白書は閣議決定されるものであり、政治的な意味合いを込めて記述されているからだ。
5.勝ち目のない中国は情報戦に活路
中国軍が揚陸艦に陸戦隊を乗船させて、約200キロ離れた台湾まで移動し、台湾に強襲上陸戦闘を遂行するのは容易ではない。
現状の能力で上陸侵攻すれば、中国軍上陸部隊に大きな損害も出るし、撃退されることも十分あり得る。
特に大型の揚陸艦が、海峡移動中あるいは小型揚陸艇などを放出するため停泊している間に、台湾軍のミサイル攻撃を受けて撃沈する可能性ある。
上陸当初から揚陸艦に加えて大量の貨物船を使用して、兵士と兵器を運べば、上陸作戦が成功する可能性が高まるが、台湾軍の攻撃から受ける被害はとてつもなく大きくなる。
もしも、中国共産党が、大量の兵士を無駄に殺してしまうような戦法を取れば、死活問題に発展する。
どちらにしても、中国も台湾も、大きな痛手を受けることになる。
そこで、中国は、党の面子を保つため、あの手この手の表現を使って、「台湾に侵攻する」と脅威を煽っているというのが現状だ。
中国国営テレビ、解放軍報、中国共産党傘下の環球時報が、党の手先となって、情報戦・宣伝戦・心理戦を仕掛けている。具体的には以下のとおりだ。
①情報源不明で、「48時間で台湾を制圧する」情報を流す。
②台湾に面する東部戦区で、大規模上陸演習であるかのような映像を流す。7月の上陸演習の映像を詳細に見ると、別々の演習の映像をつなぎ合わせて、大掛かりな演習であるように見せかけている。
③「台湾を念頭に置いた演習だ」と台湾への上陸侵攻が間近に迫っているかのように匂わせる。
④中国の専門家を使って、「演習は、台湾侵攻能力を誇示した」「米国に対抗できる能力がある」と、根拠を説明することなく、発言させる。
⑤「連日にわたって」・「実弾射撃演習」という、インパクトのある表現や映像を使っている。
中国軍の揚陸能力が高まっていることは事実であるが、まだ台湾に侵攻して確実に成功させることができない。
そのため、虚勢を張って情報戦を仕掛けているのだ。
さらに問題なのは、中国の国営メディアが使用する表現や映像を、日本のメディアがそっくりそのままコピペして使用していることだ。
中国の情報戦に利用されていることに気づかなければならない。
何はともあれ、中国が発信する軍事情報、特に台湾侵攻に関する情報については、何かの意図が含まれているので、専門的で客観的な分析を実施することが必要である。
西村氏が、中国軍上陸部隊と台湾軍守備部隊の戦闘の様相はどのようになるのか、上陸と防御の戦闘場面に限定して具体的に考察されています。
中国軍は、台湾を占領するには、150~230キロの海峡を越え、上陸作戦を強行して、台湾守備部隊と戦い勝利しなければならない。圧倒的に有利な戦力を有していなければ、極めて困難な作戦になると。
台湾軍は全力で中国軍と戦うが、中国軍は台湾とだけ戦う構図にはならない。
中国は、北はロシア、南はインド、南東には東南アジア、東には日本・韓国・米国と対峙しているし、新疆ウイグルの国内問題も抱えている。
中国が台湾に侵攻するから、他の正面はお休みですというわけにはいかないと西村氏。
中国は、台湾に侵攻する場合、米国との局地紛争も予想して、渤海~東シナ海~南シナ海に戦力を配備しなければならなくなる。
2正面作戦あるいは多正面作戦を予期しなければならない。
火ぶたを切るのは、強襲上陸第1波の中国軍3個旅団(約1万8000人と戦闘車)と防御する台湾軍61個旅団(約38万人と戦車)相当との戦闘。
台湾軍の戦力は、常に一定の数量だが、中国軍は、陸軍兵を投入して第2波に3個旅団プラス計6個、3波に3個旅団をプラスして計9個と増加していく。
中国軍兵の第3波までの上陸では、台湾軍が圧倒的に有利。
第7波の上陸までは、台湾軍が有利。
しかし、第8波が上陸すれば、戦力比が逆転し、中国軍が有利になると西村氏。
勝敗の分かれ目は、中国軍の上陸第3波までだ。台湾軍がそれまでに、迅速に叩き潰すことである。
やむを得ない場合でも、第7波までならば撃破することが可能である。このような戦力推移で見積もると、中国軍の台湾侵攻作戦は失敗すると。
つまり、現在の中国軍の揚陸艦の能力では、台湾本島上陸作戦は失敗する可能性が高いと西村氏。
台湾の国防白書2019には、中国軍の軍事力については、「台湾の離島に対して上陸戦の能力を保有している」と記述されているのだそうです。
日本の防衛白書平成3年版では、「台湾本島への着上陸侵攻能力は、現時点では、限定的である」と記述されていると。
防衛相は、「現時点では、中国軍の台湾本島への侵攻は戦理的に見て失敗する可能性がある」と予想しているのだろうと西村氏。
現状の能力で上陸侵攻すれば、中国軍上陸部隊に大きな損害も出るし、撃退されることも十分あり得る。
中国共産党が、大量の兵士を無駄に殺してしまうような戦法を取れば、死活問題に発展する。
中国は、党の面子を保つため、あの手この手の表現を使って、「台湾に侵攻する」と脅威を煽っているというのが現状だと。
まだ台湾に侵攻して確実に成功させることができない。そのため、虚勢を張って情報戦を仕掛けていると。
問題なのは、中国の国営メディアが使用する表現や映像を、日本のメディアがそっくりそのままコピペして使用していることだ。中国の情報戦に利用されていることに気づかなければならないと西村氏。
中国の台湾侵攻。着実に準備を進めている現状に備えは必要ですが、現状では中国側にも大きなリスクがあり、情報戦の段階。ただ、着実に軍備強化は進めているので、備えが必要ということですね。
一時沸騰した、尖閣諸島の日本の実効支配実績造りの音沙汰がやんでいますが、残された時間や可能な方策が狭まってきている危機感と対策の実施は急がれますね。
# 冒頭の画像は、南シナ海に入った英空母・クイーンエリザベス
チョウマメの花
↓よろしかったら、お願いします。