遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

バイデン米政権のアフガニスタン撤退作戦は大失敗

2021-08-29 01:33:55 | 中東全般
 バイデン米政権のアフガニスタンへの対処が大失敗だったことを、民主党員や同党寄りのメディアでさえ認めていると、WSJに寄稿されているのはカール・ローブ氏。
 米国が撤退すべきだったかどうかという問題は置いておいて、バイデン氏が米大使館員や米国市民、アフガン人の同朋を安全に避難させるための最低限の計画すら立てていなかったことは明らかだとカール・ローブ氏。
 
【寄稿】アフガン問題、 バイデン氏最後の危機にあらず - WSJ 2021 年 8月 27日 By Karl Rove

 ――筆者のカール・ローブ氏は、政治活動委員会「アメリカン・クロスロード」の設立に関わった。著書に「The Triumph of William McKinley(ウィリアム・マッキンリーの勝利)」(サイモン&シュスター2015年刊行)がある。

  ***

 
民主党員や同党寄りのメディアでさえ、バイデン米政権のアフガニスタンへの対処が大失敗だったことを認めている。恐ろしく悲痛な光景は、米国人、同盟国、敵のいずれにとっても忘れることはできない。

 米国が撤退すべきだったかどうかという問題は置いておこう(筆者の答えはノーだ。ジョー・バイデン大統領もドナルド・トランプ前大統領も、撤退を提唱したのは間違いだった)。いずれにしろ、
バイデン氏が米大使館員や米国市民、アフガン人の同朋を安全に避難させるための最低限の計画すら立てていなかったことは明らかだ。政権は25日にようやくアフガン国内にいる米国人の推計値を明らかにした。それは、これまでに報告された推計値をはるかに下回っていた。しかも、アントニー・ブリンケン米国務長官はそのデータを報道機関に発表した際、「この会見場を出るころには古くなっているだろう」と述べた。共に戦ったアフガン人に対する特別移民ビザ(SIV)プログラムの実施も、バイデン政権の動きは遅く、お粗末だったそれは重大な裏切りでもあった

 
同盟国との綿密な協議も、タリバンがアフガン政府転覆を狙う動きへの対応も、米国の高度な兵器装備を回収する計画もなかったのは明らかだ。不可解なことに、米国の影響力を行使する手段のうち、タリバンを抑止していたもの――バグラム空軍基地から飛び立つ米軍機が地獄の雨を降らせるという脅威――をいち早く撤収してしまった

 米国と対立する
中国やロシア、イランは、同地域に残された米国の影響力を喜々として粉砕しており、敵のイスラム過激派は、「悪魔の大王」に対する勝利を大喜びし、メンバーの勧誘に大きな弾みをつけている

 
今回の惨事は、バイデン氏からホワイトハウスのスタッフ、閣僚に至るまで、政権の構造的な弱点を露呈させることになった。

 大統領というものは、自分がどのように行動し、部下に何を要求し、どのような慣行を主張するかによって、政権の方向性を打ち出すものだ。
バイデン氏は、今回の大規模な政策構想に対して詳細な計画を求めなかったようだ。「9月11日の同時多発テロ20周年までにアフガンから撤退する」という目標は発表したが(その後、8月31日に変更)、実行の裏付けとなっていたのは希望的観測だった

 このような
軍事的撤退を適切に行うためには、政府機関を横断する強固な計画の策定を大統領が主張することが必要だった。大統領はそれをしなかったようだ。また、アフガン政府が持ちこたえるためには何が必要かや、それが不可能な場合、人権を守るための合意を形成するためには何が必要かについて、厳しく問い詰めるべきだったが、それもしなかった。現場の情報活動や同盟国の反応、計画の進捗(しんちょく)状況などについて、定期的な報告を受けることも必要だった。しかし、それは行われたのだろうか。そして、もし行われていたとしたら、大統領はそれに注意を払っていたのだろうか。間違いなく、そうは見えない

 
ホワイトハウスのスタッフもそうだ。給料に見合った働きをするには、各危機に対応するだけでなく、大統領の目標を妨げる可能性のある問題を予測する必要がある。機関をまたいで計画が首尾よく策定されるよう監督し、閣僚に意見の相違を表面化させるよう促し、大統領に選択肢を提示しなければならない。同時に発生する多くの困難な事態をうまくさばき、大統領の時間を節約し、大統領が指揮を執っているように見せる(実際にそうであることを期待するが)ことで国民の信頼を構築しなければならない。アフガンについては、バイデンチームはこのどれもやっていないか、あるいはうまくやっていないように見える。これでは、必ずやって来る次の危機に対処できるのか、心もとない。

 そして最後が、
カマラ・ハリス副大統領と閣僚だ。バイデン氏に9月11日という当初の撤退期限を変更させたこと以外は、悪いニュースを伝えたり、厄介な問題を提起したり、政権の政策で自らの役目を実行する上で勤勉さを発揮したりもしなかった。アフガン撤退計画が彼らのスケジュールや思考、エネルギーの多くを占めていたことを示す証拠はほとんどない。

 バイデン氏が4月14日に撤退を発表した際、国務省はなぜアフガン人の同朋のために特別ビザプログラムを強化しなかったのか。民間人を無事に避難させ、アフガン人にタリバンの猛攻撃を生き延びるチャンスを与える形で軍隊や軍需品を撤収する思慮のある計画を、国防総省の指導者たちは、なぜ立てられなかったのか政府の連携を保つために不可欠な機関を横断するプロセスが、なぜ取られなかったのか。ホワイトハウスがそのようなプロセスを要求しなかったのであれば、なぜその任務を担う関係閣僚がそうしなかったのか

 
ホワイトハウスは撤収への対処を誤ったものの、有り難いことに、米軍は恐らくその能力と気概によって、米国民の退避を完了させてくれるだろう。それでも、それは悲劇的な状況をいくらかましにしてくれるだけにすぎない。

 
バイデン氏のアフガン対応にまつわる弱点は、南の国境での移民対応など他の問題への対処にも見て取れる。こうした傾向が変わらなければこの国の将来にはもっと大きな失敗が待ち受けているだろう。そうなれば、ジミー・カーター大統領のときのように、バイデン氏には大統領の任務は果たせない、との認識が有権者の間で高まるのは必至だ。

 まだそこまでは至っていないが、
アフガン撤退の失敗は、その方向に向けた大きな一歩となった。これだけでは、バイデン政権が機能不全に陥ることはないだろう。しかし、大きな痛手を負うことにはなった。

 共に戦ったアフガン人に対する特別移民ビザ(SIV)プログラムの実施も、バイデン政権の動きは遅く、お粗末だった。それは重大な裏切りでもあったとカール・ローブ氏。
 同盟国との綿密な協議も、タリバンがアフガン政府転覆を狙う動きへの対応も、米国の高度な兵器装備を回収する計画もなかったのは明らかだと。
 中国やロシア、イランは、同地域に残された米国の影響力を喜々として粉砕しており、敵のイスラム過激派は、「悪魔の大王」に対する勝利を大喜びし、メンバーの勧誘に大きな弾みをつけているとも。

 バイデン氏は、今回の大規模な政策構想に対して詳細な計画を求めなかったようだ。
 「9月11日の同時多発テロ20周年までにアフガンから撤退する」という目標は発表したが、実行の裏付けとなっていたのは希望的観測だったとカール・ローブ氏。

 今回の様な作戦には、政府機関を横断する強固な計画の策定を大統領が主張することが必要だった。大統領はそれをしなかったようだと。
 現場の情報活動や同盟国の反応、計画の進捗(しんちょく)状況などについて、定期的な報告を受けることも必要だった。しかし、それは行われたのだろうか。間違いなく、そうは見えないとも。

 ホワイトハウスのスタッフについても、大統領に選択肢を提示しなければならない。
 大統領が指揮を執っているように見せることで国民の信頼を構築しなければならない。
 アフガンについては、バイデンチームはこのどれもやっていないか、あるいはうまくやっていないように見えるとカール・ローブ氏。

 カマラ・ハリス副大統領と閣僚。撤退計画が彼らのスケジュールや思考、エネルギーの多くを占めていたことを示す証拠はほとんどないと。
 国務省はなぜアフガン人の同朋のために特別ビザプログラムを強化しなかったのか。民間人を無事に避難させ、アフガン人にタリバンの猛攻撃を生き延びるチャンスを与える形で軍隊や軍需品を撤収する思慮のある計画を、国防総省の指導者たちは、なぜ立てられなかったのか。
 ホワイトハウスがそのようなプロセスを要求しなかったのであれば、なぜその任務を担う関係閣僚がそうしなかったのか。
 
 ホワイトハウスは撤収への対処を誤ったものの、米軍は恐らくその能力と気概によって、米国民の退避を完了させてくれるだろうとカール・ローブ氏。
 しかし、自縛テロによって死者をだす犠牲を生むこととなりました。

 バイデン氏のアフガン対応にまつわる弱点は、南の国境での移民対応など他の問題への対処にも見て取れる。こうした傾向が変わらなければ、この国の将来にはもっと大きな失敗が待ち受けているだろうとカール・ローブ氏。

 余談ですが、各国の大使館要員(含む現地採用スタッフ)や滞在民間人の退避については、欧州各国も、韓国も無事終了しました。
 ところが、日本の自衛隊機は、僅かな人数の退避は出来ましたが、空港まで自力で来いという作戦で、多くの人々の退避が出来ていません。
 遅ればせながら、バスで空港に向かえる様手配できたケースもありますが、自爆テロで中止。
 多くの退避希望者を放置したまま、米軍の退避作戦終了に伴い、日本も打ち切り!

 バイデン政権同様に、何人の退避人数が居るのか。自衛隊員の現地での法的活動制限がある中で、どのようにそれらの人々を空港まで移動させるのかといった作戦がどこまで詰められていたのかは、問われてしかるべきです。
 取り残された人々の救出に全力あげるべきですが、手立てはあるのか。

 カール・ローブ氏は、バイデン政権の今後について危惧しておられますが、日本でも同様の危惧があります。
 
 北朝鮮の拉致被害者の救出は、小泉政権時に一部の方々の救出は実現しましたが、その後はなし。
 北方領土から逃れた方々は、帰ることが出来ないまま。
 自衛隊の、海外での活動は、大きく制約されたまま。
 新型コロナ感染拡大では、緊急事態の私権制限がのどに刺さった骨となり、行動規制にしても、医療協力体制にしても、個々へのお願いベースで緊急抜本策はとれない。
 日本が普通の国になれるのは、いつのことなのでしょう。



 #冒頭の画像は、カブール空港警備に任る米軍
  米中央軍司令部は日本時間28日午前、アフガニスタン国内の過激派勢力「イスラム国(IS)」系組織「IS-K」のカブール自縛テロの「計画者」をドローンで攻撃し、標的を殺害したと発表しました
  IS系「計画者」をドローン攻撃で殺害=米軍 カブール空港での退避続く - BBCニュース




  この花の名前は、シロバナマンジュシャゲ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国の台湾侵攻 現状では中... | トップ | 英国の最新鋭空母「クイーン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中東全般」カテゴリの最新記事