遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国 地方政府の破綻から金融危機か

2016-01-14 23:39:25 | 中国 全般
 中国の地方政府が財政収入の命綱としてきたのが、国有地の使用権を不動産開発業者に譲渡する代価として得られる「土地譲渡金」というものなのだそうです。この土地売買の上に成り立つ地方財政は、「土地財政」という新造語を産んだのだそうです。
 「土地財政」が成り立つためには、不動産バブルが続くことが必要ですが、不動産市場の低迷で在庫が山積みとなり、土地譲渡需要が減り、「土地譲渡金」の収入が激減し、「土地財政」が破綻の危機に瀕しているのだと。
 

迫りくる地方政府の「倒産」 (1/14 産経 【石平のChina Watch】)

 昨年12月22日、中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会副委員長の陳竺氏は同会議で地方政府の財政問題を取り上げ、「将来、一部の地方政府が事実上“倒産”する可能性があるので、警戒すべきだ」と語った。各地方政府の深刻な財政難は、国内ではよく知られているが、全人代副委員長の立場にある人が「倒産」にまで言及したのは、まさに衝撃的な発言として全国で大きな波紋を呼んだ

 陳氏が「倒産」の理由として挙げているのは、
各地方政府が抱える膨大な債務問題
である。同じ会議において、全人代常務委員で元経済官僚の姚勝氏が披露した数字によると、今、中国全国の地方政府が抱える債務の総額は約16兆元(約290兆円)に上っており、2015年度の地方財政収入の2倍以上に相当するという。「収入の2倍相当の債務」と言えば、先進国の基準ではそれほど深刻な数字でもないが、中国の場合、地方政府の「財政収入」自体が実に危ういものなのだ。

 1994年、中国は中央政府の財政危機を救うために「分税制」を柱とする財政改革を行った。それ以来、
国の税収の大半を占める増値税(消費税)などから得る財源のほとんどが中央政府に持っていかれるようになり、各地方政府は慢性的な財政難
に陥っていった。
 こうした中で、
地方政府が財政収入の命綱としてきたのが「土地譲渡金」という税制外の収入
だ。国有地の使用権を不動産開発業者に譲渡する代価として大金を手に入れ、それを財源に充てるのだ。
 たとえば2014年の場合、全国地方政府の財政総収入は7・6兆元であったが、その半分以上の4・3兆元が土地譲渡から得た収入だ。こうした中で、「土地財政」という新造語も生まれたが、全国の地方政府の財政はもっぱら「土地売買」の上に立つ脆弱(ぜいじゃく)なものとなった。
 
「土地財政」が成り立つ最大の前提は不動産バブルが永遠に続くことにある。バブルが続いて国有地の譲渡金がいつでも懐に入ってくれば、地方財政は何とかやり繰りできるが、この前提が一旦崩れれば一巻の終わり
である。
 そして
昨年から、地方政府にとっての悪夢が現実となった。不動産市場の低迷で在庫が山積みとなった中、開発業者は以前のように不動産を大量に“つくらなく”なった。その結果、各地方政府が頼りにしている土地譲渡収入も未曽有の激減
となったのである。
 実際、2015年1月から11月まで、
全国地方政府の土地譲渡収入は前年同期比で約30%減
り、減収額は何と1兆元以上になった。
 たとえば遼寧省の場合、以前は毎年2000億元以上もあった土地譲渡収入が、今では3分の1程度の700億元程度に落ちた。山西省の場合も、まさに「土地財政」の破綻によって、省内119の県と「県級市」政府の7割以上が財政収入のマイナス成長に見舞われ、いくつかの県は既に、公務員の給料すら支給できなくなった。
 このような深刻な状況がこれからも続くのだ。社会科学院が昨年12月に発表した報告書によれば、全国で売れ残りの分譲住宅在庫(延べ床面積)が21億平方メートルもある。
これから5、6年間、いかにして在庫を減らすかが不動産開発業にとっての至上課題
であり、土地を大量に買って不動産を増やすなど、もってのほかなのだ。

 こうなると、今後、
各地方政府が財政破綻して負債を返さなくなるのは当然のことだろう。その結果、冒頭の全人代副委員長が憂慮する地方政府の「倒産」が起きてくるだけでなく、地方政府に莫大(ばくだい)な融資を供給してきた正規の国有銀行やシャドーバンキングも窮地に陥り、金融危機が誘発されるのかもしれない。中国政府と中国経済全体の苦境はまさにこれからだ。

 元はと言えば、1994年に行われた、中央政府の財政危機を救うための税制改革で、国の税収の大半を占める増値税(消費税)などから得る財源のほとんどが中央政府に持っていかれて、各地方政府は慢性的な財政難に陥ってしまい、地方政府は「土地財政」にシフトせざるをえなくなったことが原因です。
 そこへ、土地バブル崩壊の兆で、「土地譲渡金」の収入が激減。全国地方政府の土地譲渡収入は前年同期比で約30%減り、公務員給料を払えない県がいくつかでてきているのだそうです。

 その結果、地方政府の「倒産」が起きてくるだけでなく、地方政府に莫大(ばくだい)な融資を供給してきた正規の国有銀行やシャドーバンキングも窮地に陥り、金融危機が誘発される可能性が強まっているのだそうです。

 一方、国レベルでも、輸出と輸入を合わせた2015年の貿易総額が前年比8.0%減となり、年間6%増とする政府の目標を大きく下回り、リーマン・ショックの影響で落ち込んだ09年以来、6年ぶりに前年比でマイナスとなったのだそうで、国全体の経済成長の鈍化が現実の数字で明らかになってきています。
 

中国の貿易総額8%減 6年ぶりマイナス 経済減速鮮明に - 産経ニュース

 中国税関総署は13日、輸出と輸入を合わせた2015年の貿易総額が前年比8・0%減の3兆9586億ドル(約468兆円)だったと発表した。年間6%増とする政府の目標を大きく下回り、リーマン・ショックの影響で落ち込んだ09年以来、6年ぶりに前年比でマイナスとなった。
 
内外需ともに振るわない状況が続いたほか、原油など資源価格が大きく下落したことも響いた。中国経済の減速傾向が鮮明となり、影響は世界経済全体にも波及しそう
だ。
 輸出は2・8%減の2兆2765億ドル、輸入は14・1%減の1兆6820億ドルだった。この結果、貿易黒字は5945億ドルに拡大し、過去最高を更新した。
 日本との貿易総額は10・8%減少し、2年ぶりにマイナスになった。欧州連合(EU)との間も8・2%減だった。(共同)


 
中国、「世界の工場」時代の終焉か 上海株も3000割れ WTO加盟から15年、成長エンジン失速に危機感 - 産経ニュース

<前略>
 01年12月、日本の支援で世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、貿易は中国にとり最強の成長エンジンだった。原材料や部品を輸入して人海戦術で安価に組み立て、洪水のように輸出する加工貿易で「世界の工場」と呼ばれた時代は、WTO加盟から15年を迎える前に終焉(しゅうえん)に向かっていることが鮮明になった。

 貿易失速に危機感が広がる。とりわけ投資家にとってもショックが大きかった
輸出の減少は、人件費高騰や労使紛争の頻発などで、製造業の国際競争力がそがれたことが原因だ。
 
日本を含む外資系の製造業で、繊維や衣料品、機械・電子部品などの工場が相次ぎ中国から撤退。将来的に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で有望な輸出拠点となるベトナムなどにシフトしており、中国の輸出産業は広範囲に地盤沈下を起こしつつある


 
輸入の減少は、不動産市況や株式市場の低迷による中国国内需要の伸び悩みが響いている。元安の副作用で中国が世界から製品や原料を購入する勢いも衰えており、中国市場へ依存度を高めた世界経済の下ブレ要因にもなってきた


 貿易のマイナスが、19日に発表される15年の中国の国内総生産(GDP)統計にどう影響するか注目されている。7.0%前後という政府成長目標の達成は微妙だ。同時に貿易とGDPの統計の整合性や信頼性も指摘されることになる。(上海 河崎真澄)

 地方政府の財政破綻から懸念される、国家の金融危機。経済成長の基となった、安価なコストによる組立・加工モデルの「世界の工場」の破綻。それが、現実の数字で露わになった、貿易総額の、6年振りのマイナス成長。

 石平さんが指摘される様に、中国政府と中国経済全体の苦境が始まった様です。そして、その影響が世界へ広がっていくことになります。
 チャイナプラスワン or 脱中国を進めた企業や国。TPPで新たな経済圏を築こうとしている国々が、何処まで凌いで、世界経済に貢献できるか。日本の役割が増す 1年になりますね。



 # 冒頭の画像は、中国の証券会社で頭を抱える個人投資家




  この花の名前は、キレンゲショウマ




政府広報(北方領土問題) - YouTube

尖閣諸島 政府広報
尖閣諸島に関する動画 / 政府広報 - YouTube


↓よろしかったら、お願いします。






Fotolia


ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1月13日(水)のつぶやき | トップ | 1月14日(木)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事