遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

プーチン氏は、お粗末な戦略家であることを露呈した

2015-11-30 23:58:58 | ロシア全般
 ウクライナへの侵攻で経済制裁を科せられていたロシア。シリアでの内紛では、アサド政権を支持していて、欧米諸国とは対立していましたが、フランスでのテロ事件発生を受け、自称イスラム国への攻撃で、欧米とロシアの協調がオランド大統領の呼びかけで整いつつありました。
 トルコのロシア機撃墜は、何故今なのか。度重なるロシアの領空侵犯に、次は撃墜もあると告げていたにもかかわらず侵犯したとのトルコ側の言い分。諸説報じられていて、遠い日本からでは真相は依然闇の中です。
 中国の尖閣諸島への進入の定常化、南シナ海での人口島建設と軍備増強も、欧州からはさほど中国の暴挙と受け取られていないのは、さもあらんと改めて感じさせられます。
 専守防衛の日本ですが、尖閣の領海侵犯が定常化しても、その艦船を攻撃することはありません。中国も、日本の自縛の法制・世論を知っていますから、平気で領海侵入し、それを定常化させ、やがて中国の管理下にあると実効支配の宣言をしようとしています。日本でなく、トルコや普通の国であれば、ここまで定常化する前に、防衛と国家の主権を示す為、攻撃をしているところです。
 
 普通の国のNATO諸国への侵略をするロシア・プーチン。普通の国から当然制裁や反撃を普通に受けています。
 自業自得ですが、自称イスラム国への包囲を、オランド大統領の尽力で欧米の足並みがそろいつつあり、ロシア制裁網の現状打開の糸口も見えそうでしたが、崩れてしまいそうです。
 

鼻を折られたプーチン大統領との接し方に要注意 混迷を深めるシリア情勢、西側諸国はどう対処すべきなのか | JBpress(日本ビジネスプレス) 2015.11.30(月) Financial Times

 チェスの名人たるロシアのウラジーミル・プーチン大統領に、いったい何が起きたのだろうか。筆者はもう、プーチン氏のことを、世界の先進民主主義国の弱く、煮え切らない指導者たちを目立たせる大胆かつ決断力のある人物として描く論評を数えるのをやめた。誇張は常に、誇張でしかなかった。我々は今、ロシアの本当の脆弱性を垣間見ている


■輝きを失ったプーチン大統領
 
どんな尺度で見ても、プーチン氏は輝きをいくらか失った

 シリアにおけるロシアの軍事作戦は形勢を一変させるゲームチェンジャーとして広くもてはやされた。
 米国のバラク・オバマ大統領なら絶対にそのリスクを取らないような大胆なチェスの序盤の布石だとされていた。
 
プーチン氏は部隊を派遣することで、シリア内戦を終わらせようとする国際的な努力の中心に自身を据えた
。同氏はシリアのバシャル・アル・アサド大統領の強制排除を求める西側の要求を潰した。ウクライナに侵攻した後、礼儀正しい外交界から追放され、暗がりにいたしかめ面の人物が突如、テーブルの上座に戻ってきた。
 流線形のロシアの戦闘機と水面下の潜水艦がシリアの反政府勢力を爆撃するテレビ映像は、偉大なる愛国的復興の指導者としてのプーチン氏の自己像を磨き上げた。ロシアはもう超大国ではないなどと誰が言ったのか。人は忘れっぽい。西側の視聴者が空を照らすミサイルを、歴史の弧を曲げる米国の力と誤解したのは、そう昔の話ではない。

<中略>


 たとえ欧米の経済制裁がなかったとしても、
ロシア経済は深刻な問題に陥っていただろう。
 
石油・ガス価格の急落
は、プーチン氏が国の経済生産の源泉を近代化、または多角化できなかったことを露呈させた。
 
経済は縮小し、生活水準は低下している。資本逃避は外貨準備を枯渇
させており、海外の投資家はロシアに近寄らない。最悪の事態は終わったと言う人もいるが、著しい回復を見込む人はほとんどいない。
 いずれも、プーチン氏が脅かされていることを示唆しているわけではない。
ロシア国内では、同氏の強引な国家主義は国民に買われている。支持率は成層圏のどこかで高止まりしている。オバマ氏やドイツのアンゲラ・メルケル首相、あるいは、ほかに思い浮かぶどんな指導者も、喜んでプーチン氏と支持率を交換するだろう。また、最近の挫折が、場所がウクライナであれ、シリアであれ、プーチン氏が問題を引き起こす力を弱めることもない


 さまざまな兆候を見る限り、ロシアのジェット機撃墜の後、ロシア政府もトルコ政府も事態がエスカレートすることは避けたいと考えているが、新たな衝突の可能性を排除するのは間違いだ。ロシアと西側諸国の重複する軍事作戦は、絶えず存在する偶発的衝突のリスクをもたらしている。

■西側が次に打つべき手
 では、
西側諸国の次の一手は何であるべきなのだろうか。最初の答えは、まずは停戦その次にシリアのための何らかの政治的枠組みを求めてロシア政府との関与を深める
ことで、プーチン氏の問題を利用しようとすべきだ、というものだ。

 
第2に、米国政府、ドイツ政府、フランス政府はリセットや和解に関する迂闊な話を避けなければならない。故マーガレット・サッチャーの言葉を借りるなら、今はふらふらしている時ではない。第3に、2つ目に続いて西側諸国は、ロシア政府との関係に対して、外交官らが「厳密にインストルメンタルなアプローチ」と呼ぶものを採用すべき
だ。
 シリアでの軍事作戦を調整する必要性は、自明である。もし
プーチン氏にイラク・シリアのイスラム国(ISIS)に対抗する本物のパートナーシップを組む気があるなら、西側諸国は奨励で応じるべき
だ。
 アサド氏が大統領の座にとどまっているうちは、永続的な取り決めは絶対にあり得ないが、ワシントンなどで次期政府として持ち上げられているいわゆる穏健派の反政府勢力は、もっぱら作り話だ。
 政治的移行が存続可能な新体制とロシア、イランの同意を築くには、時間がかかる。

 
許されない過ちは、シリアからウクライナへの話の転換を受け入れることだ。プーチン氏は、シリアでの協力とウクライナにおける西側の譲歩とを交換することを望むだろう。その道には破滅が待ち受けている

 制裁を緩和したい気持ちになる欧州の指導者は、自分たちがイランの核合意をウクライナに関する論争から切り離しておくことに成功したことを思い出すべきだ。そして、ロシアが西側と全く同様に、凶暴なイスラム主義過激派の打倒に利害を持つことは誰も忘れてはならない。

 
シリアはすべての関係者を穴に陥れた米国と欧州はほとんど発端から紛争を読み違えていた。決断力のある戦術家のプーチン氏は、お粗末な戦略家であることを露呈した。もしまだ取引が可能なのであれば、すべての人がチャンスをつかむべきだが、ロシア大統領が失地回復主義的な世界観を捨てたとは誰も考えるべきではない

 翻訳文なので繰り返し読まないと理解し辛いところがあります。もともと、シリアの中の三つの勢力の争いとそれに係る欧米、ロシア、イラク、イラン、トルコの綾は、複雑で理解し難いのですが。(記事の全文は、記事冒頭のタイトルのリンク部をクリックしてご覧ください。)
 
 ロシア経済は、資源輸出に頼る構造からの脱却が依然出来ていない。にも関わらず、主力ガス田の枯渇が迫り、北極圏やシベリアの難度が高く高コストの新規開発に迫られている。
 そこへ、シェールガスの出現、対抗する産油国の原油値下げ。また、欧州各国のエネルギー安全保障の為の、脱露依存による需要減。
 つまり、ロシア経済は行き詰まっていたのです。
 そこで、国民の眼を逸らす為に、クリミア侵攻など、ウクライナ侵攻をした。しかし、G8から追い出され、経済制裁を受け、国民生活は困窮の度を増した。
 シリアの内紛では、オバマ大統領の失政で、深刻度を増した。プーチンがここぞと主導権を握り、失地回復を謀ろうと励んでいるがもつれた糸は容易にほぐせない。

 記事は、今後の展開で、3段階の提案をしています。
 ロシア・プーチンは、自称イスラム国の壊滅に本気で注力すべきです。自称イスラム国攻撃との名の下に、反アサド勢力の攻撃を行っているとされる行為は控えるべきです。そこで、統一戦線を形成する。オランド大統領の奔走で進んでいた道に戻るということですね。
 
 諸国のベクトル合わせが進むことを祈ります。



 # 冒頭の画像は、対『イスラム国』闘争の協調をはじめとするテロ脅威への対策を話し合った、オランド、プーチン両首脳 (11/26)
“対IS戦線” トルコのロシア機撃墜でプーチンは戦略変更か (THE PAGE) - Yahoo!ニュース




この花の名前は、ユキノシタ


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