遊爺雑記帳

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ガザ・シファ病院の戦い巡る矛盾

2023-11-19 01:23:56 | 中東全般
 ガザでの一般市民や人質を盾にした立て籠り戦術を採るハマスのテロ行為と、イスラエルがハマスに侵入され市民を殺戮・人質を強奪されたことへの反撃と人質奪還作戦による反撃の攻防では、イスラエル軍への批難の声が、日本国内だけでなく各国では、デモを伴う盛り上がり報道が見られます。
 この一方的なイスラエル批難には、喧嘩両成敗の大岡裁定が必要と唱えていましたが、WSJの社説で、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)の、2016年12月のISと、イラクの攻防と、今回のハマスとイスラエルの対応の違いの比較記事がありました。
 前者では両成敗もガザではイスラエルを一方的に批難!?
 
【社説】ガザ・シファ病院の戦い巡る矛盾 - WSJ By The Editorial Board 2023年 11月 15日

 米中央軍は2016年12月8日、次のような声明を出した。「有志連合がモスルの病院を攻撃」。声明によれば、過激派組織「イスラム国」(IS)が「この病院を作戦の拠点および指揮統制本部として使用していた」というこのため米主導の有志連合は、この病院を奪取するために戦っていたイラク軍を支援して精密照準攻撃を実施した。

 
この話の本筋とスキャンダラスな点は、米軍がテロリストたちの隠れていた場所で彼らを攻撃したということではなく、そもそもテロリストが自分たちの避難場所として病院を使っていたということだ。「モスルの戦闘でISが病院を拠点に使用」というのは、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)の発表文の見出しだ。HRWは「軍隊も武装集団も医療施設を占拠してはならない。これら施設の保護対象としての地位を損なうことになる」と説明した。

 
ガザで現在、イスラム組織ハマスのテロリストは同じ戦争犯罪の戦術を使っている違うのは、オブザーバーたちが相次いでそれを擁護していることだHRWのトップページを見ると、「イスラエルによる違法な病院攻撃で医療危機が悪化」と書かれている同団体は4500語を使って、ハマスの弁護人のように振る舞い、イスラエルの主張に異議を唱え、証拠を無視している

 
西側諸国の報道機関の大半もまた、ガザのシファ病院は患者を収容する場所であるだけで、他に攻撃される理由が何もないのに、イスラエルがそこを挟み撃ちにする反撃作戦を展開したと読者に印象付けた

 
真実の話は、米シンクタンク「民主主義防衛財団」のジョナサン・シャンザー氏が説明しているように、もっと納得がいくものだハマスは少なくとも2006年には、シファ病院を使用していた。2006年の米公共放送PBSのドキュメンタリー番組にはテロリストが病院の廊下を歩き回り、病棟への立ち入りを制限している様子が映っていたHRWでさえも2007年には、ハマスが院内から、ライバルのパレスチナ主流派組織ファタハに向けて発砲したことを認めていた

 
2008年から2009年の戦争で、ハマスの指導者らは病院の地下壕(ごう)に隠れたニューヨーク・タイムズ紙によると、ハマスは病院の廊下で公然と活動していた2014年の戦争の際には、シファ病院はハマスの「事実上の司令部」だとワシントン・ポスト紙が報じていた国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ハマスが病院の敷地内で捕虜に拷問を加えたとの見方を示していた

 
ホワイトハウスは14日、イスラエルが長らく主張してきた内容を確認した米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は米独自の情報を引用し、「ハマスと(ガザを拠点とする武装組織である)イスラム聖戦のメンバーがガザ市のシファ病院に指揮統制司令部を設けている」と述べた

 
ハマスは確かにそうした状況が当てはまるような戦い方をしている。彼らは当初、病院の敷地周辺に民間人を集め、退避するのを阻止しようとした。ハマスはガザの統治機関の集まる地区での支配権を失った後も何日もの間、シファ病院の外で戦闘を行っている

 
それはハマスがガザの病院にいる患者たちのことを心配しているからではないイスラエル軍はガザの別の病院であるアルクッズ病院の外から(ハマスの)戦闘員の1人がロケットランチャー(RPG)を発射し、その後病院内に逃げ込んだ動画を公表した。イスラエル軍はまた、記者団をランティシ小児病院に案内した。同病院の地下にはハマスの武器庫があったほか、近くにはトンネルの立て坑もあった

 今回のケースで
法が示すものは明白だ。(武力紛争における捕虜や文民の保護について定めた)ジュネーブ条約(第4条約)に基づけばハマスによる軍事目的でのシファ病院の利用は、病院に与えられた保護された地位を無効にするものだそれでもなおイスラエル側にはまず警告を発し、軍事的優位性にかんがみた適切な手段を行使する義務があり、それを実行している。

 イスラエル軍がシファ病院を「包囲攻撃」しているとのメディアの報道とは異なり、
イスラエル側は何日か前に、民間人の脱出経路として同病院の東側を起点とする人道回廊を開設した。これを受けて多くの人々が同病院から退避した。イスラエル側がこうした退避を最初に勧告したのは、今から1カ月前だった。イスラエル側は同病院と連絡を取り、他の場所で治療を受けられるようにするための患者の退避策を提案した。ハマスは患者の移転に抵抗した。ハマスは、乳幼児を含む患者が戦闘地域に残ることを望んだ

 
これに対しイスラエル側は、保育器と人工呼吸器を病院に運び込む対応を取ろうとした。12日には、イスラエル兵が命の危険を冒して、病院の入り口に300リットルの燃料を届けたハマスが同病院に対し、この燃料の受け取りを拒否させたことを、米国務省は確認している。

 
ハマスが望めば、今回のシファ病院を巡る危機的状況をいつでも終わらせることができる。ハマスは、イスラエル側が患者を安全な場所に移すのを容認することができるし、病院から撤退することもできる。しかしハマスは、そうした対応を拒否。自ら撤退するのではなく、西側諸国がイスラエル軍の撤退を強いる形で、ハマスを助けることを期待している多くの国は、イスラエル側にそうした圧力をかけることに熱心だ。  

 
西側諸国がそうした対応を取ることは、法的には根拠がなく、倫理的には後退だそして戦争での勝利に向けた戦略としては、ハマス側を利することになる

 焦点は、WSJ・社説が指摘している様に、テロリストが自分たちの避難場所(または、指令本部?)として病院を使っていたということ。
 
 HRWは「軍隊も武装集団も医療施設を占拠してはならない。これら施設の保護対象としての地位を損なうことになる」と、ISのケース。
 
 ガザで現在、イスラム組織ハマスのテロリストは、(ISと)同じ戦争犯罪の戦術を使っている。違うのは、オブザーバーたちが相次いでそれを擁護していることだと、WSJ社説。
 HRWのトップページを見ると、「イスラエルによる違法な病院攻撃で医療危機が悪化」と書かれている。同団体は4500語を使って、ハマスの弁護人のように振る舞い、イスラエルの主張に異議を唱え、証拠を無視しているとも。

 西側諸国の報道機関の大半もまた、ガザのシファ病院は患者を収容する場所であるだけで、他に攻撃される理由が何もないのに、イスラエルがそこを挟み撃ちにする反撃作戦を展開したと読者に印象付けたと、WSJ社説。

 真実の話は、米シンクタンク「民主主義防衛財団」のジョナサン・シャンザー氏が説明していると。
 ハマスは少なくとも2006年には、シファ病院を使用していた。2006年の米公共放送PBSのドキュメンタリー番組には、テロリストが病院の廊下を歩き回り、病棟への立ち入りを制限している様子が映っていた。HRWでさえも2007年には、ハマスが院内から、ライバルのパレスチナ主流派組織ファタハに向けて発砲したことを認めていたのだそうです。

 2008年から2009年の戦争で、ハマスの指導者らは病院の地下壕(ごう)に隠れた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ハマスは病院の廊下で公然と活動していた。2014年の戦争の際には、シファ病院はハマスの「事実上の司令部」だとワシントン・ポスト紙が報じていた。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ハマスが病院の敷地内で捕虜に拷問を加えたとの見方を示していたとも。
 
 米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は米独自の情報を引用し、「ハマスと(ガザを拠点とする武装組織である)イスラム聖戦のメンバーがガザ市のシファ病院に指揮統制司令部を設けている」と述べたと、WSJ社説。

 ハマスは確かにそうした状況が当てはまるような戦い方をしている。彼らは当初、病院の敷地周辺に民間人を集め、退避するのを阻止しようとした。ハマスはガザの統治機関の集まる地区での支配権を失った後も何日もの間、シファ病院の外で戦闘を行っている。

 それはハマスがガザの病院にいる患者たちのことを心配しているからではない。イスラエル軍は、ガザの別の病院であるアルクッズ病院の外から(ハマスの)戦闘員の1人がロケットランチャー(RPG)を発射し、その後病院内に逃げ込んだ動画を公表。
 イスラエル軍はまた、記者団をランティシ小児病院に案内した。同病院の地下にはハマスの武器庫があったほか、近くにはトンネルの立て坑もあったのだそうです。

 今回のケースで法が示すものは明白だ。(武力紛争における捕虜や文民の保護について定めた)ジュネーブ条約(第4条約)に基づけば、ハマスによる軍事目的でのシファ病院の利用は、病院に与えられた保護された地位を無効にするものだ。それでもなおイスラエル側にはまず警告を発し、軍事的優位性にかんがみた適切な手段を行使する義務があり、それを実行していると、WSJ社説。
 
 イスラエル軍がシファ病院を「包囲攻撃」しているとのメディアの報道とは異なり、イスラエル側は何日か前に、民間人の脱出経路として同病院の東側を起点とする人道回廊を開設した。これを受けて多くの人々が同病院から退避したのだそうです。

 今から1カ月前、イスラエル側は病院と連絡を取り、他の場所で治療を受けられるようにするための患者の退避策を提案。ハマスは患者の移転に抵抗。ハマスは、乳幼児を含む患者が戦闘地域に残ることを望んだのだと、WSJ社説。

 これに対しイスラエル側は、保育器と人工呼吸器を病院に運び込む対応を取ろうとした。12日には、イスラエル兵が命の危険を冒して、病院の入り口に300リットルの燃料を届けた。ハマスが同病院に対し、この燃料の受け取りを拒否させたことを、米国務省は確認しているのだそうです。

 ハマスが望めば、今回のシファ病院を巡る危機的状況をいつでも終わらせることができる。
 しかしハマスは、そうした対応を拒否。自ら撤退するのではなく、西側諸国がイスラエル軍の撤退を強いる形で、ハマスを助けることを期待している。多くの国は、イスラエル側にそうした圧力をかけることに熱心だと、WSJ社説。

 つまり、ハマスの戦術は、イスラエル軍が、患者や避難している一般市民がいる病院を無差別に焦げ期しているという世論を生じさせ戦況を有利にさせる戦術を採っている。そして、現にその戦術に嵌められている声や報道が少なくない!

 西側諸国がそうした対応を取ることは、法的には根拠がなく、倫理的には後退だ。そして戦争での勝利に向けた戦略としては、ハマス側を利することになると、WSJ社説。

 全く同感です。



 # 冒頭の画像は、ガザのシファ病院



  この花の名前は、ホトトギス


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