遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日本経済はなし崩し的に中国経済圏に取り込まれる可能性が高い

2021-04-20 01:33:55 | 日本を護ろう
 日本経済の中国従属化が急ピッチで進んでいる。このまま事態が推移すれば、日本経済はなし崩し的に中国経済圏に取り込まれる可能性が高いと警告しておられるのは、経済評論家の加谷珪一氏。
 あまり聞いたことがない独自の視点で疑うところと、納得するところが織り交ぜられた、おもしろい展開。

 理由は、どういうわけか中国依存を強める日本の経済界や、それを容認する政府の姿勢と、バイデン政権の経済ナショナリズムだと。
 
急激ペースで「中国従属化」が進む日本経済の大問題 このままでいいのか?10年後には後戻りできない状況に | JBpress(Japan Business Press) 2021.4.19(月) 加谷 珪一:経済評論家

 日本経済の中国従属化が急ピッチで進んでいる。近年、日本は保守化が進んでいるとされ、中国を声高に批判する論調に溢れているが、どういうわけか中国依存を強める日本の経済界や、それを容認する政府に対する激しい批判は聞こえてこないこのまま事態が推移すれば、日本経済はなし崩し的に中国経済圏に取り込まれる可能性が高いだろう。

中国が日本にとって最大の顧客に
 
これまで日本は米国を最大の貿易相手国として経済を成り立たせてきただが、日本と中国の貿易は年々、拡大しており、すでに輸出と輸入を合わせた貿易総量で中国は米国を上回っている。そしてとうとう2020年には輸出においても中国が米国を超え、日本経済は名実共に中国が最大の取引相手となった

 今回の貿易統計の変動はコロナ危機の影響を大きく受けているものの、米国との関係が薄れ、中国との関係が深まるという流れは、今後さらに顕著になると予想されている。

 
その理由は、全世界的なサプライチェーンの縮小と、米中対立による経済のブロック化である。

 コロナ危機によって世界のサプライチェーンは混乱を極めており、現時点でも物流は正常化していない。企業は全世界に物流網を展開することのリスクを強く意識するようになっており、近隣調達比率を上げる方向でサプライチェーンの再構築が進んでいる状況だ。つまり、
ポストコロナ社会においては、近隣からモノを調達する傾向が強まる可能性が高く、日本経済は否応なく中国経済に巻き込まれることになる

 この動きに拍車をかけているのがトランプ政権が始めた米中貿易戦争である。

 
トランプ政権以前の米国は、中国から大量にモノを購入することで中国経済を米国に依存させ、通商を材料に中国を封じ込めるという現実的な外交戦略だった。だが、そうした取り組みをすべて破壊してしまったのがトランプ政権である。トランプ政権は、中国からの輸入に高関税をかけ、事実上の貿易戦争を行ってしまった

 中国の輸出産業は打撃を受けたが、拡大する内需向けに販売を切り換えるとともに、東南アジアへの輸出拡大に成功したことから、中国経済全体はほとんど失速しなかった。
これまで中国は、米国による輸出規制にビクビクしていたが、トランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争をきっかけに米国依存からの脱却を進めており、米国に対して遠慮する必要がなくなりつつある

 2021年3月にアラスカで行われた米中会談では、中国は米国に対して言いたい放題だったが、これも米国が関税というカードを使い切ってしまったことが原因である。恐れるものがなくなった中国が譲歩する理由はなく、バイデン政権がいくら人権を前面に出したところで中国が妥協する可能性は低いだろう。

 
トランプ政権の失策をきっかけに米中デカップリング(分離)が加速したという図式であり、これは世界経済のブロック化をもたらす可能性が高い。

ミャンマー問題も中国依存の一形態
 
日本経済がすでに中国経済に依存しているという現実は、ウイグル問題やミャンマー問題に対する政府の煮え切らない対応からも明らかである。米国はウイグルにおける人権弾圧について各国に同調を呼びかけているが、日本政府のスタンスは消極的だ。多くの日本企業が中国経済への依存度を高めていることが背景にあると思われる。

 
ユニクロを展開するファーストリテイリングは、中国での事業が絶好調となっており、2020年9月~2021年2月期の決算では営業利益が22.9%の増益となった。一方、同社はオーストラリアの研究機関から、新疆ウイグル自治区から調達した綿花を使用して利益を上げていると指摘されているが、柳井会長兼社長はウイグル問題について「政治的に中立な立場でやっていきたいので、政治的な質問にはノーコメント」との説明にとどめている

 
軍事政権による国民への弾圧が続いているミャンマーについても、米国は各国に制裁強化を呼びかけているが、ここでも日本政府はODA(政府開発援助)停止について慎重な姿勢を崩していない。欧米各国が投資を引き揚げる中、日本と中国だけがミャンマーへの積極投資を続けてきたという経緯があり、日本からは大手商社やキリンなど400社以上が同国に進出している。ここでミャンマーへの制裁を実施してしまうと、日本企業は大打撃を受けてしまう

 ミャンマーの高成長が続いてきたのは、中国が軍事政権に対して莫大な支援を続けてきたからであり、結果的に日本企業はミャンマーを通じて中国に依存する状況となっているのだ。

 
中国依存は国内の消費市場や金融市場にも及んでいる

 楽天は2021年3月、日本郵政との資本・業務提携に踏み切ったが、ほぼ同じタイミングで中国のIT大手テンセントからも資本を受け入れた。
楽天とテンセントの提携内容は明らかになっていないが、中国と日本の越境ECであることはほぼ間違いない

日本と中国のネット通販の一体化が水面下で進行中
 実は
東南アジア地域では、ここ数年、中国資本によるECサイトの買収が相次いでいる中国市場と東南アジア市場の一体化が急ピッチで進行している。

 中国のIT大手アリババグループは2016年、東南アジアのアマゾンと呼ばれていたECサイト「Lazada」を1000億円を投じて買収した。同じく東南アジアにおける有力ECサイトだった「Shopee」はテンセントが出資を行ったほか、同社のグループ企業である中国のネット通販大手JD.comは、ベトナムのECサイト「Tiki」の筆頭株主になっている。

 加えて中国のIT大手は越境ECのインフラを提供する企業も相次いで買収しており、
東南アジアと中国のECサイトは一体化が進んでおり、双方の利用者が外国であることを意識せずに、商品をやり取りできる環境が整いつつある。つまり、東南アジアと中国の消費市場は融合していると見て良い。

 そして、テンセントはとうとう楽天にも出資を行い、一方のアリババはすでメルカリとの提携を発表している。
中国の巨大IT企業にとって日本はアジアに残った最後の未開拓市場であり、日本の消費市場が中国と一体化するのも時間の問題となりつつある

 中国と日本の間で相互に商品が出品され、売買が行われるようになると、当然、決済のインフラも共通化されていく。中国はデジタル人民元の配布を開始しており、一連のECサイトの決済にデジタル人民元の決済インフラが使われる日もそう遠くはないだろう。

 実は
金融市場の中国依存もすでに始まっている安倍政権は財政状況が悪化している公的年金を少しでも増やそうと、積立金の運用を日本国債中心の安全運用から、外国株や外債といったリスク運用へのシフトを断行した。今や年金積立金の半分を占める約90兆円が外国株もしくは外国債での運用となっている。つまり日本の公的年金は外国の市場に頼らなければ、維持できない状態となっているのが現実なのだ。

 公的年金を運用する
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)における目下最大の課題は中国への投資である。GPIFに必要とされる利回りを確保し、資産を適切に分散投資するためには人民元建ての中国国債に投資する必要があり、今年(2021年)10月からは実際に中国国債の組み入れがスタートする(外国に投資をする以上、保有銘柄や通貨を分散することは必須要件であり、米ドルだけに投資することはできない)。だが、ウイグル問題などを抱え、米国との対立を深める中国への投資は政治的なリスクが大きく、GPIFは難しい決断を迫られている。

米国はもう日本からモノを買ってくれない
 多くの日本人はあまり認識していないかもしれないが、上記の通り、
日本経済の中国依存は想像以上のペースで進んでいる。このまま日中経済の一体化が進んだ場合、10年後にはもはや後戻りできない状況となっているだろう

 筆者は以前から、
日本は製造業の輸出で経済を回す輸出主導型経済から脱却し、個人消費を中心に経済を回す消費主導型経済にシフトすべきだと主張している。ITを軸とした高度な消費主導型経済が実現すれば、中国との関係を希薄化できるという大きなメリットがあるが、国内世論の大半はこの方向性に賛同していない。

 とりわけ、中国に対する強硬論を主張する人のかなりの割合が輸出主導型経済を強く望んでおり、実際、安倍政権の経済政策も多くが輸出振興型であった。だが製造業の輸出で経済を回す以上、顧客となってくれる国(その筆頭は中国)がなければ経済は回らない。

 トランプ政権に続き、
バイデン政権も経済ナショナリズムを強めており、米国はこれまでのように外国製品をいくらでも買ってくれるとは考えない方がよい

 バイデン政権は、政府調達に自国製品を優先させるバイアメリカン政策を推進しているほか、国境炭素税の導入も検討している。国境炭素税は地球環境保護が大義名分だが、外国企業の排除と国内の雇用拡大が狙いであることは明らかだ。この制度が導入されれば、
日本からの輸出が減るのは確実である。

 
結局のところ、日本が輸出主導型経済を続ける以上、事実上、中国を顧客にするしか道はなく、冒頭で紹介した中国向け輸出の増大は、その動きが顕著になっている現実を裏付けている。これまでの時代は政治と経済は別であるとして曖昧なスタンスも許容されたが、そうした牧歌的な時代はすでに過去のものとなった。日本は速やかに自らの立ち位置をハッキリさせる必要があるだろう。

 これまで日本は米国を最大の貿易相手国として経済を成り立たせてきた。だが、すでに輸出と輸入を合わせた貿易総量で中国は米国を上回っていて、2020年には輸出においても中国が米国を超え、日本経済は名実共に中国が最大の取引相手となったと加谷氏。
 日本は米国を最大の貿易相手国として経済を成り立たせてきた。しかし、全世界的なサプライチェーンの縮小と、米中対立による経済のブロック化の影響があると。ポストコロナ社会においては、近隣からモノを調達する傾向が強まる可能性が高く、日本経済は否応なく中国経済に巻き込まれることになるのだと。

 米中対立による経済のブロック化。米中の「新冷戦時代」が、自由と民主主義を尊重する国々と、専制国家の中国の資金と武力の軍門に下る国との分断を進めているのは、トランプ政権時代に始まり、バイデン政権でも概ね継承される兆候とは理解していますが、それが経済のブロック化?
 全世界的なサプライチェーンの縮小とのことですが、コロナ禍の中国の貿易規制で、脱中国やチャイナプラスワンが広まり、むしろサプライチェーンの多様化の方向にあると認識していますが?

 にもかかわらず、どういうわけか中国依存を強める日本の経済界や、それを容認する政府というご指摘には、全く賛同します。

 トランプ政権以前の米国は、中国から大量にモノを購入することで中国経済を米国に依存させ、通商を材料に中国を封じ込めるという現実的な外交戦略だったが、トランプ政権は、中国からの輸入に高関税をかけ、事実上の貿易戦争を行ってしまったと。
 米中の「新冷戦時代」突入は、トランプ政権が拡大させたことは事実ですが、そこには米国内の雇用を護るというトランプ政権の公約の他に、中国による米国への覇権挑戦のエスカレートといった、鄧小平の脱毛沢東専制政治の改革開放経済から、習近平の毛沢東専制政治への回帰といった、中国側の変化が考慮されていない。
 オバマ政権後期は、パンダハガー勢力が主流となり、南シナ海の人工島建設による不法な領土・領海化を許してしまいましたが、トランプ政権では歯止めをかけ、台湾支援の積極姿勢もうちだしました。

 ミャンマーの高成長が続いてきたのは、中国が軍事政権に対して莫大な支援を続けてきたからであり、結果的に日本企業はミャンマーを通じて中国に依存する状況となっているとの説も、ビルマ時代からの日本との歴史ある繋がりが無視されているような。。
 ミヤンマー軍は、中国一辺倒になることを避け、民主政権に移行を試みたものの、中共に接近するスーチーさんとの選挙争いで敗れるという、国内の政局争いがあるのですね。勿論、武力で国民を弾圧し死者もだすのは許されることではありませんが。

 金融市場の中国依存もすでに始まっていると加谷氏。
 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)における目下最大の課題は中国への投資なのだと。今年(2021年)10月からは実際に中国国債の組み入れがスタートするのだそうです。だが、ウイグル問題などを抱え、米国との対立を深める中国への投資は政治的なリスクが大きいと。
 
 そもそも、米国だけでなく、欧州諸国も重い腰をあげて対中制裁網を築こうかという、香港も含む人権問題。その制裁網を破り支援ともなる中国への投資。
 だから、バイデン氏が面談して日本の対中姿勢に釘を刺すことになってしまっているのですね。

 このまま日中経済の一体化が進んだ場合、10年後にはもはや後戻りできない状況となっているだろうと加谷氏。
 
 バイデン政権も経済ナショナリズムを強めており、米国はこれまでのように外国製品をいくらでも買ってくれるとは考えない方がよいと。
 外国企業の排除と国内の雇用拡大路線は、トランプ時代と同様(トランプ氏は今回の選挙で敗れたものの、得票数は過去の大統領を上回った支持を得た)の路線をバイデン氏も選択せざるを得ない。
 オバマ時代に主導したTPPへの復帰は、トランプ氏と同じく拒否していますね。
 日本からの対米輸出は減ることは確実だと加谷氏。
 結局のところ、日本が輸出主導型経済を続ける以上、事実上、中国を顧客にするしか道はなく、冒頭で紹介した中国向け輸出の増大は、その動きが顕著になっている現実を裏付けているのだと。
 繰り返しますが、どういうわけか中国依存を強める日本の経済界や、それを容認する政府に対する激しい批判は聞こえてこない。このまま事態が推移すれば、日本経済はなし崩し的に中国経済圏に取り込まれる可能性が高い。
 加谷氏が指摘される、「実現しつつある危惧」を廃するには、どうすればよいのでしょう。

 加谷氏は、製造業の輸出で経済を回す輸出主導型経済から脱却し、個人消費を中心に経済を回す消費主導型経済にシフトすべきだと提言いただいていますが。



 # 冒頭の画像は、アラスカで行われた米中外交首脳会談




  この花の名前は、オラルヤ・グランディフロラ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia





 
 

 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日米首脳会談 日米首脳間の... | トップ | 日米首脳会談 同時期にアー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本を護ろう」カテゴリの最新記事