Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

バンテージ・ポイント

2008-04-01 | 外国映画(は行)
★★★★ 2008年/アメリカ 監督/ピート・トラヴィス
<TOHOシネマズ梅田にて観賞>
「90分にぎゅっと凝縮」


こういう手が込んだ作品、結構好きですね。しかも、上映時間が90分程度とコンパクトなのがとてもいい。最近、無駄に長い映画多いですからね。ここは、ワタシすごく評価高いです。逆回しという手法に溺れず、しっかりと誰もが納得できる結論にまとめあげた手腕も見事。非常にすっきりとして良い脚本ではないでしょうか。

テキパキとカメラワークを指示するテレビ局のプロデューサー、シガニー・ウィーバーのシーンから始まるのですけど、あのカメラを何度も切り替えるリズミカルな展開がそのまま作品のスピードに繋がっているんですよね。これは、まるでオートバイの発進みたいです。1速からエンジン全開。2速、3速とギアをあげていくんですが、その度に主人公が変わる。それで、何度も逆回しがあって、いいかげん飽きたなって頃に、一回物語をひっくり返すんです。これが巧い。普通、ひっくり返すというのは、ラストに持っていきたいところなんですけど、これで一度観客は目が覚めるわけです。ラストは、ゴールまで直線コースをアクセル全開。

このカーチェイスのシーンも非常にダイナミックでハラハラします。ヨーロッパの石畳を車で追いかけっこするというのは、最近のハリウッド作品でよく見かけますが、「ナショナル・トレジャー」よりも断然興奮しました。それにしても、何台車を壊したんだろう…。

舞台にスペインのサラマンカという街をチョイスしたのも、とても良かったんじゃないかと思います。というのも、何度も逆回しをするという手法上、しつこく街並みが映ります。特にメイン会場を捉えたロングショットは毎回登場しますが、不思議と飽きないのです。みんながよく知っているヨーロッパの都市ならば、このしつこい逆回しも手伝って、見ていて飽きてしまったんじゃないでしょうか。赤茶けたシックな石造りの街並みが気ぜわしさを緩和しているような気がしました。

見終わってあれこれ考えるという類の作品ではないですが、観客の興味をとらえて離さないということで、かなりのクオリティ。面白いから見て!と誰にでもオススメできる作品だと思います。