Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

デジャブ

2008-04-22 | 外国映画(た行)
★★★★☆ 2006年/アメリカ 監督/トニー・スコット
「最初から最後までクライマックス」


予備知識は、ジェリー・ブラッカイマー製作とタイム・ウィンドウという言葉だけ。後はストーリーとか何も知らずに見たんですが、これが大正解。面白いエンタメが見たい、と言う人なら誰にでも太鼓判を押します。何も知らずにいればいるほど、楽しめる作品なので、まだ見ていない人は、以下のレビューは絶対に読まないように。

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全体の構成が実にお見事です。最初から最後まで飽きさせない良質のエンタメ映画はたくさんありますが、本作のすばらしさは、アクションだけで突っ走るのではない、展開のバリエーション。物語は、船の出航シーンで始まりますが、ドキュメンタリー風の映像で「ユナイテッド93」を思い出しました。やや間延びしたような雰囲気で一見退屈なシーン。これが、後になって生きてくるんですね。全く同じ映像なのに、プロローグの間延び感は吹っ飛んで、ハラハラドキドキ。観客の心理状況によって同じ映像を使い分けるなんて、思わず「巧いねえ」と声に出してしまったほど。

そして、プロローグののんびりムードを突き破る大爆発→頭のキレる一匹狼風捜査官の登場→タイム・ウィンドウなるハイテク機器による監視→4日という時空を越えたカーチェイス→タイムマシンに乗って過去戻り→愛する女性の大救出劇→ビックリ仰天のどんでん返しと、クライマックスは一体どこなんだ、と言うくらい、最初から最後まで「山場」の映画なんですね、これはすごい。緩急の緩と言えば、最初の出航シーンだけじゃないでしょうか。しかも、ラブストーリーとしてのテイストまで混合してしまうなんて恐れ入ります。「タイムウィンドウ」という秀逸のアイデアも、作品の後半は捨ててしまいますからね、この切り替えはすごいです。

常にタイムパラドクスが気になってしょうがない私は、本作においても「誰かちゃんと説明してくれ!」と叫びたい箇所がなかったわけではありません。特に、エンディング。また、ダグのタイムスリップは実は2度目だ、という意見があるんですけど、そういう新たな発見を聞かされると、さらに頭の中がこんぐらがって、どうしようもありません。でも、これだけの大作ですから、科学的な道理を逸脱しておいて知らん顔しているとは思えない。それなりに辻褄は合うんでしょう。そのために、いろんな伏線が張られているんだし。でも、私はこの伏線ばかり追いかける見方はしない方がいいと思う。少々の「なんで?」は置いておいて、「へ~!」「すげ~!」に徹しましょう。よくよく噛み砕いて見ればありえないことだらけですが、物語は全然浮いてなくてどっしりしてます。監督トニー・スコットとデンゼル・ワシントンの力量でしょう。