Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

僕は妹に恋をする

2009-06-14 | 日本映画(は行)
★★☆  2006年/日本 監督/安藤尋
「めったに「退屈」とは言わないのですが」


久しぶりに堂々と「退屈」と言える映画を見てしまった。安藤監督の前作「blue」は良作と聞き及んでいたので、見たい見たいと言いつつ未見。いい機会なので見比べてみようと思いますが、あちらはなんつったって、原作が魚喃キリコ。対してこちらの原作、書店でチラリと立ち読みしましたが、私には話題作りを狙っただけの作品にしか思えなかった。というわけで、そもそも素材がダメなのかと思ってしまう(原作ファンの方、すいません)。

年下の妹が成長するに連れて、兄が愛を抱くというんじゃないんですからね、この物語は。なんたって、双子ですからね。近親相姦は近親相姦でも、父と娘や、母と息子、兄と妹、などに見られる微妙な距離感は微塵も存在しないのです。一心同体。自分自身と寝ているようなもんでしょう。これほど特殊なシチュエーションでありながら、まるで普通の高校生の恋愛話のように話が進んでいくのは解せません。

そして、ただひたすらに静かなシークエンスの連続。そこに、双子の恋愛のやるせなさや行き場のない閉塞感があるのかという全くなし。日差しの差し込む校舎を延々と見せられても困る。どうせなら、松本潤をとことん美しく撮ることに徹しても良かったんじゃないだろうか。さすれば、ふたりの関係性がもっと淫靡に見えただろうと思う。フィルターかけて、真綿でくるむように見せようとしたって、テーマがテーマだけに、本質とはずんずんかけ離れていくとしか思えませんでした。