Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

イングロリアス・バスターズ

2011-04-04 | 外国映画(あ行)
★★★★☆ 2009年/アメリカ 監督/クエンティン・タランティーノ

「多言語ムービーの時代」


確かに頭の皮を剥ぎ取るなんてシーンは、ぎょえーっと思うんだけども、いつものタランティーノらしい悪ノリ感は控え目。タランティーノ好きのみならず、多くの映画ファンを楽しませるエンタメ作品になっていますね。おもしろかったです。司令部に佇むヒトラーをとらえるショットなんかは、やけに落ち着き払ったカメラで巨匠の風格さえ漂っています。

ヒトラーの話も、ゴッホの話も、何でもかんでも英語で演じさせるハリウッドで、これだけ多国語が行き交う作品は珍しく、タランティーノの心意気を感じますね。そして、まさに外国語のアクセントの違いが思わぬ失敗を招いてしまうように、多言語ムービーであることが映画のストーリーの面白さに直結しているんですよ。巧いなあ。

「TOKYO!」で久しぶりにお目にかかったジュリー・ドレフュス。調べてみると「キル・ビル1」にも出てたんですね。彼女はフランス語・日本語・英語・ドイツ語ができるのでしたっけ?クリストフ・ヴァルツはドイツ語・英語・フランス語に堪能らしいですが、イタリア語もキレイにしゃべってましたねえ。ダニエル・ブリュールも多言語俳優で有名。ドイツ語・スペイン語・英語がペラペラ。ドイツ出身の女優ダイアン・クルーガーはドイツ語・英語かと思いきや、パリに住んでいたらしくフランス語もうまいらしい。

とまあ、日本の俳優が英語がしゃべれます!と胸張ってるのが、恥ずかしくなるよなキャスト陣。先にも言ったように、タランティーノはこのキャストにすることで、新たなアメリカ映画の行き先を探っているような気がしますね。彼が愛して止まない映画館を爆発させてしまうという描写にもそれが表れていると思う。

オタク監督的なポジションにいることは、実はとても楽なことだと思う。だって、わかる人だけわかればいいよって、好きな物だけ撮ってりゃいいんだもんね。でも、この作品でタランティーノは自分なりの娯楽映画、大衆映画を撮ろうとしたんだね。それは見事に成功していると思う。