Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ファニー・ゲームUSA

2011-04-07 | 外国映画(は行)
★★★★☆ 2007年/アメリカ/イギリス/フランス/オーストリア/ドイツ 監督/ミヒャエル・ハネケ

「ハネケの静かな怒り」


オリジナルとの違いは何?ということを検証するためにわざわざ見直すのか、と思うと我ながら嫌悪感を持ったりするんだけど、それでもやっぱり見ちゃった。ハネケの術中にまんまと引っかかってしまったわけですけど、相手がハネケだからいいや。

事の顛末を知っているので、初見の時より衝撃度は低い。だけども、これはオリジナルを見ていたから、という理由だけだろうか。演じるのがハリウッドのよく知っている俳優だけに、これは彼らが架空の物語を演じているのだ、という意識が頭の隅っこにあるよう。それに引き替えオリジナルは全く知らない役者さんばかりで、狂気は自分のすぐ身近にあるという物語がリアルに迫った。

何のためにリメイクしたのか、その事実はハネケに聞くしかない。しかし、オリジナルを見た人間が再度リメイク版を見れば、やはり各々が異なった感情や考えを持つ作品に間違いはないだろう。私が再見して感じたのは、ハネケの怒り、だろうか。

リモコンの巻き戻しシーンや観客に話しかける犯人など、初めて見た時は創り手が観客を挑発しているのではないか、という印象を持ちがちだ。しかし、こうして何度も見ていると、そうまでしてもなお、社会や人々の鈍感さを訴えるしかない、そんな静かな怒りが秘められているではないかと感じた。

オリジナルの感想はこちら