Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ルート・アイリッシュ

2013-08-21 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 2010年/イギリス/フランス/ベルギー/イタリア/スペイン 監督/ケン・ローチ
(WOWOWにて鑑賞)

「戦争の無残さと人間の我が儘と」

今年の3月にロンドン行って感じたことのひとつは、
イギリスと中東ってすごく関係が近いんだなあってこと。
街中にも中東のレストランやイスラム系の人が多かったり。
だもんで、この映画ではイギリスでの中東問題がとても生々しく感じられました。
アメリカが中東を描くときって、「国家」とか「正義」とかイデオロギーに走りがちなんだけど、
すごくパーソナルな問題として中東が描かれていることが私は面白かった。
軍隊上がりで戦場で散々酷いことをやってきた主人公が友人のためとはいえ、復讐に燃える。
そこに浮かび上がる矛盾には考えさせられる。
自分だって戦争でずいぶん金を稼いで、えらく高級なマンションに住んでるくせにさ。
兄弟同然に育った親友が謎の死を遂げたからって急に正義感振りかざすのはおかしいんじゃないかいと。
でも、それが人間なんだよね。
そういう道理や理性に合わない人間の行動も全て呑み込んで見せていくケン・ローチの作品が面白い。
実に硬派な作品。良かった。