Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

乱れる

2019-10-31 | 外国映画(ま行)

★★★★★ 1964年/日本 監督/成瀬巳喜男

結婚後たった半年で夫が戦死。その後18年間も夫家族のために働き続けるが、スーパー経営を機に家族から追い出される女の話。現代女性が見るとしんどすぎる話である。マジでしんどい。結婚して半年って、たぶんろくに夫婦生活も送ってない。

そして、究極のバッドエンディング。あの後、礼子はどうするのか。それを観客に想像させるために全てがあるように感じる。礼子の表情が最高だ。

こんなクソみたいな話に惹かれてしまうのは高峰秀子の抑えた演技がすばらしいのはもちろん、彼女を取り巻くどうしようもない家族が淡々と描かれているから。対象者に入り込まず、引いて描く人間ドラマが好きだから。自分で意思決定できない義母、いけずな妹、ぼんくらなくせに好きとか言う弟。みんなほんっとうに口ばっかり。いるよ、こういう人。悲しいぐらいにリアル。