Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ばしゃ馬さんとビッグマウス

2017-11-12 | 日本映画(は行)
★★★☆ 2013年/日本 監督/吉田恵輔

(WOWOW)

脚本家志望の「ばしゃ馬さん」が夢とどう折り合いを付けるのかをシニカルに描く。
自分なりに頑張っていることが他者からどう見えるのかって、真理だけどツライ。
吉田恵輔らしいイタい人間のアイタタタな描写は楽しめたが、ちょっと期待し過ぎたかも。
吉田監督にはもっとブラックさを求めてしまうなあ。

生きる

2017-11-11 | 日本映画(あ行)
★★★★★ 1952年/日本 監督/黒澤明

(CS)

ガンの宣告を受けてから悩む前半と
打って変わって主人公の●●シーンで構成する後半の二部構成の語り口が鮮やか。
こんなに娯楽作として完成度高いとは思わなかった。
もっと説教くさい話かと思ってたんだけど、
偶然会ったならず者との邂逅、若者たちの誕生日パーティが示す暗喩など、
様々な目配せがあり本当に面白かった。
それにしても、後半で延々と続く役人攻撃は笑った。
黒澤自身がよっぽど恨みでもあるんかなというくらい。
でも、今でも全くこの体質は変わってませんから現代人も大いに共感できる。
演出のテンポがめちゃめちゃ良くて、見やすい。
143分とは全く思えませんでした。

野良犬

2017-11-10 | 日本映画(な行)
★★★☆ 1949年/日本 監督/黒澤明

(CS)

スリに拳銃奪われること自体間抜けで(それをいっちゃあおしめえか)、最初ノレなかったんだけど、
エネルギッシュな三船と老刑事の志村のコンビの面白さがじわじわ出てくる。
温厚そうな志村が意外と悪い奴を突き放した物言いをするんだけど、
「天国と悪魔」にも通じる黒澤の「悪とは何か」がすでにここで垣間見える。
しかし、三船はイケメンだね。
あと、本多猪四郎が実際に東京を練り歩いて撮影したという闇市のシーンはちょっと長くてだれたなあ。
でも、奪われた拳銃を取り返せるのかというサスペンスは
二度三度と仕掛けが張ってあって面白かった。
あと黒澤は音声聞きにくいので字幕入りで見ている。

姿三四郎

2017-11-09 | 日本映画(さ行)
★★★★ 1943年/日本 監督/黒澤明

(CS)

黒澤コンプリート始める。

黒澤のデビュー作でさすがに映像が古い。
でも、背負い投げをしたあとのジャンプカットとか、
エンタメとして面白くしようという意気込みがすごい感じられる。
風吹きすさぶすすき野での月形龍之介との決闘も迫力。
でもやっぱ、映像が古くて画質がつらいなあ。

ハウス・オブ・カード シーズン1

2017-11-08 | TVドラマ(海外)
(Netflix)

アメリカ政治は詳しくないし…と敬遠してたが、なんじゃこりゃ。
超ド級の面白さですがな!
政治に関わる脚本の緻密さもあるが、一方人物造形にはかなりの余白がある。
このバランスが絶妙。
悪童フランクのえげつなさもさることながら妻クレアも魅力的。
正直、法案の内容とか全然わかんないけど、超面白いっす。
そんで、シーズン1に100億円かけてるって言うじゃないですか。
そりゃあ贅沢な絵作りができますよ。
とはいえ、根幹は脚本ですね、脚本。
日本のゆるいドラマはもう見れないかもと心配になるなあ。

ゲット・アウト

2017-11-07 | 外国映画(か行)
★★★★ 2017年/アメリカ 監督/ジョーダン・ピール

(映画館)

黒人差別問題を映し出した社会派のホラーの良作。
車で鹿を轢く序盤のシーンなど、
隅々まで巡らせた伏線の張り方が見事でデビュー作とは思えない仕上がり。
ただ、主人公が拘束されるまでがやや長いと感じたし、
ラストにかけてもう少し脚本にひねりが欲しかった。
前評判を聞きすぎたせいか少しハードルを上げて見てしまったかも。
監督はあるエンディングを用意していたけど、トランプ就任を受けて変えてしまったとか。
私が映画を見ながら予見してたのはそっちの方でした。

女神の見えざる手

2017-11-06 | 外国映画(ま行)
★★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/ジョン・マッデン

(映画館)

銃規制法案の可決を巡るロビイストの物語にアクションシーンは一切ないが、
その駆け引き、攻防戦そのものがアクション。
右に左にぐいんぐいんと振り子が揺れる物語に引き込まれ130分があっという間に終わった。
何よりスーツにピンヒールのJチャスティンが超カッケー!
といいますか、見た目のカッコ良さは置いておいても
彼女の私生活の徹底した合理主義がすばらしいよ。見上げた根性だよ。
とにかく寝ずに働く!そのために薬飲む!
彼氏とか仕事するのに邪魔!だから、エスコートサービスで性的な欲望は処理する!
はっきりしてて、いいわぁ。そんな彼女の人生は無味乾燥としていて可哀想かって?
ふざけないでよ、最高じゃないの。彼女にとってのエクスタシーは政敵を落とす瞬間なんだからさ。
「2」作って欲しいわあ。

マリアンヌ

2017-11-05 | 外国映画(ま行)
★★★★ 2016年/アメリカ 監督/ロバート・ゼメキス

(Amazonプライム)

スパイ夫婦ものでアンジーと結婚したブラピが同じような設定ながら、
今度は往年のハリウッド映画のようなクラシカルな作風で美男子ぶりを発揮。
Mコティヤールの美しさも存分に引き出されていて(数々のドレスもステキ)、
二大スター競演にふさわしい貫禄を感じる映画でした

めぐり逢えたら

2017-11-04 | 外国映画(ま行)
★★★ 1993年/アメリカ 監督/ノーラ・エフロン

(WOWOW)

「男ってこう」「女ってこう」というステレオタイプな描写が気になるがそれも時代のせいかな。
運命の出会いをドラマティックに見せるということにおいては、とても楽しめた。
が、ファンタジー要素強すぎて、ちょっとありえない展開にノレず。
メグは昔で言うところの「ぶりっ子」(今はなんて言うんだろ)みたいだけど、
同性が認めるチャーミングさがあるよね。
今の時代だと同性ウケするには知性は欠かせない要素で。
でもそうするとこの愛らしさは出ないんよ。
全方位が「かわいい」と思える女性の描き方って今は難しくなったなと思う。

ブレードランナー ファイナルカット

2017-11-03 | 外国映画(は行)
★★★★☆ 1982年/アメリカ 監督/リドリー・スコット

(WOWOW)

再見。
ダークな近未来の街、衣装、小物に至るまでの徹底して作り込まれた映像が唯一無二。
しかし、改めて見て実にミニマルな物語であることに驚く。
感情表現は徹底的に抑え、
人物たちの内面を美術を中心とした世界観で表現するという凄みがカルトキングの所以か。
以前見た時はあまりにSFリテラシーが欠けていて何かもさっぱりわからなかった。
しかし、SFファンの息子に鍛えられ、ディックの原作も読み、
今回飛躍的にこの世界観が自分の中に入ってきた。
原作における「動物」の存在意義もわかっていたのでさらに楽しめた。
WOWOW版は映像のクオリティがすばらしく映像美も堪能。

超ツンデレのハリソンフォードをどう見るかも本作を好きになれるかのポイントだと思うのだが、
この男はほんとにこのアンドロイド女が好きなんだろうか?と思わせる。
それは実際、撮影中にも仲が悪かったというハリソンのショーン・ヤングへの対応の仕方(時に荒々しいその扱いぶり)が
画面にも現れているからだろう。でもかえってそれが本作のハードボイルドっぽさを増している。
ハリソンは撮影中、本当に、終始不機嫌だった。映画とは面白いもんである。

溺れるナイフ

2017-11-02 | 日本映画(あ行)
★★★☆ 2016年/日本 監督/山戸結希

(WOWOW)

鮮烈なカットバックがあり、相米的長回しもあり、混沌とした映像表現は実に魅力的。
しかし。
映像やセリフで説明を省略しても観客にきちんと理解させる(または想像させる)のと、
省略していることで物語がわからなくなるのとは全く違うのではないか。
それを荒削りな良さとは呼びたくないなあ。
カラオケで吉幾三を熱唱する長回しシーンはとてもよかった。

イレイザーヘッド

2017-11-01 | 外国映画(あ行)
★★★★ 1976年/日本 監督/デビッド・リンチ

(WOWOW)

赤ん坊が産まれて不安に耐えられない男を描くリンチのデビュー作。
気持ち悪い、怖いと散々言われていたので、避けていたのだがとうとう観賞。
ジグザグ模様の床や突然歌手が舞台で歌い出すなど、
今見ているTPリターンズとの共通点も多数。
デビュー作から何も変わってないやん。
それにしても、あの赤ん坊が気持ち悪すぎる。どう撮影したんだろうか。
いやあ、本当に気持ち悪かった。
しかし、宇宙に浮かぶ首とか、少女が歌い出して顔がおたふくみたいに変形とか、
マジで今も全然変わらんのよ!
作家ってそういうもんなんだねえ。