『誰が日本の医療を殺すのか 「医療崩壊」の知られざる真実』 本田宏著
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最近よくニュースになっている救急患者のたらいまわしだが、身近に経験したことはなくても、以前から気になる光景はしばしば目にするようになっていた。
事故や火災や急病人で救急車が呼ばれて、患者が車内に搬入される。そして車内で応急処置が行われるのだが、受入先が決まらないのか、救急車自体はなかなか発車しない。車内に患者がいて、救命士が動き回っているのが外からなんとなく見える。そんな救急車を路上でよく見かけるようになったのはいつの頃からだろう。
一刻を争う状態の患者がいて救急車が呼ばれているのに、肝心の行き先がない。救急車の数が限られているうえ高齢化にともなって出動件数は増えているのに、受入先がみつからないことで一件あたりの拘束時間が長くなり、結果的に救急車の稼動効率が低下する。
救急患者の受入先が足りないのは、日本の病院と医師の数が不足しているからである。
病院と医師の数が足りないのは、日本の医療政策が国民に必要とされる内容と逆行しているからである。簡単にいえば、日本の病院はどこも人手不足なうえに赤字経営で、医師はみんな死ぬほど苛酷な労働を強いられていてかつ賃金が安すぎる。それもこれも全部、国が医療にかかる負担を病院と医師と国民に押しつけて、国の負担を削ることにのみ専心しているからだ、と本書では書いている。
まず日本の医師の数は国が統制していて、現在では年間100名程度の増員に抑えられている。実際には日本の医師は単純計算で14万人も不足しているのに、である。日本の医師数は人口1000人あたり2人。OECD(経済協力開発機構)の平均は3.1人である。最も多いのがギリシャの4.9人、次いでイタリア4.2人。日本よりも少ないのは韓国、メキシコ、日本はビリから3番めである。アメリカは2.3人と日本と変わらない水準だが、実はアメリカでは医師数のカウント方法が違う。臨床医以外の医師免許取得者=ペーパードクターがここに含まれていないのだ。日本のデータではこれが含まれている。
昔は日本でも医師を増やして医療制度の充実が図られた時代もあった。しかし医療技術の進歩やIT化、医療保険の自由化にともなって、患者ひとり当たりにかかる医師の作業量も増大した。ふつう、科学技術は人の生活を楽に快適にするはずのものだが、医療現場に関しては逆なのである。単純だった診療行為が複雑化すれば、当然のことながらやることは増える。それなのに人手は増えない。すべてが医師ひとりひとりの努力と犠牲の上に成り立っている。
日本は世界一の高齢化社会で同時に少子化問題が深刻な課題になっている。
年をとれば誰でも病気や怪我などで病院の世話になることが増えてくる。少子化対策だって妊娠・出産・育児とすべての過程で病院と医師の協力がなければ現実には成り立たない。
それなのに、近い将来、日本では救急車を呼んでも何時間も救急窓口で放ったらかされるとか、ガンの手術を半年以上待たされてその間に亡くなってしまうとか、子どもを産みたくても自宅から2時間圏内に産科小児科がないとか、そういう事態が現実になろうとしているというのだ。なかでも産科小児科の不足は深刻で、一部地域では既にそうなっている。
それなのに、政府はまだ赤字財政を言い訳に医療費を削減しようとしている。高齢化や少子化と医療政策が絶対に切り離せない問題であることはぐりのような素人でもわかることなのに、なぜなんだろう。
著者は埼玉県の済生会栗橋病院の副院長。医療の現場で働く医師の証言として、目からウロコが嵐のように剥がれまくる衝撃の事実満載の本でした。
しかしコレ読んでるとホントに日本はヤバいんじゃないかとゆー気がしてきてコワイ。ぐりが高齢者になるころにはどーなってるんだかなあ。
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最近よくニュースになっている救急患者のたらいまわしだが、身近に経験したことはなくても、以前から気になる光景はしばしば目にするようになっていた。
事故や火災や急病人で救急車が呼ばれて、患者が車内に搬入される。そして車内で応急処置が行われるのだが、受入先が決まらないのか、救急車自体はなかなか発車しない。車内に患者がいて、救命士が動き回っているのが外からなんとなく見える。そんな救急車を路上でよく見かけるようになったのはいつの頃からだろう。
一刻を争う状態の患者がいて救急車が呼ばれているのに、肝心の行き先がない。救急車の数が限られているうえ高齢化にともなって出動件数は増えているのに、受入先がみつからないことで一件あたりの拘束時間が長くなり、結果的に救急車の稼動効率が低下する。
救急患者の受入先が足りないのは、日本の病院と医師の数が不足しているからである。
病院と医師の数が足りないのは、日本の医療政策が国民に必要とされる内容と逆行しているからである。簡単にいえば、日本の病院はどこも人手不足なうえに赤字経営で、医師はみんな死ぬほど苛酷な労働を強いられていてかつ賃金が安すぎる。それもこれも全部、国が医療にかかる負担を病院と医師と国民に押しつけて、国の負担を削ることにのみ専心しているからだ、と本書では書いている。
まず日本の医師の数は国が統制していて、現在では年間100名程度の増員に抑えられている。実際には日本の医師は単純計算で14万人も不足しているのに、である。日本の医師数は人口1000人あたり2人。OECD(経済協力開発機構)の平均は3.1人である。最も多いのがギリシャの4.9人、次いでイタリア4.2人。日本よりも少ないのは韓国、メキシコ、日本はビリから3番めである。アメリカは2.3人と日本と変わらない水準だが、実はアメリカでは医師数のカウント方法が違う。臨床医以外の医師免許取得者=ペーパードクターがここに含まれていないのだ。日本のデータではこれが含まれている。
昔は日本でも医師を増やして医療制度の充実が図られた時代もあった。しかし医療技術の進歩やIT化、医療保険の自由化にともなって、患者ひとり当たりにかかる医師の作業量も増大した。ふつう、科学技術は人の生活を楽に快適にするはずのものだが、医療現場に関しては逆なのである。単純だった診療行為が複雑化すれば、当然のことながらやることは増える。それなのに人手は増えない。すべてが医師ひとりひとりの努力と犠牲の上に成り立っている。
日本は世界一の高齢化社会で同時に少子化問題が深刻な課題になっている。
年をとれば誰でも病気や怪我などで病院の世話になることが増えてくる。少子化対策だって妊娠・出産・育児とすべての過程で病院と医師の協力がなければ現実には成り立たない。
それなのに、近い将来、日本では救急車を呼んでも何時間も救急窓口で放ったらかされるとか、ガンの手術を半年以上待たされてその間に亡くなってしまうとか、子どもを産みたくても自宅から2時間圏内に産科小児科がないとか、そういう事態が現実になろうとしているというのだ。なかでも産科小児科の不足は深刻で、一部地域では既にそうなっている。
それなのに、政府はまだ赤字財政を言い訳に医療費を削減しようとしている。高齢化や少子化と医療政策が絶対に切り離せない問題であることはぐりのような素人でもわかることなのに、なぜなんだろう。
著者は埼玉県の済生会栗橋病院の副院長。医療の現場で働く医師の証言として、目からウロコが嵐のように剥がれまくる衝撃の事実満載の本でした。
しかしコレ読んでるとホントに日本はヤバいんじゃないかとゆー気がしてきてコワイ。ぐりが高齢者になるころにはどーなってるんだかなあ。