『ジェリーフィッシュ』
去年のカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人賞)を受賞したイスラエル映画。
結婚式で骨折してしまったケレン(ノア・クノラー)とマイケル(ゲラ・サンドラー)はカリブへの新婚旅行を中止してホテルで過ごすことに。結婚式場のウェイトレス・バティア(サラ・アドラー)はある日テルアビブの海岸で迷子の女の子(ニコール・レイドマン)と出会い、週末だけ預かることになる。
フィリピンから出稼ぎに来たヘルパー・ジョイ(マネニータ・デ・ラトーレ)はヘブライ語がひとことも話せず、世話をするマルカ(ザハリラ・ハリファイ)とは意志の疎通もままならない。
イスラエルといえばどうしても報道のイメージから宗教問題や民族衝突など物騒なことばかり思い浮かぶが、この映画には直接的にはそういう面は描かれない。でもそれでいて、ちゃんとイスラエルという国の香りが濃密に漂う、非常にイスラエルっぽい映画になっている。ってもぐりはイスラエルのことなんにも知りませんが。
映画全体にぎっちりと充満している、登場人物たちのよるべなさ、いたたまれなさが、あらゆるディテールを通して、観るものの心の奥の弱い部分に能弁に語りかけて来るのだ。
いうまでもないが、イスラエルは1948年に建国された新しい国で、国民の多くはよそから移って来た寄せ集めの国である。若い世代でもせいぜい2世か3世で親はそれぞれ外国生まれの、大抵が外国人のようなものだ。ユダヤ教という信仰だけは共通項ではあるけれど絶対的なほど信心深い国民ばかりではないし、何世代もそれぞれ別の国で暮して来た彼らのバックグラウンドはそれぞれ違う。価値観も違えば言語も違う。統一したアイデンティティというものが欠けている。そうなると世代間の溝も大きくなる。
わざわざユダヤ人のためにつくられた国に暮していながらユダヤ人が感じる理不尽な孤独感─でも誰も声に出してそういうのはついはばかられてしまう─で、ふわふわと頼りない映像がしっとりと染まっている。
キャスティングが素晴しくて、とくにまったく喋らないニコール・レイドマンがものすごくかわいくて和みました。フィリピン人のマネニータ・デ・ラトーレはもともと職業俳優じゃないらしいのだが、とてもそうはみえない名演技が素晴しい。
初日なのに劇場ガラガラで淋しかったー。いい映画なのに、なんでやろ・・・。
去年のカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人賞)を受賞したイスラエル映画。
結婚式で骨折してしまったケレン(ノア・クノラー)とマイケル(ゲラ・サンドラー)はカリブへの新婚旅行を中止してホテルで過ごすことに。結婚式場のウェイトレス・バティア(サラ・アドラー)はある日テルアビブの海岸で迷子の女の子(ニコール・レイドマン)と出会い、週末だけ預かることになる。
フィリピンから出稼ぎに来たヘルパー・ジョイ(マネニータ・デ・ラトーレ)はヘブライ語がひとことも話せず、世話をするマルカ(ザハリラ・ハリファイ)とは意志の疎通もままならない。
イスラエルといえばどうしても報道のイメージから宗教問題や民族衝突など物騒なことばかり思い浮かぶが、この映画には直接的にはそういう面は描かれない。でもそれでいて、ちゃんとイスラエルという国の香りが濃密に漂う、非常にイスラエルっぽい映画になっている。ってもぐりはイスラエルのことなんにも知りませんが。
映画全体にぎっちりと充満している、登場人物たちのよるべなさ、いたたまれなさが、あらゆるディテールを通して、観るものの心の奥の弱い部分に能弁に語りかけて来るのだ。
いうまでもないが、イスラエルは1948年に建国された新しい国で、国民の多くはよそから移って来た寄せ集めの国である。若い世代でもせいぜい2世か3世で親はそれぞれ外国生まれの、大抵が外国人のようなものだ。ユダヤ教という信仰だけは共通項ではあるけれど絶対的なほど信心深い国民ばかりではないし、何世代もそれぞれ別の国で暮して来た彼らのバックグラウンドはそれぞれ違う。価値観も違えば言語も違う。統一したアイデンティティというものが欠けている。そうなると世代間の溝も大きくなる。
わざわざユダヤ人のためにつくられた国に暮していながらユダヤ人が感じる理不尽な孤独感─でも誰も声に出してそういうのはついはばかられてしまう─で、ふわふわと頼りない映像がしっとりと染まっている。
キャスティングが素晴しくて、とくにまったく喋らないニコール・レイドマンがものすごくかわいくて和みました。フィリピン人のマネニータ・デ・ラトーレはもともと職業俳優じゃないらしいのだが、とてもそうはみえない名演技が素晴しい。
初日なのに劇場ガラガラで淋しかったー。いい映画なのに、なんでやろ・・・。