『グローバル経済と現代奴隷制』 ケビン・ベイルズ著 大和田英子訳
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ぐりは某NPOでボランティアをちょろーっとやっておるのですが。
そこの活動は「性的搾取を目的とする人身取引と戦う」こと。
でもこの話をするとたいていの人は“人身取引”って言葉がもうわからない。人身売買ならわかるんだけど。
人身売買はなんとなくみんな知ってるんだよね。新聞報道なんかでも人身売買って言葉はちょいちょい見かける。
実は今は人身売買そのものはあんまり行われていない。なんでかっつーと違法だから。昔は合法だったから、みなさん堂々と「売買」しておられたわけです。
それが違法になった。国際法上、違法です。地球上のどこいったって、違法。
けど需要はある。だから人を売り買いすることそのものはなかなかやめられない。なくならない。
つーわけで皆様は新しい方法を考える。「売買」じゃなくて「取引」ならいーじゃん、と。
具体的にどーゆーことか?っつーと、「売買」ならその人そのものに値札をつけて売り買いする。売る方は品質管理に責任を負うし、買う方は買った人間に対する責任を負う。
「取引」の場合は、その人そのものには値札はつかない。つけられないから。どこにつくか?っつーと、その人の持つ労働力につく。やり取りされる料金には仲介料とか手数料とか紹介料とか契約料とか保険料とか借金とか積立貯金とか、なんかとにかくべつの名目をつければいい。
んで労働力として価値がなくなれば「取引」は終了、存在そのものが必要なくなる。だってどーせ違法なんだから、売り物に何が起こったって誰も責任は問われない。しぼれるだけしぼりとって、あとは捨てる。放り出す。
つまりーよーするに、売買する方はラクになった。売買される方はよけいしんどなったっちゅうワケでございます。
著者のケビン・ベイルズはNGOフリー・ザ・スレイブズ代表。活動家です。
この本を書くにあたって、タイ・モーリタニア・ブラジル・パキスタン・インドを旅して各地の奴隷制を調査した。
世の多くの人々は、人身売買が違法となった現代に奴隷制が存在しているなどということはにわかに信じられないだろう。
だが、世界中の各地にそれは厳然と存在している。ベイルズが調査した5ヶ国だけではもちろんない。今年地震で大きなニュースになっているハイチの報道ではちょくちょく取り上げられているけど、ハイチの子どもが売買されているのはかなり以前から有名だった。11歳くらいの女の子が3~5万円で購入できる。家事労働に酷使しよーと性玩具にしよーと臓器を取り出して残りを捨てよ―と、買った方は自由にできる。買うのはもちろん金持ちで、外国人も多い。
いわゆる先進国にだってごく当り前に人身売買は存在している。欧米各国には旧植民地のアフリカや東南アジア・中南米から連れて来られて売り買いされている奴隷が数多くいる。東欧の貧しい国から豊かな西欧に売られてくる奴隷も多い。家事や子守をさせられる奴隷もいれば、売春をさせられる奴隷もいる。工場や農場、ゴミ処理施設や建設現場で死ぬまでこき使われる奴隷もいる。彼らは監禁され、脅迫や虐待を受け、極限まで人格を蹂躙される。過去の話ではない。まさに今現在の話である。
奴隷を国境を越えて移動させるのにも専門の業者がいる。書類を整えたり出入国審査官を買収したりしてくれる。この手の業者も世界中にいる。やりたい放題でございます。
日本にだって人身売買はある。外国人だけではない、日本人も売買されている。
そしてそうして売買された奴隷の労働力の上に、われわれの暮らす社会は成り立っている。
われわれが手にしているモノ─電化製品、家具、衣料品、文具、食料品、医薬品、嗜好品、電子機器、自動車etc.─のいったいどれが、奴隷と関わりなく、完全に正当な取引によってつくられているといえるだろうか。
だから、今の社会を生きる誰にでも、この問題を知らなくてはならない義務がある。
そして知ったからには、自分の生活をもう一度、冷静に見つめなおす義務もまた、あるのではないだろうか。
ケビン・ベイルズは近々また新しい本を出すらしい。てかもー出てんのか?邦訳が出るんかな?
出たら読みたいと思いますー。
関連レビュー:
『ゴモラ』
『ファーストフード・ネイション』
『ボーダータウン 報道されない殺人者』
『いま ここにある風景』
『女工哀歌』
『おいしいコーヒーの真実』
『ダーウィンの悪夢』
『ロルナの祈り』
『この自由な世界で』
『題名のない子守唄』
『イースタン・プロミス』
『13歳の夏に僕は生まれた』
『闇の子供たち』
『出版倫理とアジア女性の人権 「タイ買春読本」抗議・裁判の記録』 タイ女性の友:編
『人身売買をなくすために―受入大国日本の課題』 JNATIP編
『現代の奴隷制―タイの売春宿へ人身売買されるビルマの女性たち』 アジアウォッチ/ヒューマンライツウォッチ/女性の権利プロジェクト著
『アジア「年金老人」買春ツアー 国境なき「性市場」』 羽田令子著
『幼い娼婦だった私へ』 ソマリー・マム著
『子どものねだん―バンコク児童売春地獄の四年間』 マリー=フランス・ボッツ著
『アジアの子ども買春と日本』 アジアの児童買春阻止を訴える会(カスパル)編
『少女売買 インドに売られたネパールの少女たち』 長谷川まり子著
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ぐりは某NPOでボランティアをちょろーっとやっておるのですが。
そこの活動は「性的搾取を目的とする人身取引と戦う」こと。
でもこの話をするとたいていの人は“人身取引”って言葉がもうわからない。人身売買ならわかるんだけど。
人身売買はなんとなくみんな知ってるんだよね。新聞報道なんかでも人身売買って言葉はちょいちょい見かける。
実は今は人身売買そのものはあんまり行われていない。なんでかっつーと違法だから。昔は合法だったから、みなさん堂々と「売買」しておられたわけです。
それが違法になった。国際法上、違法です。地球上のどこいったって、違法。
けど需要はある。だから人を売り買いすることそのものはなかなかやめられない。なくならない。
つーわけで皆様は新しい方法を考える。「売買」じゃなくて「取引」ならいーじゃん、と。
具体的にどーゆーことか?っつーと、「売買」ならその人そのものに値札をつけて売り買いする。売る方は品質管理に責任を負うし、買う方は買った人間に対する責任を負う。
「取引」の場合は、その人そのものには値札はつかない。つけられないから。どこにつくか?っつーと、その人の持つ労働力につく。やり取りされる料金には仲介料とか手数料とか紹介料とか契約料とか保険料とか借金とか積立貯金とか、なんかとにかくべつの名目をつければいい。
んで労働力として価値がなくなれば「取引」は終了、存在そのものが必要なくなる。だってどーせ違法なんだから、売り物に何が起こったって誰も責任は問われない。しぼれるだけしぼりとって、あとは捨てる。放り出す。
つまりーよーするに、売買する方はラクになった。売買される方はよけいしんどなったっちゅうワケでございます。
著者のケビン・ベイルズはNGOフリー・ザ・スレイブズ代表。活動家です。
この本を書くにあたって、タイ・モーリタニア・ブラジル・パキスタン・インドを旅して各地の奴隷制を調査した。
世の多くの人々は、人身売買が違法となった現代に奴隷制が存在しているなどということはにわかに信じられないだろう。
だが、世界中の各地にそれは厳然と存在している。ベイルズが調査した5ヶ国だけではもちろんない。今年地震で大きなニュースになっているハイチの報道ではちょくちょく取り上げられているけど、ハイチの子どもが売買されているのはかなり以前から有名だった。11歳くらいの女の子が3~5万円で購入できる。家事労働に酷使しよーと性玩具にしよーと臓器を取り出して残りを捨てよ―と、買った方は自由にできる。買うのはもちろん金持ちで、外国人も多い。
いわゆる先進国にだってごく当り前に人身売買は存在している。欧米各国には旧植民地のアフリカや東南アジア・中南米から連れて来られて売り買いされている奴隷が数多くいる。東欧の貧しい国から豊かな西欧に売られてくる奴隷も多い。家事や子守をさせられる奴隷もいれば、売春をさせられる奴隷もいる。工場や農場、ゴミ処理施設や建設現場で死ぬまでこき使われる奴隷もいる。彼らは監禁され、脅迫や虐待を受け、極限まで人格を蹂躙される。過去の話ではない。まさに今現在の話である。
奴隷を国境を越えて移動させるのにも専門の業者がいる。書類を整えたり出入国審査官を買収したりしてくれる。この手の業者も世界中にいる。やりたい放題でございます。
日本にだって人身売買はある。外国人だけではない、日本人も売買されている。
そしてそうして売買された奴隷の労働力の上に、われわれの暮らす社会は成り立っている。
われわれが手にしているモノ─電化製品、家具、衣料品、文具、食料品、医薬品、嗜好品、電子機器、自動車etc.─のいったいどれが、奴隷と関わりなく、完全に正当な取引によってつくられているといえるだろうか。
だから、今の社会を生きる誰にでも、この問題を知らなくてはならない義務がある。
そして知ったからには、自分の生活をもう一度、冷静に見つめなおす義務もまた、あるのではないだろうか。
ケビン・ベイルズは近々また新しい本を出すらしい。てかもー出てんのか?邦訳が出るんかな?
出たら読みたいと思いますー。
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