落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

仏的豆氏

2005年06月18日 | movie
『オーギュスタン恋々風塵』
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ホントは今日『オペレッタ狸御殿』を観るつもりだったんだけど、昨日終わってしまったので予定変更。イヤ、前から観ようとは思ってたけど、絶対公開初日に観たる!とまでは思ってなかった(笑)。

ぐりはこの前作『おとぼけオーギュスタン』を観てないんだけど、コレ「フランス版ミスタービーン」とか云われてるみたいですね。フランスのギャグってちょっと微妙なんだけど、実はぐりはミスタービーンでも全然笑わない人なので、この映画も「フランスでの上映ならたぶんここで大爆笑なんだろーな」なとこでも別に可笑しくない。それよりはちょっと違うとこがおかしかった。
主人公のオーギュスタン(ジャン=クレティアン・シベルタン=ブラン←長!)はエキストラもろくにつとまらないような役者の卵で、しかもオーディションを断ってまで映画館に通いつめるほどのカンフー映画ファン。夢はいつかカンフー映画に出ること。ある日一念発起してそれまでの生活を捨ててチャイナタウンに引越し、カンフー道場に入門して本格的に修行を始めるんだけど・・・観てるとね、身につまされるんですよ。かなり。オーギュスタンのズレたマニアぶり、熱いオタクっぷりが、中華電影にハマる我が身にふと重なってしまう。彼が滑稽なほど純粋に憧れを追いかければ追いかけるほど、「世間の人から見たらぐりもこーゆー風に見えてんのかも・・・」と思えてきて、知らず知らず自分で自分に失笑してしまう。
まぁぐりはカンフーものはほとんど観ないので、自分の部屋で跳んだり跳ねたり奇声を発したりはしませんけどもね(当り前)。そういう問題じゃない。

ヒロイン張曼玉(マギー・チャン)はカンフー=格闘技をやってるのに他者との肉体的な接触が苦手な主人公が治療に訪れる鍼医。理知的で魅力的ではあっても、中国からフランスに来て間もなく親しい友人もいない、儚げで寂しそうな異邦人役がとても似合ってました。相変わらず少女のように華奢で可憐で、そして美しい。この作品は6年前の映画だから、『花様年華』の前、まだオリヴィエ・アサイヤス氏と結婚したばかりの頃の作品ですねー。
なんで今ごろ日本公開されたんでしょね。ナゾ。

ただ幻を夢見るかのように中国に憧れていた主人公だけど、いつの間にか着実にその憧れの世界に近づいていく姿は、単純にひとりの人間の成長物語として素敵でした。
最後には彼は当初思い描いたのとは全く別の形で夢を叶える(?)んだけど、その幸せそうなホニャララした笑顔を見てると、オタク心にもある意味で人生を豊かにする力はあるのかも、と思えてくる。
ひとに何と云われようとひたすら好きな道を突き進む、そのこと自体は決して悪いことではない。傍から見ればおかしいことかもしれないけど、「自分はこれが好きなのだ」とはっきり云える、自分でしっかり「好きだ」と感じる何かを持っていると云うことはそれだけでもハッピーなことだ。
たかがしょうもないコメディ映画だけど、観た後ほのぼのとあったかな気持ちになれる、いい映画です。中華電影ファンの皆さんに特にオススメです(笑)。

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