落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

Yes, we are Korean Japanese. What's wrong with that?

2008年06月09日 | book
『ナショナリズムの克服』 姜尚中/森巣博著
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過去に何冊か読みかけては挫折してた姜尚中氏の著書だが、対談集なら読めるかなと思って手にとった一冊。おもしろかったです。
そりゃ社会学の基礎知識がまーったくないんで、若干ついてけない部分もあるっちゃありますけど、全体的には非常にわかりやすい。話し言葉だし、とくに森巣氏のかみくだいた表現が単純に読んでて楽しかった。「俺のちんぽこは大きいぞ(→硬いぞ/古いぞ)論」て(笑)。すごいわかるけど。

内容はまあタイトル通り。
姜氏は在日韓国人2世で東大教授、森巣氏は30年以上海外で暮している作家。それぞれに避けては通れなかった個人的な“ナショナリズムの克服”体験を、日本人全体とそして全人類的に拡大して語っている。
究極的には民族・国家は必要ないだろうというふたりの意見は確かにちょっと極論かもしれないけど、意識としてそう考える、そういう感覚を持つのは全然ありだと思うし、ぐりも個人的には必要ないと思う。民族意識や国家意識が人の社会にもたらす利益が理解できないから。利益ではなくて災厄ならいくらでも思いつけるけど。大体そんなもの権力側のデッチアゲでしかないんだしねえ。
あとは、在日韓国人でありつつ成人後まで韓国語を話せず韓国人意識もなかったという姜氏の体験は、同じように「アタシ何人?」な疑問を抱えて生きてきたぐりにとっては、「なーんだ、やっぱそーだよね」的ににんまりしてしまう話だったりもしました。そこらへんがなんか納得いかないわーとゆー日本人に読んで欲しいけど、そーゆー人は姜氏の本なんか読まなそーだわー。

この本は2002年の刊行なので現在と内容的に微妙に食い違う点もあることはあるけど、『国家の品格』なんちゅう本がベストセラーになったり、「美しい国」なんてサムいスローガンを掲げる政治家が首相になったり、広告やTV番組でまでやたらに「日本」「日本人」なんてフレーズが氾濫するのが当り前になったり、文化でも技術でもいちいち「日本独自」「日本人独自」なんて謳って悦に入ってたり、そんな“なんでもとにかく日本万歳”な風潮に違和感を感じる人間(ぐりです)にとっては、一文一文がバンバンと膝を叩いて「そうそう!そうだよ!」と激しく同意しまくりたくなる本でした。
しかし日本のみなさんは、なんかヘンとか思わないんですかね?日の丸君が代問題とか、差別発言連発の都知事とか、映画『靖国』上映中止問題とか、気持ち悪いわとか思うアタシがおかしいんでしょーかねー?なこと、ないよね?
おかしきゃおかしいで今さらべつにいいんだけどさあ。


薔薇空間展にて。

ぐりメモ。
差別表現 ブロガーも問われる責任と人権感覚

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