百島は、長閑だけど、どこか喧しい。
台風、地震・・・自然災害続きの日本列島。
百島は、優しく、どこか心強い。
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私が小学生の頃、高校生だった駐在所のお姉さんが百島のどこかの山に連れて行ってくれた。
麦畑の畝の間を歩くとむっとする暑さで「草いきれ」というんだよと教えてもらった。(今は麦畑はないと思う)
真っ赤な実を木からとって「ビービー食べてみぃ、美味しいで」とくれた。(ぐみの実かもしれない)
そのお姉さんは大人になって、不思議なご縁で大阪の叔父に嫁いだ。
叔父夫婦は大阪から福山に、そして再び百島の福田に居を構えている。
人の出会いとは不思議なものです。
叔母は私より10歳年上ですが、島では若い方に入るのでいろんなお役目を引き受けており、いつも忙しそうにして居ます。
福田桟橋に近いせいか、人の出入りも多く、隣の古家を改造して人々が自由に使える休息の場所として、また島に来た人の宿舎として活用して居ます。
最近その叔父が歳のせいで車の運転が危険になったため叔母の負担が増すばかり。
でも大声で立ち話しながら周囲に奉仕する姿は、移住者には参考になると思うのです。
付け加えると、百島では、日常的に島内アナウンスが流れる。
船の欠航や農協の売り出しなど生活に密着した情報だ。
初めて聞いた時は唐突に大音量で流れる「瀬戸の花嫁」に驚き、母に「いったい何が始まるの?」と聞いた。
時代に沿って曲も変化したが相変わらずのんびりした口調で放送が流れている。
しかし、雨だったり、扉を締め切っていたら聞こえないことが多い。
もし防災情報だったらもっと大音量でも良い気がした。
いざと言う日は、思いがけずやって来る。
(作; 矢島真砂子 )