WBCの日韓戦、またまた嫌な雰囲気でしたね。しかし、それというのも日本に実力が無いと、素直に認めましょう。
で、そんなモヤモヤを吹き飛ばすのが、このアルバム――
■12 × 5 / The Rolling Stones (Abkco)
ストーンズのアメリカにおける2枚目のアルバムで、けっこうファンには人気があると思います。その秘密は黒~い雰囲気満点な選曲・演奏に加えて、彼等のオリジナル曲がフォークロックやソフトロック風味になっているという、微妙なアンバランス感ではないでしょうか。
そのあたりは皆様に聴いていただく他はないんですが、今回の紙ジャケ復刻盤は音が抜群に良くなり、おまけに初登場のステレオ・バージョンが収められています。
まず「Around And Around」「Empty Heart」「If You Need Me」の3曲が初登場のリアルステレオ・バージョンになっていました。
そして彼等のオリジナル・インスト曲「2120 South Michigan Avenue」が、なんと1964年の発売当時にドイツ等、一部の欧州の国だけで出回ったロングバージョーンに差し替えられています。おまけにこれも、初登場のリアルステレオ・バージョン! ちなみにこの曲は米国巡業の際にシカゴのチェススタジオで録音したもので、今回のロングバージョンでの最後のギターソロは、ブルースの偉人であるマディ・ウォーターズが弾いているとされています。
またアナログ盤でリアルステレオ・バージョンが出ていた「Confessin' The Blues」が、今回初めてCDで復活しています。
さて、肝心の演奏は、やっぱり黒人音楽に対するリスペクトが強くて、素敵です。そしてこういうのを聴くと、ビートルズというバンドが、如何に当時は変態であったか、よく分かると思います。つまりそれはゴッタ煮音楽であり、対するストーンズはイノセントに黒人音楽を追及していたのですが、しかし、ビートルズの大成功に追従し、それを乗り越えんとするには独自のオリジナル曲が必要と気がついた彼等は、少しずつそのベクトルを強くしていきます。
そんなところがストーンズのバランスの悪さであり、憎めないところではありますが、逆にそれが危ういところで保たれたのが、このアルバムだと思います。その意味で彼等のオリジナルではありませんが、ここに収められた「Time Is On My Side」には、次なるストーンズのステップが如実に感じられると思います。ちなみにこのCDではオルガン・イントロ・バージョンが収録されています。
それとジャケ写にもご注目♪ ミック・ジャガーが一番後ろですよ~♪ なんか、分かる気がしますねぇ。