■人生の道 / Brewer & Shipley (Kama Sutra / 日本コロムビア)
洋楽情報の大部分を占めていたのがラジオの存在だったのは、昭和50年代頃まででしょうか?
特にヒットパレード番組と深夜放送の威力は絶大だったと思います。
しかも洋楽に関しては、我が国独自のヒット曲というジャンルが固定化された魅力でした。サイケおやじにしても、それに夢中にさせられた過去は打ち消せません。
ところがそんなある日、私は先輩の勧めでFENというラジオ局の存在を知りました。これはご存じのように、駐留米軍からのラジオ放送ですから、ほとんど全てが英語なんですが、何でもアメリカ一番という教育を受けていた私のような者には、あこがれとコンプレックスがゴッタ煮となった、非常に面映ゆい魅力を感じました。
そしてそこから流れてくる洋楽、つまりアメリカからダイレクトのヒット曲は、明らかに我が国の洋楽チャートと異なっていたのですから、たまりません。
本日ご紹介のシングル曲も、日本ではほとんどヒットしなかった記憶なんですが、1971年春頃のFENからは流れまくっていたのです。
それは気持ちの良いカントリーロックで、ほどよい泣きのメロディと野暮ったいボーカル&ハーモニーが絶妙に化学変化♪♪~♪
日本盤ジャケットの花柄イラストとかデザインも、曲調にジャストミートのビューティフルでしょう♪♪~♪
これが1971年の雰囲気でしたねぇ~。
というか、折しも時代はシンガーソングライターのプームが全盛♪♪~♪ それまでのギンギンのハードロックに代わり、例えばニール・ヤングとかジェームズ・テイラー、キャロル・キングやジョニ・ミッチェルといった内省的な歌が流行っていましたから、こうした畦道フレィバー全開のヒットがあっても当然でした。
もちろんブルーワー&シップレイはサイモンとガーファンクルの後追いグループのひとつなんでしょうねぇ、今に至るも、あんまり良く知りませんが、とにかくこの曲だけはホンワカムードが実に心地良いです。我が国のフォークブームにも、隠しネタとして多様されているほどです。
そしてちょっと驚くのは、「人生の道」という大袈裟な邦題!
原曲名は「One Toke Over The Line」ですからねぇ……。Toke は、ひときれのパンとかマリファナの一服を指す言葉なんですから、いやはやなんともです。
その意味で軍人放送で流して良いのか!?
まあ、それはそれとして、私が先輩にFENを聴くように進められたのは、英語の勉強になるからという理由ですが、現実のサイケおやじは、こうした最新流行のヒット曲にどっぷりと浸かりこんでいくのでした。