■It's Like You Never Left / Dave Mason (Columbia)
昨夜、ちょっとCD屋に行ってみたら、デイヴ・メイソンの黄金期だった1970年代の諸作が紙ジャケ仕様で復刻されていました。
ただし残念ながらボーナストラックがひとつも入っていなかったので、私は買いませんでしたか、これから何か聴いてみよう! と決意されている皆様には、本日の1枚をオススメ致します。
発売されたのは1974年、大手のCBSコロムビアと新規契約の第一弾とあって、如何にも当時のフィーリングとヤル気に満ちた名盤が、これっ♪♪~♪
ご存じのようにデイヴ・メイソンと言えばスペンサー・デイビス・グループのローディから、そのバンドの花形だったスティーヴ・ウィンウッドが独立して作ったトラフィックにギタリストとして参加しながら、現実的にはギターもロクに弾かせてもらえず……。
しかし歌作りの才能は素晴らしく、なかなかの名曲を残していたのですから、独り立ちしての活動の方が合っていたのでしょう。ただしそれにしても様々な不運や世渡りの下手さ加減があったらしく、広い交友関係が逆に裏目という因縁は続いていたようですが、とにか心機一転を狙ったこのアルバムは最高の仕上がりに♪♪~♪
そうした経緯は以前にも、先行シングルとなった「とどかぬ愛」で書いたとおりです。
A-1 Baby... Please / とどかぬ愛
A-2 Every Woman
A-3 If You've Got Love / 愛を見つけて
A-4 Maybe
A-5 Head Keeper
B-1 Misty Morning Stranger
B-2 Silent Partner
B-3 Side Tracked
B-4 The Lonry One
B-5 It's Like You Never Left / 忘れえぬ人
収録各曲の充実度は言わずもがな、参加メンバーも超豪華で、多くの曲でコーラスハーモニーの要所を司るのがグラハム・ナッシュ♪ さらにマーク・ジョーダン(key)、チャック・レイニー(b)、カール・レイドル(b)、グレッグ・リーヴ(b)、ジム・ケルトナー(ds) 等々の実力派に加えて、スティーヴィー・ワンダー(hmc)、さらには Son Of Harry 名義のジョージ・ハリスン(g) がっ!!
ですからデイヴ・メイソンの歌とギター、そして曲作りはもちろんのこと、アレンジとプロデュースも冴えわたりですよっ♪♪~♪
それは冒頭の「とどかぬ愛」から全開となって、続くアコースティックな小品「Every Woman」のホノボノとした雰囲気の良さは、グラハム・ナッシュとのコラポレーションが最高に和みます♪♪~♪
そしてジョージ・ハリスンの如何にもというスライドギターがイントロを飾る「愛を見つけて」の泣けてくるフィーリングは、本当に1974年がど真ん中のロック&ポップス黄金期♪♪~♪ 躍動的なリズム隊のグルーヴや意想外にソウルフルな女性コーラスの使い方も気が利いていて、この味わいは当時の我国歌謡ポップスにも存分に応用されたものです。
というA面初っ端からの三連発は、実に時代の要請に応えたキャッチーな流れだったんですが、一方、トラフィック時代を彷彿とさせる「Maybe」も良い感じ♪♪~♪ 十八番の英国トラッド風の曲メロとアコースティックギターがメインのアレンジは、絶妙の温もりを与えてくれるんてすねぇ~♪
あぁ、この湿っぽさが、デイヴ・メイソンのひとつの魅力でもあると思います。
また「Head Keeper」は、これ以前の元祖スワンプロック時代だった1972年に出したアルバム「ヘッドキーパー(Blue Thumb)」のタイトル曲だったんですが、ここではさらに力強さとファンキーさを前面に押し出しセルフカバーの大名演! 何時も同じようなフレーズばっかり弾いているギターが逆に頼もしく、多重録音によるキメのツインリードはオールマンズを意識しているのがミエミエながら、本当に憎めませんよ。
しかしそうした保守性が新進の意欲へと転化したB面も、なかなか素敵です。
まずはブラスやニューソウル系のリズムパターンを密かに導入した「Misty Morning Stranger」からして、無理を承知の強がりというか、こういうスタイルは前述したトラフィック時代からの好敵手であり、天敵でもあるスティーヴ・ウィンウッドには絶対に叶わないはずなんですが、終盤のギターソロの必死さが熱いです。
そのあたりの狙いは突然トロピカルになる「Silent Partner」がロギンス&メッシーナだったり、ファンキーソウルなロックインスト「Side Tracked」が、フュージョン期のオールマンズを先取りしていたりする、些か中途半端な流れになって……???
まあ、このあたりがデイヴ・メイソンの間口の広さというか、何をやってもそれなりに出来てしまう器用さの表れかしれませんし、ある意味では頑固者なんでしょうねぇ。
ですから居直ったようにジョージ・ハリスン風の「The Lonry One」を、スティーヴィー・ワンダーのハーモニカをゲストに歌ってしまうという禁断の裏ワザが!?!
これもまた、素晴らしく心地良いですよねぇ~~♪
そしてオーラスが真っ向勝負のスワンプロックなファンキー天国「忘れえぬ人」なんですから、ここで全ては用意周到だったことが知れるという奥深さ! 本当にクライマックスでフェードアウトしてしまうのが勿体無い限りです。
ということで、収録各曲の充実度は満点に近いと思いますし、デイヴ・メイソンの如何にも1970年代的なギターとボーカルは唯一無二♪♪~♪ このあたりの感覚が好きになれるか、否かで、自己のロック感応指数が測れると仰った評論家の先生も居たほどです。
まあ、それは大袈裟だと私は思いますが、しかしサイケおやじの愛聴盤重要度が相当に高いところにあるのは確かです。
そしてそのアナログ盤に些かのガタを感じている昨今、せっかくのCD復刻をゲットしようか、迷っているのですが、多分、買うでしょうねぇ~♪
とにかく1970年代ロックが堪能出来ますよっ!